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Xmasの贈り物  作者: 紅玉
2/16

2

スノーマンは、「ふっ」と笑った。

「確かにそんなんじゃ、モテなさそうだな」

「それ、どういう意味!?」と、明はムッとした。

「胸もねぇし、ガキくせぇし、まず女っぽくねぇ。ってか、お前ホントに女か?」

明はスノーマンの的を射たストレートな言葉に、自分の理性が切れる音が聞こえた。

「ガシ、ガシ!!」

明は何発もの蹴りをスノーマンに入れる。

「お、おい、やめろ!!体が崩れる」

スノーマンは悲鳴を上げる。

「ちゃ、ちゃんと願い叶えてやっから、や、やめろ」

明は蹴るのをやめた。

スノーマンは急いで足跡がついた部分をなで、体を修復していた。

「あー、怖かった。体がなくなったら、戻るもんも戻れなくなっちまう」と、スノーマンはぶつくさと呟きながら、体を撫でている。

「で、願いは、両想いになりたいんだろ。誰となりたいんだ?」

「高校の先輩…」と、明は恥ずかしそうに答えた。

「は!?お前、高校生だったの?!中学生かと思ってたぜ!」

再び明は、足を振り上げようとした。

「わわわ…悪かった。謝るから!!」

慌ててスノーマンは、自分の非を認める。

「で、そいつの家は?」

「家?」

「知らないのか?」

明は首を横に振る。

「じゃぁ、案内しろよ。そいつを見たいんだ」

明は目線を下に降ろした。

「歩くの?」

白い真ん丸な体は、直接地面についている。

「歩くよ。何で行けってんだよ。そいつん遠いのか?」

「このすぐ近く」

「じゃぁ、平気じゃん。何の心配してんだ?」

「足」と、明はスノーマンの体の下を指差した。

「ん?ああ、あるぜ。そうじゃなきゃ、ここまで来れねぇーもん」

スノーマンはそう言うと、歯を食いしばり、力み出した。すると、「ポン!」といういい音ごとに赤い長靴の足が、片足ずつ飛び出してきた。

「ふぅ、今日も快調!!」

スノーマンは、爽やかに汗を拭う。

「さぁ、案内しろ」

「う、うん」

明は公園を出て、さっき歩いていた道へと戻る。道沿いに並ぶ家の一つが、先輩の家なのだ。

しかし、後ろがどうも気になる。後ろをちらりとみる。

赤い長靴を履いた雪だるまが、自分の後に続いてテクテクと歩いている。

気持ち悪い。自分は、雪だるまの霊(そんなものに魂が宿っているのか?)にでもとり憑かれた気分だ。


テクテク…。


「まだか?」

「うん…」


テクテク…テクテク…。


「まだ?」

「もうちょっと」


テクテク…テクテク…テクテク…


「お前、歩くののろくねぇ?」

「もう、着くよ」

明は一軒の家の前で、足を止めた。

「ここか?」

「うん」と、明は家を眺めながら頷く。

「じゃぁ、インターホン押せ」

「え?」

明はスノーマンの突然の言葉に、振り向く。

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