メイドさんと私とお母さん
月が、二つ?しかも色がおかしい。……いや、まさかとは思っていたけど、本当に転生したんだ。
「どうしたの?フリージア。よーしよし」
母様。私を抱えながら腕を揺するのはやめてください。眠くなってしまいます。と伝えたいけど、口から出るのは「あぁぅ」とかそんな言葉だけ。少しもどかしさを覚えるけど、歩けないよりはいいでしょ。
あ、ちなみに私はフリージア・フェルマール。よろしくね。って、誰に挨拶してるんだろう。
それよりも、寒い。
「ぁ、ぁぅ〜うぅ〜」
「あらあら、寒いのかしら。ごめんね、フリージア。今中に入るからね」
よかった通じた。ふう、言葉が通じないって不便ね。うーん、魔法が使えたらいいのだけど、まだ教えてもらってないしね。まあ、そのうち教えてってお願いするからいいけど。
今更だけど、さっきから私をだいている人は 、リリエ・フェルマール。私のお母さん。母親ながらかなり美人で、娘である私が見惚れるほどだ。青髪と青目をしている。
「奥様、お体にさわります。お嬢様のことは、私にお任せください」
「あらあら、フェルミルちゃん。それじゃあお願いするわね」
「はい!」
うーん、母様の腕の中も気持ちいいけど、フェルミルさんの腕の中も気持ちいい。フェルミルさんは、お母さんが雇っているメイドさんだ。髪色の目の色は共に、日本人のような黒色をしている。
「あはっ、可愛い」
「あぅ。やぁ〜♪」
フェルミルさんに抱かれたまま、私は自分の部屋に連れていかれる。そして、ベッドの上に寝かされた。
「ここで働いていてよかった。奥様や旦那様も優しいし、何よりお嬢様は可愛いし」
去り際にフェルミルさんがそんなことをこぼした。
それにしても、これからどうしよう。どうしようっていってもこの世界で生きて行くしかないけど。無邪気な赤ちゃんを演じつつ、魔法とかを覚えて行けばいい、と思う。どちらにしても、ゆっくり時が過ぎるのを待つしかない、かな。一応めどはたったし、まずは寝よう。
お休み。