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鬱屈

作者: 黒楓

今日が月曜! 月曜真っ黒シリーズです!!

「オレの若い頃はネクタイ締めて上着を抱えて外回りしたもんだ!」


 カンカンと陽が差す窓を背負い、卓上USB扇風機と花田女史が出した氷がタップリ入った麦茶に守られながら山田“万年”課長がほざく。

 こんなにも分かりやすく窓際に据えられているのに……コイツは自分の立場をまるっきり分かってはおらず、オレ達に旧態依然なやり方を押し付ける。

 例えばカバン!

 営業三課の課員は課長の指導の元、強制的にパイロットケースを買わされる。


挿絵(By みてみん)


 これに分厚い総合カタログをギッシリ詰めて、オレ達は役所だの学校だの病院だのを当ても無くウロウロとさせられる。

 営業三課がうだつの上がらないのは当然の帰結だ。


「ぐずぐずするな!!さっさと出ろ!」

 今朝、駅前で配っていた“分譲マンションの広告入りの”団扇を振り回してアホ課長はオレ達のケツを追い回す。


 いい加減にして欲しい!!


 今は昔とは違うんだ!!


 気温でさえも!!


 オレ達は全員、憮然としながら……

 最高気温が体温を越える予報が出ている灼熱地獄へと足を踏み出した。



 ◇◇◇◇◇◇


 とにかくカバンを軽くしたいのと昼過ぎの炎天下には“ドトールコーヒ”などへ逃げ込みたいので……午前中は「官公庁」へ出向き、精力的にカタログをバラ撒く。

 で、お昼前には“向うの方が”嫌がるので……記名受けに名刺を放り込んで日報に書く件数を稼ぐ。

 正直言って、こんなの経費と労力の無駄遣いとしか思えない!


 さあ! ここはこれでおしまい!

 駅へ戻って隣の市に移動し、市役所の食堂で昼メシを食おう!


 名刺入れをポケットへ戻し、カバンの取っ手に手を掛けた時、オレの横をスイッ!と横切り一人のセールスマンがカウンターの中へ入り、事もあろうに一番奥の担当課長の前まで突き進んだ!

 もちろんここは、『執務室への入室』は厳禁だ!

 案の定、担当課長は如実に苦い顔した!!


 バカなヤツだ!!


 オレは移動した先の市役所の食堂で……さっきのセールスマンのアホな行為をスパイスにして日替わりランチをそれなりに美味しくいただいた。



 しかしバカはオレだった!!


 あの、“バカ”はライバル会社のセールスマンで……今度の入札の仕様書をアイツにガチガチに固められてウチは入る余地が無くなった。

 当然、オレはアホ課長から酷く叱責された。


『しかし!!』

 とオレは心の中で呻く。


 セールスマンとは……ここまで厚顔無恥でなければならないのか??

 それともオレにはセールスとしての能力が欠如しているのか??


 クソ暑い日々の中で……

 オレの鬱屈は否応なしに積み増しされるのだった。



      

                      おしまい



酷暑の季節にピッタリかなと(^^;)



ご感想、レビュー、ブクマ、ご評価、いいね 切に切にお待ちしています!!


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― 新着の感想 ―
 バカに付ける薬は無いと言われますが、居ますよね独り善がりを押し付ける奴。  そんなバカに付き合わされ、振り回される苦痛。  本当に無能な奴ほど己が見えないのは勘弁して欲しいです。  凄く共感しました…
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