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Xmasの贈り物  作者: 紅玉
12/16

冬風 雪太(ふゆかぜ せった)編1

 ここは、日本にある普通の家。だが、住んでいる人は普通ではない。

今日は、クリスマスの朝。何やらこの家が騒々しい。


 「はあ!?何でオレ、トナカイなんだよ!!」

雪太は、着ぐるみを頭からすっぽり被り、怒鳴っている。だから、迫力には欠ける。

「バカヤローっ!このご時世、不景気で金がなくて、トナカイが雇えねぇんだよ!!」

サンタの衣装を身に纏った40後半から50代前半にかけたぐらいの男は煙草をくわえたまま、雪太に怒鳴り返した。渋めな感じの男だ。

彼は、雪太の父親である。

「あんたの稼ぎが悪いだけだろ!!ってか、オレが何であんたの手伝いしなきゃなんねぇんだ?!」

「アホかお前は!サンタ業を継ぐ為の準備だろ!!」

「勝手に決めんじゃねぇ!!オレは継がねぇよ!!」

「何だと!?てめぇ、何が不満なんだ!」

「サンタがいなくたってなぁ、今時のガキは親からプレゼント貰うのよ。サンタからだってな。だったら、サンタなんかいらねぇだろ」

「馬鹿言え!サンタは、夢を与えんだよ。それにこの金色の粉を子供らに振り撒いて、来年も幸せな年が送れるようにしてやるんだ」

父親は、白い袋から金色の粉を出して見せた。

「それ、どうやって振りくんだよ。煙突は、今の時代ないぜ。しかも、ここ日本だし」と雪太が、鼻で笑うと父親は後ろに積んであるガラクタの山からフラフープを出した。

「大丈夫だ。タラララッタンッターン♪通り抜けフープ」

「ドラ〇もんのパクりかよ!!」

「それに夢を与えるってぇなぁ、そんなんであんた、よく言えるよ」

雪太は、トナカイの手で父親を指す。

「俺の何がいけねぇんだ?」と、父親は自分の体を見る。

「普通、サンタってのはデブの人の良さそうな外人のおっさんだろ!?なのにあんた悪人面で、引き締まった体。しかも、一見すると堅気な職人みてぇな純和風テイスト。笑っちゃうね」

「サンタ協会に公認されりゃぁ、誰だってサンタになれんだよ。それに顔がこんなんでも、俺の中は夢いっぱいだ!!」

父親は、胸を張って言う。

「よくもそんな恥ずかしい事を平気で言えるよ」と、雪太は呆れていた。

「とにかく、あんたに夢があろうとなかろうとオレは、サンタを継ぐ気はないし、サンタ業を手伝うつもりもないから。せいぜい、ガキ共に夢とやらを与えてくれ」

雪太はそう言うと、自分の部屋へと行ってしまった。

「あのガキャァ、親を馬鹿にしやがて!!聖なる日に生まれた人間のくせに、人に夢と幸せを与えるって事がどんなに大切かわかっちゃいねぇ。思い知らせてやらなきゃな」と父親は、ニヤリと笑った。

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