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Dissertation

 


 ●山南敬やまなみたかし 


 23歳。

 

 古典的連続殺人犯。


 仕事での鬱積、彼女との別れなどの心的要因から、彼の幼い自制心は完全に麻痺し、心身症を患うようになる。


 だが、それにより病院に行く事も無く、彼が向かったのは夜の街であった。


 特定の日時に街中に出没、不特定な対象に襲い掛かり、その命を奪ったのだ、ナイフで。

 

 逮捕されるまでに、彼の手にかかった人間の数は14人とも、もっと多いとも言われている。


 死刑が妥当と言われていたが、監獄での自殺を図りそのまま死去。


 ●松林信弘まつばやしのぶひろ

 

 36歳。


 営利目的殺人犯。


 職を失い、酒に酔った勢いで強盗を犯す。


 その際に見咎められた松林は、その腕力を持ってそれを殺害。


 その後も強盗殺人を繰り返したが、8件目で逮捕される。

  

 逮捕時も警官隊を相手に大暴れをし、4名の警察官に重傷、5名の警察官に軽症を与える。


 反省の態度の無さにより、死刑を求刑され、それは実行される。


 ●上崎正かみさきただし


 42歳。


 発作的殺人犯。


 妻に離婚を切り出され、誕生日プレゼントに持っていたワインボトルで妻を殴打し殺害。


 その後も平然と何も無かったかのように生活を続けていたが、隣人が異変に気が付き家を訪ねた際に、その隣人も殺害、それからも会社を無断欠勤した上崎を心配した者、妻の友人などが何人か訪れるが、その家に入ったらもう誰も出てこなくなった、最終的に警察官が訪れるまでは。

 

 精神病院に収監されるが、その後自殺を図り、死去。


 ●浅野薫あさのかおる


 22歳。 


 薬物依存と破壊衝動の相乗効果による殺人犯。


 いつものように、薬物を楽しんでいた彼だが、迂闊にもアルコールも同時に多量摂取してしまい、過剰なまでの反応が起こる。


 以前から持っていた破壊衝動を抑えられずに、周囲に危害を加えて暴れる、手に持ったバタフライナイフの犠牲になった人間は、10名を下らない。

 取り押さえられるまでに、その倍の数の重軽傷者を出し、そのまま精神病院送りとなる。

 

 僅かに正気を取り戻す場面も見られたが、その時に自分の犯した罪について説明されても、反省の色はまったく見られなかったという。

 精神も肉体もボロボロの状態になり、心神喪失状態となり、病院内で死亡。


 ●佐和須磨子さわすまこ


 39歳。


 発作的殺人犯。


 夫の浮気、娘の援助交際などによる精神錯乱。

 

 手に持った包丁でその両名を惨殺、返り血を浴びた姿のまま外を呆然と歩いている所を発見される。


 警官に呼び止められても平然と対応していたが、手錠をかける為に手を触れられた瞬間に、反射的に手に持った包丁でその警官を殺害、それからも彼女に触れようとした相手に対しての過剰な攻撃反応が続き、最終的には手には触れずに誘導するという異例の形で逮捕される。


 その際も、うわ言を呟き続け、拒食症となり、点滴で延命を続けられたが、死去する。


 ●鏡美琴かがみみこと


 22歳。


 自身の病気を周囲に散らばらせた計画的犯罪者。


 ある時、健康診断を受けると彼女は重い病にかかっていた。


 性交渉により感染が拡大するその病だと知り、彼女は壊れる。


 その病を出来る限り広めようとするように、数々の男性と接触を持ち、そしてかなりの数の患者を出した。


 実際に捕まった時には、その罪状は彼女の行いを咎めたその地元を縄張りにしているヤクザを、隠し持っていたナイフで刺殺したというものだけだったが。


 最終的には、留置所で遺書を残し死亡。


 その遺書と、彼女が生前毎日つけていた日記等により、彼女のしてきた行いが公表され、社会問題となる。


 他の殺人者に比べると、その犯した罪は比較的軽いと思われがちだが、彼女と接触を持ちその病気に感染した者が、更に他の人間にも感染させたと考えるならば、ある意味では他の殺人者たちとは比べ物にならない規模での大規模犯罪と言える。


