四 最果ての国のエウレカ
四
エウレカが、最果ての国と言われているゆえんは、この世界は、東西北と、大きく三つの大陸に別れているのだけれども、そのエウレカは、三つの大陸の中で、もっとも東に位置するからである。そして、エウレカよりさらに東にゆくと、海に囲われていて、それは果てがなく、永遠に陸地にたどり着くことはないという。
私は今までずっと、東の大陸の、西の方を転転として旅を続けていたけれども、アルトが言うことは、どうやら、いつの間にかに、エウレカについてしまったようである。
「なんで、ねーちゃんは、商人でもなさそうなのに、こんなところにいるんだよ?」
「まあ、正直、なんの目的とないけどね。強いていうなら、人捜しかな」
「人捜し? だったら、ちょうどいいや。ランダルは、東の大陸の中で、もっとも人が行き交う場所なんだ。ねーちゃんは、一体誰を探しているの?」
「誰というか……、まあ、お兄ちゃんかなあ」
特に目的のない旅だけれども、目的はなくとも、終着点はある。それが、私たがアルトに言った、生き別れになった、兄の捜索である。
私が東の大陸を放浪していたのも、そのためである。
とはいえ、兄の探索は、今となっては、ほとんどあきらめているゆえに、今となっては、ただの、行くあてのない旅となっていた。
アルトは、私にある提案を推奨する。
それは、私がアルトと一緒に、ランダルまで同行することである。
「ねーちゃんは、兄貴を探しているんだろ。ランダルはさ、すっげー人が集まってるから、情報蒐集にはもってこいだと思うんだ。それで、俺も、ランダルに向かっているんだけど、さっきのあいつらのことをあるし、俺と一緒に行かねえか? 俺、ここらのことなら、なんでも知ってるからさ」