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Xmasの贈り物  作者: 紅玉
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5

乱暴な口調だけど、誉められると素直に嬉しい。

「それを何度も繰り返していけばいいんだ。簡単だろ?」

「うん」と、明はこくりと頷く。

「あのさ、スノーマンって、何で人の願い事を叶えてくれるの?」

「それはだな、話せば長く…って、おい!口より手を動かせ!!そこ違うぞ」

「え?え?」

「ここだ。…クリスマスまで時間がない。今日からいつでも何処でも絶え間無く、マフラーを編むんだ」

そう言った後、スノーマンはいきなり自分の体に片手をズボッと突っ込んだ。

「ガサ、ゴソ」

明はぎょっと目を丸くする。

「よっと!」

体から手を出すと、その手には赤い携帯電話が握りしめられていた。

「今からメアドを教えてやる。それで、わかんないところを聞け」と、スノーマンは穴の開いたお腹を撫でながら言った。

「…う…ん」

 二人は、アドレスを交換しあった。雪だるまとアドレスを交換するなんて…。明は、登録し終えた携帯を見つめた。



 それから二人の二人三脚の日々が始まった。スノーマンと初めて会ってから1週間が過ぎ、2週間目へと突入。…ついにクリスマス前日。

「やった!出来たよ!!スッチー」

明は、出来たマフラーをスノーマンに見せる。

「目は粗いけど、それだけできれば上出来だ」

スノーマンは腕を組み、ゆっくりとこくりと頷いた。

「あとは、先輩に渡すんだね。でも…貰ってくれるかな?」

「あいつに拒む理由はない」とスノーマンは、にっこりと笑った。そして、体に手を突っ込み、二枚のチケットを取出した。

「これでデートに誘え」

くしゃくしゃになったチケットを差し出す。明は、それを黙って受け取った。チケットは、ひんやりと冷たかった。

「デートに誘ってOKすればもう、願いが叶ったも同然だろ」



MISSION


マフラーを渡し、デートに誘え!!



「健闘を祈る!!」

スノーマンはびしっと敬礼し、明もつられて、敬礼をした。

それは、それは互いに素晴らしい敬礼だったという…。



 明は高鳴る心臓の鼓動をおさえながら、好きな人の家の前に立っていた。

スノーマンはこっそり影から、明を見守る。

「ピンポーン」

インターホンを鳴らす。

「はい」という返事とともに、玄関の扉が開かれる。

「あ、明ちゃん」

先輩は、にこっと笑顔を向けてくれた。明はその笑顔に失神しそうになったが、ぐっと踏ん張り、言葉を口にしようと、口を開く。

「あ、あ、あのの…わ、私、マフラー…」

文章になってない。今の明にとって、単語を並べるのがやっとだった。

明はサッと、手編みのマフラーを渡す。

「僕に?うわあ、ありがとう」

先輩は、マフラーを受け取ってくれた。

「あの、先輩!私、私…」

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