 ●郡谷浩一郎ぐんやこういちろう


 36歳。


 通り魔的殺人犯。


 郡谷は一流の殺陣師の反面、常軌を逸するまでの刀剣コレクターの一面を持ち、かねてから自身の刀剣を用いて、試し切りをしたいとその胸の中に炎を燃やしていた。


 そして、それをとうとう実行する事になる、その剣の切れ味と、郡谷の腕が一流であった為、その傷口から剣道の有段者である事が特定され、その犯行が突き止められる。

 

 逮捕時には、防刃チョッキを着た捜査官が押し寄せたが、郡谷はその状況でもその内の二名を斬り殺している。

 

 合計九名の殺害により、死刑を求刑される。

 

 刑務所内で、どこからか入手した刃物で割腹自殺を図り、死去。


 ●高梨健吾たかなしけんご


 23歳。


 連続放火犯。


 高梨は、無職でろくに働きもせずに日々を送っていた。


 母親に依存した生活だったのだ。


 そんな中で、彼に転機が訪れる、それは宝くじの当選と、そして母親の死去である。


 その二つが同時に発生したことにより、高梨の中で何かが狂った。


 金は有る癖に、幸福ではない彼は、夜になると街に赴き、そして火をつけて回った。


 特徴的なのは、その火種に一万円札を利用した事だろう、かつての成金のようにお札にライターで火をつけてからそれを可燃物に接触させ、そして火事を起こしたのだ。

 

 逮捕されるまでに、全焼5軒、半焼7件を焼き、夜間に寝込みを襲う犯行だった為、死者八名、重軽傷者十二名を出した。


 その犯行により死刑を求刑される、そしてそれは実行される。


 ●小山田正義おやまだまさよし

 

 35歳。


 妄想的連続殺人犯。


 自分の殻に閉じこもって10年以上の彼の妄想は、とうとう彼を抑えきれなくなった。


 夜半に出没し、そして世界中の怪人に対しての攻撃を始めたのだった、もちろん怪人など存在しておらず、実際には通りがかりの一般人を攻撃した訳だが。


 運動不足極まる彼であったが、成人男性が武器を持って不意打ちを仕掛ければ、平和な日本でこれに対応できる人間も少なく、2名の人間が殺され、5名が重傷、4名が軽傷であった。


 逮捕時、精神的に異常が見られ、責任能力の有無が問われたが、それに応えられるだけの常識というものは彼には欠如しており、そのまま病院送りとなる。

 

 その病院で生涯を終える、死ぬまでその精神は架空の世界の住人であった。


 ●石間千枝いしまちえ


 24歳。


 保守的殺人犯。


 彼女は花壇を愛する平凡な少女のはずだった、彼女の『聖域』ともいえる花壇を近所の少年が荒らすまでは。


 その少年は行方不明になった、その後も数人の児童が行方不明になり、最終的には千枝まで捜査の手が伸びた。

 

 彼女の花壇から数多くの死体が発見される事となる。


 最初は、ただ荒らされた事により苛立ちを覚えて発作的に殺害したのだが、その後はその養分が花壇の養分に最適であると思い込み(実際に人体を肥料にすることは、飼料ならばともかく肥料としての効果は薄いと考えられている)、その後は定期的に『補充』していたという。


 軽度の精神異常は認められたが、責任能力は有りと判断され、その罪状から、死刑を求刑され、執行される。


 ●白鳥雅彦しらとりまさひこ


 28歳。


 猟奇的大量殺人犯。


 彼は現代における異端者であった。


 彼の精神分析は不可能だったが、彼のつけていた日記によると日々は常に平穏だった、しかしその平穏な日々の中に彼の『狩り』は含まれていた。

 

