第40話
「あっつ!!ちょっ!二人とも!こんな所で寝てたら焼け死ぬぞ!」
すぐ側で亮と紅輝が眠っているのを見つけ、近くにあった大きな岩によって作られた影
へ二人を引っ張って避難した。
辺りを見回しても所々岩があるだけで一面砂しかない。すると二人も目を覚ました。
「先輩、ここは?」
起きた紅輝が柳田に尋ねたが砂漠としか説明することができなかった。白瀚からもらっていたゲートスフィアで帰ろうか悩んだがもう少し散策してみることにした。
歩いても歩いても同じ光景が続く、三人の限界はすぐそこまで来ていた。
「もう帰らないか?」
そんなことを言いだした亮。
「確かにもうキツイな。それじゃああともう少しだけ歩いてなにもなかったら帰ろう」
と、亮を元気づけた柳田だったが内心、三人とも早く帰りたいと思っていた。
「それならせめて水が欲しい。もう喉がカラカラだ」
亮が話しながら周りを見ても何もない。水どころか植物すらない。日によって熱された地面からは陽炎が立ち、光を反射する。上下から光を浴びる三人は着実に体力を奪われていた。そこから少しの間歩き、結局なにも見つけることができなかった。三人はぐったりとしていた。歩く元気も底をつき、今すぐにでも座りたかったが熱せられた地面にはそれができない。紅輝は声を上げながら先へと走っていった。
「紅輝!待て!!」
柳田は紅輝を止めたがどんどん走っていく。紅輝の体力が限界に近づき、段々走りが遅くなってきた時、紅輝の体が落ちるように砂の中へと消えた。後ろからその様子を見ていた二人は驚いてその場所まで向かう。向かいながら紅輝の名前を呼ぶとその場所から返事が聞こえた。そこに着くと紅輝が消えた場所四角形の穴があった。周りの砂のせいでこの穴が見えずに落ちてしまったようだ。
「紅輝、登れそうか?」
「いや、厳しいな」
亮が腕を伸ばすが紅輝に届かない。ゲートスフィアを割る時は近くにいないと一緒に移動することができない。亮と柳田は仕方なく穴の中へ降りることにした。
穴の中は暗く、なにかの建物のようにレンガでできた洞窟のようだった。壁に等間隔で松明が設置してある。不思議なのが…
「ここ、寒くないか?」
亮の一言で二人は気が付く。確かに、ここは冷えているのだ。外は穴から入ってきている光によって物凄い暑さとなっていたが、レンガで造られたこの場所は不気味な寒さをしている。ここはなんなんだと疑問が湧く。ここは異界だ。この気温差もそれで説明がつく。紅輝たちは確かめたくなった。
「先へ進んでみよう。大丈夫、危なかったらすぐに帰れるんだし」
三人は松明の明かりだけに照らされた道を進んで行く。数分歩くと、扉が現れた。
「開けるぞ」
柳田は重みのある扉を開ける。そこには今までの場所とは打って変わって広くて明るい空間があった。照明が置かれ、花などの植物で彩られている。中央には棺のようなものがあった。
「ここは…」
三人が見まわしていると、
『お前らやっと来たか。おせぇよ』
背後から声がした。振り返るとそこには見覚えのあるスーツを着た男が居た。
「誰だ」
亮が男に尋ねる。
『俺は菅野だ。菅野正信。お前ら、涅桜については知ってるな』
菅野の言葉を聞いて三人に緊張が走る。紅輝は構えようと刀に手を伸ばす。柳田は体を強化する輪っかをコートの中から取り出そうとする。亮は拳を構える。しかし、菅野は刀を構えようとする紅輝を殴り飛ばした。
「紅輝!!」
それを見た柳田は心配をしてコートの中に入れた手を出してしまう。
「宏介!危ない!!」
無防備になった柳田へ菅野が殴りかかる。しかし、亮の警告によって拳を回避することができた。が、すぐに菅野は柳田に蹴りを入れて紅輝同様飛ばした。すぐに亮が菅野に向かって拳を飛ばすが手首を掴まれて簡単に止められてしまう。そして顎に蹴りを入れられてしまった。重い蹴りを受けて視界が歪み、その場に倒れてしまう。
飛ばされた紅輝と柳田はそれぞれの武器を取り出し、起き上がって亮の方へ走ろうとしたその時だった。紅輝と柳田が立っている所の床が動いて穴ができ、二人は下へ落ちた。落ちた後は再び床が動き、穴をなくしてしまった。
『ほら、立て。依田亮』
菅野は俯いて頭を抑える亮を横目に棺の方へ歩きながら言った。そして棺へ座る。
『この下では恐ろしいミイラが湧くんだ。早く助けてやらないとお友達がミイラになっちゃうぜ』
「くっ……!」
笑みを浮かべる菅野を見て食いしばりながら立ち上がる亮。
「なぜ、俺の名前を知っている」
『なぜって調べただけだよ。お前ら水のとこで俺の仲間ボコしたろ』
情報が漏れていたことと同時に亮にもう一つの疑問が湧く。
(情報が漏れていたとすればあのスーツの二人からだろう。二人を捕らえていたアレクたちは?)
そんなことを考えている時、菅野の拳が顔面に直撃する。
『お前は妙な術を使うらしいな。結界術、だったか?その術と得意の暴力でさ、俺と闘ろうや』
二人は拳を構えてお互いの距離を詰めた。




