第4話
「はぁ…全く…」
開いた口の上部を腕で抑え、下部を足で踏んで口を閉じさせないようにした白瀚。柳田は間一髪喰われずにすんだ。
「相手を外見だけ判断したらダメだって…」
生き物は大きな口を開けたまま、白瀚の力により閉じようとしても閉じれない。
「あ、ありがとう…ございます…」
恐怖のあまり腰を抜かしてしまった柳田。それを見て白瀚はとんでもない事を言った。
「丁度いい、紅輝と宏介。こいつを倒してみてよ。」
「「はぁ!?」」
突然の提案に反抗する2人。
「俺ら武器の使い方だってまだ分からないんだぞ!!」
「まぁまぁ…危なくなったら僕が助けるからさ。大丈夫、死ぬことはないよ。」
反抗する紅輝をなだめながら話す白瀚。理解ができない様子の紅輝は目を瞑って深呼吸をする。覚悟を決め、短刀を構えて白瀚の方へ近づく。
「やるよ。やってみせる。」
その様子を見た柳田も立ち上がり剣を抜いて構える。
「先輩として、俺もやらなきゃいけないよな。」
柳田も白瀚の方へ近づく。
「良く言った。それじゃあ僕はこいつを離すからね。分かってると思うけど、こいつの"口"には気をつけてね。」
白瀚は話し終わると抑えていた腕と足を離す。口を閉じた生き物は物凄い速さで紅輝に襲いかかる。
ザクッ
『アッ゛ァァァ゛!!!』
大きな声をあげて暴れる生き物。柳田が横から剣を突き刺していた。突き刺した剣は貫通して反対側から出てきている。
生き物は痛みを感じたせいか暴れ始めた。
「ちょっ、暴れんな!!」
柳田は剣の持ち手を持ったまま、振り回される。そして、
バキッ
剣が折れてしまった。
目の前の出来事に唖然とする柳田。
「先輩!!」
紅輝の声が聞こえた時には遅かった。
ガバッ
小さかった生き物の口が開き、柳田を丸飲みできるような大きさで柳田に襲いかかった。
柳田は逃げようとしたが、その大きな口は閉じ始め、もう間に合わない。と、思った瞬間だった。
ザクッ
紅輝が持っていた短刀で生き物を切りつけ、最後は体を突き刺して大きく開いた口は小さくなりながら閉じてやがて異生物は動かなくなった。