 夜半において狩りを行う部分は山南と共通する所があるが、山南が『ナイフ』を用いたのに対して、白鳥はボウガンを使用した、だがその使用した矢は必ず回収する周到さは見せた。


 最終的に、渋谷に降り立った彼は、周囲に向けて大量殺人を行う。


 警官に発砲され意識を失うまで、彼は攻撃を決して止めなかった。


 驚くべき事に、彼が放った矢で対象を外した物は一本も無く、どれもが狙いの人物を捉え、致命傷だった物が八割、他の二割でも行動不能に陥る傷を与えていた。


 皮肉な事に、追い詰められた彼が自殺する為に自分に放った矢だけが、その標的の命を奪う事に失敗していた。


 重傷でありながら、一命を取り留めた白鳥には、当然の事ながら死刑が求刑されたが、逮捕されてからしばらくして、僅かに取り調べに応じるほど回復した白鳥であったが、その後病院のベッドで息絶えている白鳥が発見された。

 

 自殺なのか、それとも親しい人を殺された人物による怨恨の殺害なのか、特定はなされていない。


 以下割愛

                      ・


 

 これらの犯罪者は、2007年の冒頭から唐突に日本でその姿を現した代表的な”計32名”の犯罪者、中でも白鳥雅彦を筆頭に、他の犯罪者達も海外における有名大量殺人犯、例を挙げるならばヘンリー・リー・ルーカス、エドワード・ゲイン等などの”大御所”に類する残虐性を持ち、計画的非計画的を問わずに他者の命を蹂躙した。

 

 特筆すべきは、これまで殺人を犯す者は、幼い頃の精神的要因トラウマか、あるいは頭部挫傷による脳への障害などの要因があげられていたのだが、上記犯罪者達にはそれが殺人を犯す理由に足りえるのか否か、それが問題視されている。


 あまりにも、容易く人を殺人という選択肢を選んでいるように思えてならない。


 まるで、何か窮地に陥った時、自分自身の意思を揺るがされるほどの事態に遭遇した時、殺人という選択肢をあらかじめセットされた時限爆弾のように爆発したのではないか、そう思えて仕方が無いのだ。


 実際に、凶悪犯罪者は、幼少期に動物虐待などの兆候を見せたり、あるいは少年犯罪に手を染めているケースが多いが、この2007年に突如として活動を始めた殺人者たちは、その大半が初犯であった。


 実際にこれらの凶悪事件は、今後の日本における新法設立に多大な影響を及ぼし、その後の国民が『殺されるよりはマシ』という心境で、町中の至る所に設置された監視カメラ、自衛用の装備の所持許可、国民一人一人の指紋・虹彩こうさい認証・DNAなどを含めたID登録が行われる事となった。


 あくまで仮説ではあるが、彼らがそれらの管理国家にするべく画策された作戦の捨石として利用されたという考えも決して妄想とは呼べないかもしれない。


 このような不安を感じれば、国民は自身の安全を護る為に、自分の自由が多少奪われる結果となろうと、国家による『統制』が行われる事を望ぶのは必然と考えられるからだ。


 あまりにも同時多発的過ぎる事や、民衆の不安感を煽る事から、これらの犯行は後に『2007ショック』と呼ばれ、その後の国家の運営の基盤にも大きく影響を与える結果となった。

 実際に、この事件に対しての過敏な反応からか、先に述べた監視に関する法案が可決されるまで、犯罪率が急激に上昇し、そして逆に過剰防衛による暴力が多発し、”平和な国”という評価は過去の物へとなっていた。


 もうじき”30世紀”が目前とするこの現代において、この当時の日本でとられた『全国民完全登録』の政策をプロトタイプとして、『統制』が行われている事を考えると、この『2007ショック』の影響は決して軽んじて見れないはずである。

 

 

 参考文献

 『21世紀初頭の犯罪者』 

 『2007ショックは偶然か、必然か』

 『あなたと殺人者の違いは、それほど無い』


 資料作成 認識コード N3964B クリス

 

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