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Xmasの贈り物  作者: 紅玉
15/16

4

スノーマンは、倒れた時に落とした水色のバケツを拾うと、巻いていた黄色いマフラーをその中に入れた。

「ミミをこの中に入れてくれねぇか?オレが抱いたら、こいつ凍え死んじまうからな」

女の子は、猫をバケツにそっと入れた。



 「ジングルベル♪ジングルベル♪鈴が鳴るー♪っと」

少し歩いた先に、猫のミミの家はあった。

「ピンポーン」

インターホンを鳴らす。

「…」

誰も出て来ない。

「ピンポーン」

もう一度、鳴らす。

「……」

スノーマンは首はないので、頭を傾ける。

「ニャ?」

ミミも首を傾げる。

「あら、雪だるまさん。何か御用?」と、隣の家から40代くらいの女の人が出て来た。

スノーマンを見て、驚く様子はない。どうやら、着ぐるみを着ていると思っているらしい。

「このミミって猫を届けに来たんですけど」と、スノーマンはバケツに入ったミミを見せる。

「あらぁ。可哀相ねぇ、そこの人なら、引越てしまったわよ」

「引越し先、聞いてませんか?」

女の人はスノーマンに言われ、少し考えた後、腰に巻いていたエプロンのポケットから一枚の紙切れを取出した。

「これ、引越し先のメモよ。もう書き写してあるから、あなたにあげるわ」と、スノーマンは紙切れを貰い礼を言うと、テクテクと歩いて行った。女の人はその後ろ姿を見送っていたが、「あらぁ」と声を上げた。

スノーマンの丸みを帯びていた背中は、何処かに倒れたかでもしたように、平らになっていた。



 「この場所に行くには、電車に乗らなきゃだな」

スノーマンは、紙切れを見ながら呟いた。

「ニャー」

「安心しろ。責任持って、ちゃーんと家に届けてやるよ」

駅に着くと、体から赤いガマグチを出した。そこからお金を出し、切符を買うと、マフラーの中にミミを隠して電車に乗った。


ガタン、ガターン


1駅。


ガタン、ガターン


2駅。


「悪い、ミミ。限界だ」

周りの人々は、スノーマンを避けながら、目を丸くして見ている。

スノーマンの体からは、雫がポタポタと流れ落ち、足元には水溜まりが出来ている。次の駅に着くと、ドアが開く前に駆けて飛び出そうとした。

だが、あまりにも慌て過ぎたのが悪かった。ドアが開けきっていなかった為、頭がドアにぶつかって、頭が少し変形した。それでも構わず、外に出た。

「頭が体がーっ!!」

スノーマンは、駅の外に前の雪が残って積み上げられていた場所へと飛び込む。その上に体をゴロゴロと転がす。

体がもとに戻ったところで立ち上がり、ある事に気がつく。

「目が!目が片方ない!!」

地面にはいつくばって探すが、見当たらない。

「雪だるまさん、どうしたの?」

男の子が声をかけてきた。

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