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これからも大好きだよ

投稿がだいぶ日にちが空いてしまってすみません!今話で完結です!


月日はあっという間に経ち、気付けば12月半ばへ突入。周りのみんなももうクリスマスモードになっていて、カップルもだんだん増えてきた。その雰囲気でほわほわ浮いている人たちが多数なのだが、俺はそうではない。


バイトは、自分のノルマを達成したため、シフト数を減らし、今では憩いの場として働いている。雅幸さんも変わらず温厚で、伊達さんもノリが良くて助かっている。


教室はすっかりクリスマスモードになっていて、飾り付けも非常に華やかになっている。浮かれている人たちもいて、何だかそわそわしていた。きっと好きな子とデートでも行くのだろう。

浮かれているのは、彼らだけじゃない。無論、俺も浮かれているうちの1人だ。なんせ、多忙を極めている御幸と共に出掛けることの出来る貴重な日なのだ。



楽しみは刻々とやってくる。当たり前の日常生活を続けていると、イベントはすぐ目の前に来てくれる。


「最近調子良いだろ」

「え、気づく?」

「んー、そりゃきっと俺だけだな。普段感情の起伏が少ないからこそ、俺にゃわかる」


確かに最近は嬉しいことが多くて舞い上がってるだろう。しかし、それが周りに伝わってしまうのは恥ずかしい。剣道で気紛らわそう。


そして来たイブ当日。なんだか心がそわそわする。学校はもう冬休みに入っているから同級生にも会わない。会うのは御幸だけだ。


前日に何度もシミュレーションをしていたら朝が明けてしまった。だが、おかげで完璧だ。待ち合わせまであと1時間。早めに行って損はない。俺は家を後にした。



「よう」

なんだこのぎこち無い声のかけ方は。

「やっほ」


白雪みたいだった。白のワンピースで襟袖がふわふわしている。冬を感じさせて、御幸の美しさをより一層際立たせていた。


「そ、そのワンピース可愛いね」

「……私じゃないの?」

今日は少しテンションか違うらしい。いつもは冷たくてツンとした御幸も、少しだけだが甘えにきてくれている。


「具体的には、ワンピースを着てる御幸だな」

「紅宮君もかっこいい」

「ありがとう。行くか」

「うん」


まず俺たちは近くの公園でもうすっかり葉が落ちてしまった木々と湖を見た。まあ散歩だ。初のデート先でって思うかもしれないけどさ、夜にもまた行くんだ。イルミネーションが光った綺麗なのもね。


別に人工的に光ったやつじゃなくなって綺麗さ。だが、彼女にとって味気ないものだとしたら、思い出をより良くしなければならない。


近くにあるベンチに座ると、御幸が目の前を通るブルドッグに可愛いと言わんばかりの輝いた瞳を向けていた。犬にも興味があるのかもしれない。何もないプライベートだからこそ知れる貴重な機会だ。


「少し向こうも行ってみない?」

「いいね」


ただ無言で歩くのもなんだかつまらないので、普段は聞けないようなことを色々聞こうと思う。


「俺ってこんなだから、御幸に呆れられたことたくさんあると思うけど、ぶっちゃけて言うと、御幸の温かい、なんていうのかな。温もりを感じる時とかすっごく好きが溢れるんだ。何やってんだこいつって思う時もあるかも知れないけど、俺にはないんだよ。御幸の悪いところが見えないんだ」

「紅宮君っていつもロミオみたいになるね。面白い」

「え、ええ?ロミオ?初めて言われたよそんなこと」

「私、別に紅宮君に呆れたことそんなにないよ?むしろ、尊敬に近いと思う。確かに少しずれてる時もあるけどね」

「尊敬!?嬉しいな。正直言われ慣れてる言葉だけど、御幸に言われるとその言葉の価値が何倍も跳ね上がる感じする」

「ふふっ」


ふとした瞬間にはにかむ表情が、これまた可愛くて心臓がもたないよ。イブという特別な日に、特別な時間を過ごしてる。これだけ考えても、心が跳ねそうだっていうのに。


「え、すごい美男美女じゃん。芸能人?」

「でも学生じゃない?」

「綺麗~」

「カップル……。リア充め!」


「私たち1日人気者かもね」

「俺はロミオになりきればいいのかな?」

「ううん。何もしなくても勝手にロミオになってるから」

「ぐはっ。そこかいっ!」


ちょっとしたやりとりで笑みが止まらなくなってしまうのは、やはり恋の症状の一種だろうか。2人でいるだけで、ここの空気が暖かいものになっていく。外は寒くても心も体もぽっかぽかだった。


「紅宮君って普段剣道以外に何かやってることとかあるの?」

「ん~、ジムに行ってトレーニングとかはあるけど、遊びで出掛けることはそんなにないかも。あるなら陽成としかない」

「もしかして交友関係広めじゃない方?」

「ああ。だから、知らない人と喋るのは少し苦手だな」

「意外」

あまりにも目がまん丸になってるんだから。

「だから、初め旅館で御幸を見た時はどうなるかと思ったよ」

「私も焦ったよあの時は。同級生が来ることなんて滅多にないんだから。というより初めてのことだったから」

「仕事の邪魔になってなかったか?」

「邪魔って。仮にもお客様のことそんな風に思いません」

「流石プロ意識って感じだな。でも、もう次行く時はお客としてじゃないといいな」

「また始まった。でも、今は修行?研修?に来てるんだよね」

「ああ。ノウハウを知っておかないといけないからな」

「本当に剣道とかに集中したかったらやらなくていいんだからね?元々強制するものじゃないし」

「何言ってんのさ。俺がやりたいからやってるのさ。剣道ともうまく両立できてる。そこは心配ご無用だ」

「なら良いんだけど」


こうやって気遣ってくれるところも、安堵した時の表情がわかりやすいところも全てが愛おしい。


「ねえ見て!あそこにサンタさんいる!」

「ええっ。ほんとうだ。一緒に写真撮ろ」

「良いのかな?」

「聞いてみるか。サンタさん、一緒に写真撮っていいですか?俺もうクリスマスプレゼント来なくって」

(グッ)


