【0】
『本当に良いのか?』
「何が?」
『お前は人であり、人ではないものになるんだぞ』
「別にそうなってもいいから、するんだよ」
『お前は変わってるな』
「よく言われる」
『……愛している』
「どうしたの、急に」
『一言ぐらいは愛を囁いてもいいものだろう』
「……彼方らしくない」
『褒め言葉として受け取ろう』
「ねぇ」
『なんだ』
「私って何歳まで生きるかな?」
『私が死ぬまでだ』
「私って老いないのかな?」
『私が望まない限り老いない』
「私って死ねるのかな?」
『私が望まない限り死なない』
「そう」
『お前は我が半身となるのだ。
人よりも力があり、知恵がある。
人の時間から外れ、老いも死も私が望まない限りない。
それが我が番となったお前の運命』
「じゃあ、私は化けモノか」
『化け物ではない。我が番だぞ』
「他人が見たら、化けモノだよ。
あぁ、でも、使い道を変えれば、英雄か」
『使い道?』
「力の使い道。
勇者の力も使い道を変えれば、魔王になる。
それと一緒」
『お前は英雄になりたいのか?』
「むしろ、なりたくない方。
でも、彼方の番になるのだから、それなりの役割は担うわ」
『それは頼もしいな。
お前は一体何になるんだ?』
「私は……」