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Xmasの贈り物  作者: 紅玉
13/16

2



次の日ー。

「ギヤアーッ!!!」

雪太の悲鳴が家中に響き渡る。

「何じゃこりゃあ!!」

雪太は、自分の体を鏡に映す。そこに居るのは、丸い白い体の間抜け面。

「フフフ…どうだ雪太」

いつの間にか、煙草をくわえた父親が後ろに立っていた。

「親父!?あんたの仕業か!!」

雪太は、真ん丸になった黒い目玉で父親を睨みつける。

「サンタは何でも出来るんだ。俺からのクリスマスプレゼントだぞ。スノーボーイ」

父親は、意地悪そうに笑みを浮かべる。

「もとに戻せ!このクソ親父!!」

雪太は、まだ不慣れな体で父親に詰め寄る。

「10人の願い事を叶える事ができればもとの姿に戻るぞ」

「じゅ、10人だと!?」

雪太は丸い目玉をさらに丸くする。

「戻りたきゃぁ、行って来い。あんまり文句垂れてっと、この穏和な俺も我慢ならなくなるぜ」と父親は笑顔で言うと、何処からかライフル銃を出し、雪太の丸い頭に突き付ける。

「風穴開けるぞ♪」

「……行きます」



 「ジングルベル♪ジングルベル♪鈴がなるー♪」

スノーマンは独り、公園のベンチに腰掛けていた。

「はぁ…。あと1人だってぇのに、なかなかチャンスねぇなぁ。こんな可愛いオレなのに、みんな逃げちまうんだもん。グッスン」

スノーマンがしょげていると、

「ニャー」と、猫の泣き声が聞こえた。

「ん?」

スノーマンが顔を上げると、目の前に一匹の三毛猫が居た。

「何だお前?オレを慰めてくれんのか?」

「ニャー」

猫は、スノーマンの言葉がわかっているかのように、もう一鳴きした。

「いい奴だなぁ」とスノーマンは言うと、自分の体に手を突っ込み、パッケージに入った煮干しを取出した。猫は驚いて、ビックとしていたが、

「ほらやるよ」とスノーマンに煮干しを差し出され、近づいた。

クンクンとにおいを嗅ぐ。一噛りしてみる。少しカチカチに凍っているが、噛むと味が滲み出てきておい

しい。ガジガジと噛み始めて、煮干しを頬張る。

「あーっ!雪だるま!!」

突然大きな声がし、猫とスノーマンはビクッとなる。

「ホントだあ」

子供が3人、スノーマンの方へ駆け寄る。

「わあーっ!すげぇーっ!!雪だるまが動いてる!!」

子供たちはスノーマンを見て、目を輝かせる。

「わっ!お前ら何処触ってんだ!!やめろ、いじるな!!形が崩れんだろ」

スノーマンは、子供たちに揉みくちゃにされる。子供の一人がじっと、赤い長靴を見つめた後、片方を引っぱがすた。

「うわっ!何すんだ!!やめろーっ!!」

「ズドーン」

スノーマンの叫び声と共にその体はバランスを失い、地面に倒れる。スノーマンは、ジタバタと残った片方の足と両手をばたつかせる。

「こっちも取ってやろうぜ」

子供は恐ろしい…。無邪気だからこそ。

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