第2話
目が覚めると平たい草原の上にいた紅輝と柳田
周りは真っ暗で先の方は見えない。
携帯電話も圏外で使えない。
何がどうなっているのか分からない。とりあえず先の見えない暗闇を進んでみるしかない。
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進み続けること数分、、
草原の上には似合わないシャワーカーテンがあった。
シャワーカーテンが囲っている中はバスタブとシャワー。
どう反応をすれば良いか困っていると、カーテンが開く。
「ん?.....」
お互いに同じような声を出す。
そこには泡だらけのバスタブの中で楽しそうに玩具のアヒルで遊ぶ水色の髪をした整った顔の男が遊んでいた。
泡がバスタブから溢れ、浮かんだシャボン玉がこっちへ飛び、紅輝の前で割れる。
カーテンがゆっくりと閉まり、カーテン越しに見える影がバスタブからあがって、服を着る。
カーテンの奥から声が聞こえる。
「君、もしかして迷子?」
どう答えようか迷っていた時、勢いよくカーテンが開く。
「僕の名前は"白瀚泠"。」
今、俺らはとんでもない変人を目の当たりにしているのかもしれない。
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「君は紅輝、君は宏介って名前なんだね。よろしく!」
「「よろしくおねがいします」」
何一つとして理解が追いつかないまま、色々話して仲良くなった。
俺らがこの変な世界に来てしまったのは、山で柳田先輩と取っ組み合いをして割ってしまった球の影響らしい。この世界は『異界』と言われ、あの水晶玉のようなものは『ゲートスフィア』と呼ばれている。俺が割った白い光を放つものの他にも色んな種類のゲートスフィアが存在すると説明を受けた。
「ここから元の世界に帰る方法ってありますか?」
一刻も早く帰りたい、そもそもここが安全なのかどうかさえ分からない…折角仲良くなったが帰る方法を聞くことにした。
「そんなの簡単だよ。これを同じ様に割ればいい。」
そう言いながら、白瀚が取り出したものは黄色の光を放つゲートスフィアだった。
「これを割れば元の世界に帰れるよ。」
手渡されたゲートスフィアを見て今すぐ割ろうと考えたが、
「折角だし、色んな異界を旅していかないかい?」
白瀚は紅輝の手を握ってキラキラした目を向ける。その眩しさに紅輝は答えを躊躇ってしまう。一方柳田は、紅輝の手からゲートスフィアを奪い、すぐにでも割ろうとしていた。
「あーあー!!ちょっと待って!!」
今度は柳田の手を握った白瀚。
「少し!少しだけだから!!」
「はぁ…」
柳田は呆れた様子でため息を吐いた。
「まだ状況を理解出来ないですし、俺はまだあなたを変質者としか見ていません。」
柳田の心ない言葉に落ち込む泠。すると、白瀚は強く手を握り、
「安全は保障する。」
冷静に言った。
ここまで言われた柳田は不服そうに「少しだけなら…」と、答えた。