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ハエと美少女姉妹(異星人の使いと異世界の冒険)  作者: 千葉の古猫
第1章 地球編その1 コウタがハエと美少女姉妹に翻弄される日々
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第51話 テレパシーの証明

 ついに宮坂しのぶの特殊能力が明かされます。

第51話 テレパシーの証明


「あれが初めてだったけど、その後も学校の友だちとか、先生の考えが頭の中に伝わって来るらしくて、

 みんな、言ってることと考えてることが違うって、よくこぼしていたわ。

 経験的に、それを言うと良くないと分かったみたいで、外で自分の能力について言ったことは無いらしいけど」


 沙織は自分が見た真実を語っている。それを疑うつもりはない。

 とは言え、事実は一つだが真実は人の数だけあると聞いたことがある。俺は客観的な事実を知りたい。


「カンが鋭いのとは違うのか」


「父と母に対しては何度か指摘してたわ。

 本当はこう思ってるんでしょ、分かってるんだからとか口答えしてたけど、父と母がびっくりして黙り込んだり、叱ったりしたから、その内そういうことは言わなくなった」


「その説明じゃ、カンとテレパシーの違いがまだはっきりしないな」


「私の考えてることを、しのぶが当てることは何度もあったわ。

 ババ抜きとか、カードゲームでは、しのぶに絶対勝てないし。

 もう一つ具体的な例を上げると、しのぶが知り得ないことを当てたことがあるわ」


 いよいよ確信的な事実に触れるのか。

 しのぶの能力がどの程度のものか知りたい。

 俺が持つ、強いカンなのか微弱な予感なのか区別できない程度の力と比べて、しのぶの力が利用できる実践的能力であれば、何かが起こりそうな気がしていた。

 

「どんなことだったんだ、それは」

 胸騒ぎを抑えながら冷静に問う。


「私が中2の時、休み時間に教室の中にネコが侵入してきたことがあったの。

 それが珍しいヒョウ柄の人懐ひとなつこいネコだったから、みんなおもしろがって教室の後ろに集まったのよ」


「へえ、俺もネコは好きだから、自分の教室にそんなネコが入って来たら集団に加わるだろうな」


「そこに、次の授業をする普段から厳しいことで有名な先生が入って来たの。

 後ろの人たち、何騒いでいる。数学の時間だ。早く自分の席に戻れ。と、先生は大きな声を出した。

 半数はすぐ席に着いたけど、残りの生徒はまだネコに夢中だった」


「そりゃ大変だな。みっちり叱られるパターンか」


「それがさ、その集まりに先生が近づいて行くと、さすがに皆一斉いっせいに席に戻ったのよ」


「ふうん、それで」


「みんながそこをどくと、近づいた先生にネコちゃんがにゃーんと鳴きながら、先生にすりすりしたものだから、ネコが蹴飛ばされるんじゃないかとひやひやしたわ」


「もったいつけないで、その先を早く」


「そしたら、あの強面こわもての先生が、にゃあん、にゃあんと言いながら、頭を撫で始めたのね。ネコはお腹を見せて愛嬌を振りまいてた。

 ネコちゃんには、その人がやさしいってわかったんだと思うわ。

 このネコは誰のだって先生が訊くから、みんな、口々に突然教室に入って来たんですと答えたの」


「ネコ好きだったんだな、その先生」


「そうでしょうね。

 このネコの種類を知ってる者はいるかと、先生は言ったわ。

 誰も答えられなかった。

 そうか、誰も知らないか。

 この子はベンガルという種類で、お値段はなんと30万円から50万円と言われている。

 へえ、すごい高〜いって皆が叫んだの。

 先生が今日の数学は自習にするって言ったもんだから、もっと大きな声でみんな、やったーって叫んだわ。

 きっとこの子の飼い主は、居なくなってパニックを起こしてることだろう。

 私は近所で心当たりがあるから、ちょっと行って来るって、先生はそのネコをやさしく抱いて連れて行ってしまったのよ」


「で、近所の飼い主の元に無事戻ったのか」


「自習の終了近くになって、その鏑木かぶらぎ先生がネコの報告に来たのね。

 思った通りのビンゴだった。飼い主さんに泣いて喜ばれたよ。

 明日、みんなにお菓子をくれるらしいけれど、これ他の先生たちには内緒な。とか言って、その先生おっかないどころかめちゃくちゃ優しくておもしろい人だったの」


 話がそれ掛かってると思い、俺は沙織に先をうながした。


「それは良かったと思うけど、それがしのぶとどう繋がるんだ」


「帰宅して、そのことを思い出して、ほっこりとしてたらね。

 しのぶが、お姉ちゃん、今日教室にネコが遊びに来たんだねって言うのよ」


「お、やっぱりテレパシーか」


「それも、ネコの種類と、お値段と、先生の名前まで当てられちゃったのには、びっくりしたわ」


 沙織の身振り手振り口調で、それが事実であると確信できた。


「お前の思考が細かく伝わったってことか、だったら、しのぶはテレパスで間違い無さそうだな」


「だから、最初からテレパシーだって言ってるでしょ」


 沙織が得意の指差しポーズを作る。

 ひろげた足の長さと、その張りの美しさに見惚れてしまう。

 突き出した手にハンドマイクを握らせれば、以前やったことのあるリズムダンシングゲーム、スペースチャンネル5のヒロイン、ウララそのものだ。

「踊りで勝負よ。レッツ・ダンス!」

 ニヤけかけた俺だが、すぐ冷静になる。


「しのぶは何故、沙織にだけは能力を隠さないんだ」


「姉さんは、考えてることを当てても怒らないし、言う事と考えてることがいつも同じだから、姉さんだけは信用してるんだって」


「確かに、お前には裏表は無いかも知れないな。単純って言うか」


「単純って言うな。それすっごく気にしてるから。

 もっと考えてからものを言えば良かったと、これでも悔やんでいるんだからね」


 私は超能力の中でテレパシーが最も魅力的だと思います。あなたの好きな超能力は何でしょうか。

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