第9話
「「あっ」」
登校中に鉢合わせた紅輝と柳田。
「昨日の事って、夢じゃないよね?先輩」
「あぁ、俺も帰ってから何度も頬をつねってみたがちゃんと痛かった」
まだ昨日のことが信じられない2人は話ながら登校していた。
数分後。
「つまり今日も白瀚の所に行かないといけないんだろ?」
「そうだよ。またあの変な世界に行かなきゃいけない」
『"変な世界"?』
2人の会話に割り込んで入って来たのは、裏路地でバイクに跨がっている男。茶色い髪が肩にかかるくらいの長さのその男は紅輝たちの話を聞いて興味をもったらしい。
『"変な世界"とはなんだ?もしかして、"異界"のことか?』
バイクを降りた男は紅輝や柳田よりも背が高く、体格がいい。
紅輝と柳田には緊張が走った。異界を知っている者、涅桜の可能性がある。柳田はその男をじっくりと見た。
「それ、制服だよな?俺らの高校の近くの…北高校の…」
男が着ていたのはブレザーの制服。
『あぁ、そうだ』
男が学生と分かり、少し安心する2人。そこで気になっていたことを聞く。
「異界のこと知っているのか?」
『行ったことはないが、知っている』
「どこで知ったんだ?」
『それは俺の…すまん、時間がない。先に学校に行く。放課後に俺の所まで来てくれ。』
「わ、分かった!名前を教えてくれ!」
『俺は依田亮だ』
諒は早足で学校へ向かった。
「あいつ、学生なのにバイク乗ってたのか?」
柳田は亮という人物に疑問が湧いていた。
「先輩、俺らも時間やばい」
2人も急いで学校へ向かった。
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放課後。
門から学生たちが大勢出てきてそれぞれが帰路につく。
ブレザーの学生たちの中に2人、学ランの学生が立っていて、目立っている。紅輝と柳田である。
紅輝と柳田の2人は自分たちが通っている高校の近くにある北高校へ来ていた。
今朝出会った依田亮に会いに来ていた。
「遅いな~」
いくら待っても出てこない様に紅輝は退屈そうにしていた。そんな時、門から出てきていた学生たちが、、
「おいおい、裏の方で喧嘩らしいぞ…」
と、話しながら学校の方へと戻っていくのが見えた。
退屈そうにしていた紅輝がブレザーの学生たちに紛れて学校の裏の方へと走っていった。それに対し、柳田も追いかけるように走る。
校舎の裏に着くとたくさんの人により囲みが出来ている。その中には、何人もの人が倒れていてその中でただ1人、茶髪で髪を結った男が立っていた。