第7話
「なんだったんだ…あの人…剣、持ってかれたし…」
傷ついたまま倒れている目の前の生き物を見て理解が追いつかない2人。
黒スーツの人はなんだったのか。
何が起こったのか。
目の前の光景は現実なのか。
「まずは白瀚と合流しないとな、、」
2人はゆっくりと歩き始めた。
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数分後。
何度目か分からない扉を開いた時、目の前にはあの見慣れた水色髪の男、白瀚がいた。
「あ、2人とも」
軽い反応で2人を見る白瀚。それに2人は、
「「クソやろうが!!」」
白瀚に拳を飛ばしていた。
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「そんなことがあったんだね。とりあえず、生きてて良かったよ」
頭に出来たたんこぶを擦る白瀚。仕方がないが、急にいなくなったことや、保障したことに全く責任を持っていないことなどを含めて2人は白瀚を説教した。
「異界にいる化物みたいな生き物たちは"異生物"って呼ばれてるんだよ。紅輝たちを襲ったのも異生物。異生物がいる所もあるし、いないところもある。紅輝や宏介、僕みたいに異界を旅する人たちは基本的に"旅人"と呼ばれる」
「異生物って色んなやつがいるのか?白瀚も俺らとはぐれてたとき襲われた?」
「襲われたよ~僕は賢明だから、戦わずに逃げてきたけどね」
「はぁ!?こっちは命懸けて戦ってたのに!!」
紅輝と白瀚が賑やかに話している。最初の余所余所しい雰囲気はなくなっている様に見える。その様子を隣で見ている柳田は感じていた疑問を口にする。
「それじゃあ、俺と紅輝を助けてくれたあのスーツの男も旅人なのか?」
それを聞いた白瀚は顔をしかめた。
「分からない。その人が着てたスーツは黒かった?」
「うん。カッターシャツ以外、ネクタイも真っ黒だった。」
またもや顔をしかめる白瀚。少し考えた後、話し始めた。
「それは最近異界に現れるようになった黒いスーツを着た組織の1人かもしれない。実力は確かなんだけど、組織全体の形も目的も不明、名前しか分かっていない謎の組織なんだよね。」
「でも、そんなに悪い人じゃなさそうだったよ」
「そうだったらいいんだけどね」
白瀚は話しながら懐から白色の光を放っているゲートスフィアを取り出した。
「…帰ろうか」
紅輝と柳田は白瀚の肩に手を置き、白瀚はゲートスフィアを割る。白い光の塊が輝き出す。
その時、紅輝が口を開いた。
「そういえば、組織の名前は?」
「名前は…"涅桜"」
3人は光に吸い込まれてその場から消えた。
数十分後。
再び、廃病院のような異界のどこか...…
カツンッ カツンッと革靴の音が鳴る。
紅輝たちを助けた黒スーツの男が歩いていた。
「なんだこれ、、」
何かを見て歩みを止める。
「さっきの2人がこれを出来る訳ねぇしな……やばいやつがいるかもな」
スーツの男の目の前には数体の異生物。その全てが動かなくなっていて、体にはいくつかの穴が空いていた。