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一話

2027年、世界は崩壊した。


突如として「灯」を持つ者たちが、人類に叛旗を翻したのだ。


灯。

かつて魔力や呪力とも呼ばれた異常な力。


それを扱う者を本来「伝灯者」と呼ぶ。

しかし人々は、もっと分かりやすい名前で呼んでいた。


――歪み者。



この世界には異常な力、「(あかり)」を使える「歪み者」が古来より存在していた。灯とは魔力、呪力など時代と共に名を変え、今は灯と呼ばれている。その灯を使う者のことを「伝灯者(でんとうしゃ)」という正式名称があったが基本的には皆歪み者と呼んでいた。歪み者とは無能力者が伝灯者を命名する時に付けた名であり、無能力者が大多数を占めるこの世界において伝灯者は異質で歪んだ存在。差別的な意味も込めて命名された。


しかし、2027年世界は崩壊した。突如として何故か全世界の伝灯者が無能力者に叛旗を翻したのだ。歪み者を制御していた無能力者達は交渉をしたものの決裂、無能力者も化学兵器で応戦し、勝敗は地域によって分かれた。北米は無能力者と歪み者の冷戦状態。南米は歪み者によるクーデターが成功し、能力者の国家が大部分を統治している。欧州は今まで通り無能力者が、他の地域も同様にばらつきがある。


そんな中日本ではクーデターが成功。かつての日本の面影はもうない。




そして現在60年後の2087年、日本は二つに分かれていた。京都を中心とする京都政府と関東にある7つの邑(都市国家)が集まってできた邑制連合国家、「日本邑制連邦」それぞれが正統な日本の統治者として名乗りをあげている。また、地方では治安がこの二つの国家に服属していない所もある。





「ここですね、ないとは思いますが待ち構えられてるかもしれないっす、慎重にいきましょう」

副隊長の村山がそう言うと、廃倉庫のドアの前で緊張が走る。

「ドアを開けた瞬間、手榴弾を投げ込む、鈴木、山峰、準備しろ」

俺が声をかけ二人が準備する。その動きには一遍の無駄もない。

「いくぞ、さん、にー、いち......今だ!!」

勢いよくドアを開け、手榴弾が投げ込まれる。


ドン!!とドデカイ音が響く。

「な、なんだ!?」

「中にいる奴らは爆発に気にとられている、早めにいくぞ」

俺はそう言い、勢いよく踏み込む。

「誰だ!おま...

俺は鉄パイプで一番手前のやつの脳天を潰した。後ろは見えないが頭がひしゃげているだろう。

他の仲間も続々と敵を倒している。

「黒川隊長、主犯は奥に居ます。他の雑魚は私と鈴木、山峰で対応いたしますので、どうぞ先に」

「...分かった」


奥に行くと想像通りドアがあった。

(おそらく警戒しているだろう...まぁ、だからなんだって話だが)

ガチャっとドアを開ける、すると次の瞬間


シュっ...と矢が飛んできた。俺はそれを首を傾け避ける。

「...危ねぇじゃねぇか」

中に入るとクロスボウを持った茶髪の男が立っていた。ボロボロの服を着た貧相な見た目だが只者ではない。

「お前がここのトップ、道影四草(みちかげしぐさ)か、普通に連行されてくれんならちょっと痛い思いするだけで済むが...」

「...平然と不法侵入をするその蛮行さ、万死に値する」

そう言うと男は照準をこちらに向けクロスボウを撃ってきた。

「まぁ、そうなるよな」

俺はサイドに避け、間合いを詰める。

「クロスボウで近距離やれんのか?」

俺は鉄パイプを振り上げ、そのまま振り落とす。

「おらぁ!!」

がん!とぶつかる音がする。なんとやつはクロスボウで無理やり鉄パイプを抑えていた。無論クロスボウにヒビが入る。

「フン」


男はバックステップを取りながらクロスボウを俺の足目掛けて撃ってくる。


「はあっ!」

俺はジャンプで回避した。だがそこに待ち受けていたのは...

