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エボルヴインパクト 非対称型PvPvEの悪魔的暗殺術  作者: すばる
2章

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15/20

2-5 思惑

 ひと晩で3軒襲い、計11人を暗殺したところで、空の端が白くなってきた。短い夜は明け、3日目が始まる。

「昨日と同じくホームセンターでもいいんだけど……」

 同じ場所だと、同じサバイバーとかち合う可能性が高い。一度襲った相手なら私のやり口にも警戒しているだろうし、初見を狙った方がやりやすい。なので少し移動した軍基地、を狙おうとしたけどサバイバーが拠点としてガッツリ固めていたので近くの電気屋に潜む。

「なんか、人少ない?」

 ここまでそこそこ移動してきたけど、プレイヤーを見たのは移動中に遠目に一度と、軍基地で作業しているのとの2回だけだった。前日のホームセンターへの向かうときははもっと短い距離で3回も見かけたのに。

 人もいないのでざっと掲示板で情報収集してみると、私の違和感は思い違いとかでもないようで、似たような書き込みが複数あった。それに、パーティーメンバーの一部がデスしたとき、メンバーとの合流ができなかったという話も多数。

「うん。これ、死んだタイミングでチャンネルが変わってるわ」

 開始直後の大乱戦とか、ものすごい数のプレイヤーがいたけど、あれはスタート直後でサバイバーが近場に集まっていたから、だけじゃないのだ。あそこには実際、イベントに参加した全プレイヤーが集められていた。そしてリスポーンのタイミングで、別チャンネルに移された。

「パニックの中で人がどんどん減っていくのを表現したかったのかな? ついでにプレイヤーの実力でチャンネルを分けてレート戦みたいにした。基準はデス数かな? ミュータントはキルスコアだろうけど」

 事前告知くらいして欲しかった仕様だけどね。たぶん、私がいるチャンネルは一番高レートのところ。サバイバーはノーデスのプレイヤーばかりで、一度でもやられると追放される。だから時間が経つほど選りすぐられていく。

「うん。えげつないな。運営」

 掲示板を見ていて散見された書き込みとして、物資不足、特に水や食料が足りないというコメントが多数見られた。最初は全プレイヤーが集められていて、実力の足りないものから下位のチャンネルに移されていく、という設計なら、ひとつのチャンネルに配置されたリソースは間違いなく最初にいたプレイヤーの必要量より遥かに少ない。しかも今回、配置された物資は初期の数が多い代わりに補充はされないルール。めぼしい建物は最初期に荒らされるか占拠されるかで、中盤になった今は探索の効率はガタ落ち。そのあたりの住宅でもハズレを引く可能性は十分ある。食料、弾薬、回復や防衛のためのアイテムなどなど、必要なものは多く、中でも水と食料は何もしなくても消費し続ける。

 ここまで、サバイバー同士の戦闘は見ていない。認識していないところで起こっているかもしれないけど、少ないだろう。普段よりもデスペナルティが重くて撃破のメリットが小さいから、互いに避ける傾向が強いのだ。漁れる物資も豊富だった。

 けれどそれが枯渇すれば、生き残るための奪い合いが本格化していく。探索中の遭遇戦。溜め込んだアイテムを根こそぎ奪うための襲撃。内部崩壊も起こるかもしれない。食料消費は人数に比例して増えるけど、これが結構洒落にならない。15人集まれば消費量は15倍だ。ひとりならイベントを乗り切れるだけの食料が1回で消える。足りないならどこかで補充するか、口の数を減らすしかない。あらゆる意味での潰し合いが始まるだろう。

 で、ここまではサバイバー側の事情。私にとって重要なのは、人数が減っていることと、有名な漁り場所の物資はもうほぼ残ってないってことだ。

「この辺ももう漁られてる?」

 ミュータントだとルートポイントの中身もわからないんだよね。でもたぶん、武器とか食料みたいな需要の高いものは残ってないんだろう。普段から見向きもされないような低価値の換金アイテムなんかはいくらでもあるだろうけど。

 漁りスポットが微妙になると、プレイヤーを探すのも結構手間だぞ。かといって昼間に籠城している相手を狙うのはかなり無理がある。まず建物に近づくのも難しい。

「どっちかっていうと動き回って探したほうがいいかもね」

 ごく少人数で活動していてすでにイベント期間を乗り切るだけの物資を集め切っているとかでもない限り、サバイバーは篭りきりにはなれない。そしてでかいスポットが枯渇したとなれば、狙うのは個別の家だろう。ひとつひとつが小さく、かつすでに漁られているハズレを引く可能性も高いとなったら、数をこなす必要が出てきてその分移動も増える。そうなると私も1箇所に狙いを絞るより、広範囲に浅く網を張ったほうが発見しやすそうだ。【聴覚強化】のおかげで情報収集能力は高いし、複数人行動や探索効率を優先するとどうしても隠密に気を使えなくなっていく。

 方針を決めた私は、屋根から屋根に飛び移りながら索敵を始めるのだった。


次回投稿予定は明日12時です。

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