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「そこがいいのよ」と、明はポッと顔を赤らめる。
「ふーん。それよりもだ、何でお前、あいつと知り合いじゃねぇーんだよ。友達からって、チンタラやってる程オレは暇じゃねぇんだぞ」と、スノーマンは腕組みをしながら、横目で明を睨みつける。
「そ、そんな事言われたって!でも、何度か言葉を交わした事くらいならあるもん!!」
「あいつの頭の中にお前がいなきゃ意味ねぇだろ!」
「うっ…」
明はスノーマンの鋭い指摘に、何も言えなかった。
「まぁ、でも急接近大作戦をこれから決行する!!」
「え??」
明は、目をぱちくりさせた。
「オレに任せとけ」
スノーマンはニヤリと、不気味に笑った。
作戦1
相手に自分を印象づける。
作戦2
クリスマスに手づくりのプレゼントを渡そう!!
作戦3
そこで告っちゃおう!!
「…何これ、安易な感じがするんだけど…」
明はスノーマンの作戦に呆れていた。
「うっせぇなぁ、チンタラしてんのは嫌いなんだよ!!どうせなら、一気に自分のパッションを相手にぶつけて砕けちまえーってのがいいんだよ。あ、砕けちまったらダメか。作戦1は出来たと思って、とにかく、作戦2はやれよ。絶対、気持ち揺らぐぜ」
作戦1…ああ、あれだけ馴れ馴れしくして、突然友達になってくれって印象に残るよね。でも、雪だるまのあんたの方が印象に残っている気がする…。
「それで、お前は何ができる?」
「…」
明は顎に手を当て、思考を巡らせる。
「…」
明の眉間にシワが寄る。
「…」
「何もねぇーんだな」
スノーマンは、苦笑いして首を捻る明を見る。
「じゃぁ、マフラー作ろうぜ。オレ、教えてやれるし」
「私、不器用なんだけど…」
「その様子を見ればわかるよ」と、スノーマンは苦い顔をしたまま言った。
そして、明は緑と白の毛糸と編み物用の針を買い、スノーマンのいる公園へと戻った。
「それじゃぁ、簡単な編み方を教えてやるな。まずだなぁ、こうして…こう」
手袋と枝の手なのに、器用に一列編み込んでしまった。
「わかったな?やってみろ」
手本を見せたスノーマンは、明に途中まで編んだ毛糸を渡す。明は見よう見真似に、針を動かす。
「…?」
上手く出来ない。あんな雪だるまの手でもできるのに…。
「そことそこをかけ違えてんだ。そこを抜かしてるぞ」と、スノーマンは間違えを指差し教える。
「え?こ、こうで、こう?」
明は、スノーマンに言われたところを確認しながら正していく。
「そう、そう。手つきはぶきっちょだけど、いい感じだぞ。やればできるんじゃないか?」