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Xmasの贈り物  作者: 紅玉
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藍田 諒(あいだ りょう)編1

諒は、人気の少ない道を歩いていた。雪が少し積もっていて、靴に雪がついて足取りが重い。

諒は、冬が嫌いだった。寒いのは苦手だし、あの人が淋しそうな顔をするから。

「ちょいとそこのお兄さん」

諒の耳に、怪しげな声が聞こえた。諒は足を止め、辺りを見回してみた。

狭い路地の隙間に挟まるようにして、"それ"は居た。笑みを浮かべ、手招いている。だが、諒は見なかった事にして、再び歩き出した。


スタスタ…。


後をつけられている。

「ちょいと、お兄さん。無視すんなって」

何も聞こえない。諒は自分にそう言い聞かせ、足を速める。


スタタ…スタタ。


「待てよ!」

"それ"の口調が荒くなり始めた。諒は、走りだす。


スタタタタ…スタタタタ…。


早い!何であんなモノがこんなに早いんだ。

「待てって言ってだろうがっ!!」

"それ"の腕がにゅうっと何メートルも伸び、「ガシッ!!」と諒の襟首を捕まえた。

襟首をしっかり捕まえた腕は、もとの位置に戻り始める。

「よう」

諒の目の前に、雪だるまの顔が現れた。

「…な、何の用?それって、着ぐるみだよなあ?」

諒は、真っ青な顔をして雪だるまを見ていた。

「だったら、腕が伸びると思うか?」と、雪だるまは表情を変えずに言った。

諒は雪だるまの手から逃れようと、もがいた。その時、肘が雪だるまの顔に当たった。

「ボトッ」

雪だるまの頭が取れた。諒は頭を拾い上げ、体に乗せた。そして、その場から何事もなかったかのように去ろうとした。

「おい!ちょっと待てこらあっ!!人の首落としといて、謝んねぇのかい!!しかも、ズレてんだよ!!」と、雪だるまは頭を押さえ、もとの位置に調節する。

「い、いや、悪いな」と、諒は顔をひきつらせながら、笑った。

「まったく…」と雪だるまは不機嫌そうにしていたが、気持ちを切り換え、

「オレは、スノーマンだ!!お前の願い事を叶えてやるぞ♪」と機嫌よく親指を立てて、グーのサインを作った。

「……」

諒はくるりと向きを変え、歩く。諒は伸びたスノーマンの腕によって、再び捕らえられた。

「叶えてやるって言ってんだから、ラッキーだと思えよ」と、スノーマンは諒を睨みつける。

「い、いや、いいよ」と諒は断るが、

「で、どんな願いを叶えてほしい?ラッキーボーイ」と、スノーマンはお構いなしに話しを進める。

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