表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハエと美少女姉妹(異星人の使いと異世界の冒険)  作者: 千葉の古猫
第1章 地球編その1 コウタがハエと美少女姉妹に翻弄される日々
15/181

第15話 エターナルの認定証

第15話 エターナルの認定証


「コウタ、表彰式の件についてまだ何かあるかい」


「式の方は分かったからもういい」


「取って付けた、という認定証についてはどうだい」


 俺は手元の認定証を確認する。


『地球とエターナル友好に関して、仲村幸太を上級推進委員として認定する。

 以下、【上級推進委員】を、単に【委員】と表記する。』


 始まりの文章には、特に問題はなさそうだ。


『第1項: 委員は両星の友好推進のため協力する。

 委員として得た情報は他にもらさないこと。』


 誰かに言ってしまいそうだ。


『第2項: 第1項の目的の為に、委員はエターナル星に対し、娯楽を間接的にまたは直接的に提供すべし。

 その実行に当たって困難な状況がある時は、エターナルは実行可能となるよう積極的に協力する。』


 娯楽ってなんだ。

 困難な状況を伴う娯楽ってなんだ。


『第3項: 娯楽の内容は、エターナル星太陽系支部にて都度都度つどつど決定するが、極力異議を唱えないこと。

 どうしても異議がある場合は、その理由、または対案を具体的に提示すること。』


 めちゃくちゃ怪しい。大丈夫か、これ。


『第4項: 委員の職務しょくむについて、辞退または解任するには、双方に相当な理由が無ければならない。』


 められないのでは?

 勝手に認定しておいて、辞められない可能性が高すぎる、、、


 俺はフライをじっと見ながら、ダメ元で主張してみる。


「おまえらの都合で勝手に僕を認定しておいて、辞められない契約は始めから無効じゃないのか。

 弱者救済だ! 僕は認定自体を拒否する」


 フライは落ち着いて答える。

「力の格差が極端に大きい場合、えてしてこういう押しつけが通るんだよ。その辺は銀河系宇宙では常識だよ」


 フライは両手を一旦拡げてから、すりすりする。

 それくらい分かれよって感じだな。


「銀河系に、弱者を守るための国際条約機関みたいなものはないのか」


「銀河宇宙条約と宇宙連合はあるけど、常任理事星には拒否権がある。

 エターナルは常任理事星の筆頭だよ」


「それってつまり、どういう意味なんだ。分かるように教えてくれ」


「地球には国際連合があるが、その常任理事国が反対することは、事実上決まらないのと同じさ」


「ラシアや、中つ国みたいなものか」

 俺は無力をみしめる。


 フライは、そんな俺に追い打ちを掛ける。

「銀河宇宙条約の原案はエターナルが作ったし、拒否権を使わなくても常に忖度そんたくされるのが実態だ」


 俺に拒否権はないらしい。


「但し、我らは娯楽文化第一だから、委員の年齢、家庭の経済力、個人の能力、預貯金等を勘案かんあんして、辞任申し出を認めるための違約金額を決定する。

 ウチの連中は、そんな場合でも状況を楽しめるように、ぎりぎりの条件を提示するんだよ」


「因みに違約金額はお幾らですか」

 勝手に契約しておいて、理不尽な違約金を設定するのは納得できない。

 それでも念の為訊いてみた。


「コウタの場合だと、キャッシュで10万円。

 但し、人から借りた金はたとえそれが家族からでもカウントしない。

 その金ができるまでは、委員としての職責をまっとうしなければならない。

 尚、その違約金は保証金として預かり、他の違約が無ければ1年後に返還されるものとする」


 キャッシュで10万円。

 高校生の俺にはハードルが高い。長期に渡るバイトが必要だ。

 それでも理不尽なほど高い金額設定とは思えないし、1年後に返還すると言ってるし、悪魔との契約と比べればなんと容易たやすいことか。


 まあ委員を一度やってみてから、どうしてもいやだったらまた決めればいいか。

 俺は白旗を上げた。

「とりあえず、委員を続けるよ」


「そうこなくっちゃね。

 じゃあ早速、第一弾のプロジェクトに参加してもらうからね」


「お手柔おてやわらかに頼むよ」


「それは、パーチンを懲らしめるためのイタズラプロジェクトだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