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冬なのに、暑い。汗もかいている。
「私、先輩のこと好きなんです!!もも、もしよければ一緒にデ、デートしてくれませんか?」
スノーマンは明が告白までするとは、予想外だった。しかしこの時、グッと拳を握りしめていた。
「パッションをぶつけたーっ!!男らしいぞ、明!!!」
明は言ってしまったんだと、チケットを差し出している震える手を見つめる。
「…僕なんかでいいの?」
「へ?」
少しの沈黙が、明には長く感じられていた。駄目かと思った。でも、今、何か嬉しい事を言われたような…。
「あの…デートしてくれるんですか?」
「うん、こんな僕でいいんだったら」
明は、ポカーンと口を開けた。願いが叶ってしまった。
スノーマンが隠れていた方を向く。そこに、スノーマンの姿はなかった。
「スノーマン…」
明は呟いた。願いが叶ったから、消えてしまったんだ。願いが叶って嬉しいはずなのに、何だかちょっぴり寂しかった。
…ありがとう、スノーマン。
「あれ?でも、それって、有効期限切れてない?」
先輩は、手に持っている明のチケットを見て言った。
「えっ!?」
明は、急いで確認する。
「ああっ!!あーっ!!!」
歩いていたスノーマンは、野良犬と出会った。見つめ合う二人(?)。野良犬は片足を上げた。スノーマンの雪の体に湯気があがる。
「あっ!てめぇ、引っ掛けるんじゃねぇ!!溶けんだろ!!やめろー!!!」
垣沼明編・終