「空中では動けんだろう」

男は既に矢を装填し構えていた。俺の急所を正確に射抜く角度。

「読めてんだよ」

俺は持っていた鉄パイプの柄の部分から縦回転かけてぶん投げた。


「な...ちっ...」

男は構えを解きすぐさまサイドに避けた。

(だがそんなものは無論見えている)

(ちょっと右側に投げたから、左に避けたくなるよなぁ)

あらかじめ俺は回避先を読み駆け出していた。


「近づくな!!」

男がクロスボウを構え、俺を照準に捉える。

(この距離で躱せるか)

俺は着地時に拾った石をやつの目掛けて投げる。

「ぐっ...」

(目は外したか、だがエイムはずれた)

「クソが、素直に受け取ってろ!!」

奴はクロスボウを撃つも石による妨害の影響で明後日の方向に飛ぶ。

「そんなものはいらん」

近距離の間合いならばクロスボウは無用の長物だ。俺は奴に右フックをかます。

「危ねぇ!!」

奴は上体を低くし間一髪で外す。だが、そこには俺の膝蹴りが既にある。

「ギリギリでの回避は避けた内に入らん」

「う...」

俺は奴の顔面めがけ膝蹴りをかます。

「オラァ!顔面潰れとけ!!」

「ぐふっ...!」

奴の頭を掴み何度も蹴りまくる。ドンドンとあたりに鈍い音が響く。


大体10回くらい蹴った後、奴は意識を失った。だが意識が途切れる直前コイツは意味深なことを言った。

「ハハハッ...何にも知らない現場の人間は気楽そうでいいな」

「なに?」




俺の名前は「黒川清志郎」。日本邑制連邦の七つある部門の一つ、内務部門の公安局に所属している伝灯者だ。 伝灯者が叛旗を翻して以降これまでの能力者に対する差別的な「歪み者」という呼び方は改められ伝灯者と呼ばれるようになった。そして内務部門とは国の治安維持などを担当している部門で重要な部門だ。




灯を使う特殊な術のことを灯術という。そんな俺の灯術は「鉄パイプ」





任務が終わり、俺は内務部門の支部拠点に戻った。廃墟の拠点で皆が書類仕事をしている。ちなみにさっきの奴らは今は牢屋に閉じ込めてる。


内務部門は大きく二つに分かれている、そこまで強くない伝灯者や非伝灯者を相手する治安局、強い伝灯者や国家の安全に関わる危険度の高い事案を対応する公安局、この二つに分かれている。


黒川とその班の者達は皆公安局に所属している。


「そろそろ改修工事とかしてほしいっすよね、いつまでこんなボロ屋なんでしょう」


「文句は言えないな、どこもこんな感じだし、それよりあいつらがどうなるか決まったか?」

「ああなんか、普通に懲役2年くらいらしいっす、違法な武器を所持している容疑があるって事で俺らが出向いて捕まえましたけど、結局武器らしい武器はなかったですし」

「でもちょっと前の物流部門の貨物トラックの襲撃犯は懲役50年でしたよね...どちらも死者は出てないのにこの差は一体なんなんすかね」


村山は納得がいってない様子だ。


「トラックの襲撃犯が2年か、宝条家が怒りそうだな」

隣にいた山峰が口を開く。

「宝条家ってなんですか?」

「山峰くん宝条家も知らないのか、勉強不足っすよ」

「す、すいません」

「元々この革命後の日本は七つの邑が集まってできた国で、宝条家って言うのはその七つの邑の一つを統治している家っすよ」

「へーそうなんですね、でもなんで裁定部門の結果に宝条家が怒るんですか?」

「それは単純に物流部門に一番金かけてんのが宝条家だからっすよ、七つの邑が各々で色んなものに金出し合って七つの部門を作ったんで」

「結局家の支援で成り立ってるみたいな感じだしな、部門なんて名ばかりだよ」

「そんなもんなんですかね...」


新人の山峰の前で酷い事を言ったかもしれない。そんな事を話していると、突然任務用のに連絡が来た。


「緊急連絡、灯黯者と交戦、至急応援を頼む、場所は神無元スーパー...

通信が切れた。


灯黯者(とうあんしゃ)とは灯を使った犯罪者のこと。


連絡に一同が一瞬静止するもののその次には既に動き出していた。準備を整え車に乗り、現場へと向かっていく。


















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