サンタさんは右の親指を立てて返事をしてくれた。俺はカメラを構えると、3人で仲良く自撮りした。

その後も御幸は楽しそうに歩いて、俺もその後をとことこついていった。市街地に出ると、色んな人たちがクリスマスムードを楽しんでいた。もちろん俺たちもその人々のうちの2人だが。


俺たちはここらで1番大きな映画館に行って、トイトニックを満喫した。今頃は3Dもあり、リアルに観ることができるのが魅力的だ。これには御幸も喜び、映画が終わると感動で涙するも、スクリーンのことで圧倒されていた。


映画が終わった頃には、辺りはもうすっかり暗くなっていて、冬と言えば、のイルミネーションが様々なところで煌々としていた。中には、巨大なクリスマスツリーに飾られていて、通る人皆が立ち止まっては写真撮影をしていた。

御幸もすごくじっと見つめているものだから、俺たちも撮った。写真の良いところは、後で見返せていつでも思い出をフラッシュバックさせられるところだ。撮った写真は全て保存し、お気に入りに入れておく。


「今日、門限ある?」

「お父さんが11時までには帰ってきなさいって。いつもにしては緩いんだ。御幸は?」

「私は何も言われなかった」

「やった。ディナーもゆっくりできるね」

「そうだね」


目を見て微笑むと、また心がぽかぽかしてくる感覚に襲われる。一緒にいるだけで満たされるなんて、なんて幸せな時間なんだろう。


レストランの中は、カップルらしき男女がたくさんいた。きっと他の人たちも今日ここで言うんだろうな。または愛の更新か。


「鴨のコースを2つ」

「かしこまりました」


「紅宮君、鴨なんて私初めて食べるよ。ていうか、高くない?」

「今日は値段とか気にしなくて良いよ」


クリスマスイブという特別な日を俺たちは堪能している。お店のムードに、クリスマス独特の高揚感。気分は最高だ。


食事を終えると、レストランをあとにし、夜のスカイツリーを満喫する。街々が光り輝き、そこに人工的な美が繰り広げられている。


人々がつい、わあっと口に出てしまうような光景に、御幸は黙っていて、目が今の気持ちを物語っていた。


「綺麗だな」

「そうだね」

「あ、あそこイルミネーションしてる」

「わあ。結構規模大きいね」

「行ってみる?」


俺はつい、陽成に誘うような感じでノリノリに聞いてしまった。普段、陽成は俺が行こうと言えば乗ってくれるから、そのテンションで言ってしまった。


まずいと思って隣を見るも、御幸も興味が湧いたからかこくっと頷いてくれた。仕草一つ一つが可愛い。



イルミネーションは、街を活気づける。いつもはもう閑散としているような場所も、この日だけは人々が歩いている。


俺たちはのびのびと散策していた。木々に取り付けられた小さな小さなLEDライトは、沢山の集まりとなって始めて成り立っていた。



とはいえ、そんな呑気にしていられるわけもなく、夜はどんな日だろうと危ないことに変わりないので、帰路につこうと帰りの方向に向かって歩み進めると、突然御幸が腕を掴んできた。


「まだ帰りたくない」


俺を殺す気か!誰だって自分のことを必要として呼び止められるのは、良い気しかしないだろう。


「でも、夜は危ないからな。帰らないとご両親に心配掛けちゃうだろ?」

「門限言われなかった」


御幸にそう言われ、欲望のままに引き留めたかったが、一瞬冷静になった。いくら、俺がご両親との間に信頼関係を築いたとはいえ、お母さんの方は完全に納得していないはずだ。

にも関わらず、大切な娘に門限を言わずに、いわば放り出した。ひょっとして俺のことを試しているのか?

これでもし、俺が御幸を帰さずに今日を過ごしら、次の日何が待ってるかわからない。最悪別れさせられることも安易に想像できる。


だけど、


「じゃあちょっとだけな。あんまり遅くになると本当に心配かけるからな」

「うん」


俺たちは絶妙な距離で歩いていた。街に残ったとはいえ、もうプランはないから何をすれば良いのかわからない。

だが、ゆっくり距離を縮めていくことは出来たみたいだ。


俺は少しずつ御幸の傍に近寄っていき、手がすぐそこまでの所まで寄った。そして、そっと。静かに指と指を絡めると、あとは御幸の手を指で伝って握りしめる。


手を繋ぐことさえ未経験の俺がよくできたものだと、我ながら感心する。


「!?」


御幸の中にはやはり動揺はあったみたいだ。俺も正直、今にも心臓が飛び出てきそうでドクンドクンしているけれど、不思議と落ち着いている。


自分の手があるべき場所に収まっているかのような、安心感のある手だった。手指は全体的に細く、まとまりがあり、俺が強く握ると折れてしまいそうなほど小さかった。


そんな手で、ほぼ毎日女将の仕事を全うしているのを考えたら、改めて立派な存在だと感じる。







藍の空と橙色の光に包まれた街中で、2人交わり共に歩む。

もしかしたらアフター書くかもしれません!

ですが、2人の恋はここにて無事完全なものになりましたので、きりの良いところで締めたいと思います。


感想など頂けたらじっくり読ませて頂きますから、短文で結構です。ちょっぴり聞かせて下さい。


ありがとうございました!!!

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