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その後、、、

俺と御幸が付き合ったことは、瞬く間に学校中に広がっていった。ある男子は落ち込み、ある女子は推しにしたり、色んな形で注目されていた。


昼休みにいつも通り4人で集まっていたとき、告白の話題になった。


「蓮、良かったな!」

「ああ。山都先輩に先越されなくて良かった」

「どうやって告白したのさ」

「俺の胸の内を明かしただけだよ。ちょっと抑えきれなかった部分はあるけど」

「御幸ちゃんの姿見てみなよ。心なしかちょっと明るくない?」

「言われてみれば確かに」


微笑みは変わらないものの、少し輝いているように見える。


「蓮のおかげだよ」

「俺は何も。むしろ、迷惑掛けちゃったんだ」

「何したんだよ。笑」

「御幸のところ行こうとして池に落ちたんだ。それでタオル取ってきてもらっちゃったんだ」

「なんだそれ!笑」


「紅宮君。今日4人で帰らない?」

「帰ろう」


御幸の方から誘ってきてくれるなんて、何て嬉しい変化だろうか。落ち着け。学校でデレるつもりはない。


「2人じゃなくて良いのか?」

「いい。一緒にいられるならどんな形でもいい」

「さらっとそんなこと言えるのセンスだよ!」

「紅宮君、綾見て」


紺野さんに促されて見ると、俺の言葉が聞こえていたのか耳を赤くしていた。そしてまたそれを隠すようにうろちょろしているのもまた可愛い。


「御幸」

「な、何?」

「今日も可愛い」

「……何も出てこないよ」

「出なくていいよ。ここにいてくれるなら」

「もうっ!ここ学校だからね」

「ここじゃなかったらいいのか」

「~っ!」

「蓮の一途の愛にまだまだ耐えきれないようだね」

「紅宮君は凄いな。あの御幸をあんな真っ赤にさせるなんて」

「俺も癒やされてる」


団欒している空間に、教室の外から割って入ってきた人がいた。山都先輩だ。いつか来ると思っていたが、こんな状況で来るとは思ってなかった。


「紅宮蓮君。来てくれるかな」

「分かりました」

「蓮に何するんですか」

「何もしないさ。ただ少し話しておきたいだけでね」

「陽成、良いよ」


俺たちは屋上へと向かっていった。山都先輩の表情が読み取れない。怒っているのか、普通なのか。


「県大会終わり頃から言うと思っていたが、まさか当日中に言ってしまうとはね」

「優勝したら言うと元から決めてたので」

「気合いの入りようが違うね」

「何が言いたいんですか」

「わかんないな〜。悔しいって言いたいのかも」

「俺焦りました。大会前日にあんな場面に遭遇するんですもん」

「ははっ。少し牽制の意を込めてたところはあるな〜」

「山都先輩。彼女に以前のようなストーカー紛いのことはしないと、約束してください。関わるのは構いませんが、万一傷つけるようなことしたら、まじで張り倒します」

「そりゃ怖いな。もちろん乱暴なことはしないと約束するよ」


山都先輩と別れる最後の時まで、俺は鋭い目つきで見ていた。それに気づかず山都先輩は去っていった。

心配で後をつけて来たであろう陽成と御幸が一部始終をみていたようだ。小っ恥ずかしいことを言ってしまったがゆえに、体に熱を帯びているのがわかる。陽成は陰で笑っているのが見えている。


「いたのか」

「山都先輩にあんな事言うなんて、大したもんじゃないか蓮。ぷふっ」

最後に笑うでない!


「ありがとう」

「別に大したことじゃないよ」

「これでもう御幸ちゃんは安心出来るね!」

「おい、」


御幸は後から恥ずかしさが込み上げてきたのか、頭を真っ赤にしながら俺に背を向けた。そして、御幸の反応で意識してしまって、俺も赤くなってその場に立ち尽くした。

それから陽成は、その後もずっと俺の台詞を茶化してくるようになった。俺と2人の時にいつも真似てくるから、本当に勘弁してほしい。



さて、付き合ったのはいいものの、俺は何をすればいいのかさっぱりわからない。初恋はあっても結ばれたことはないのだ。ただ俺が好きばかり言っていても、御幸は後に飽きてしまうだろう。御幸のことが好きだからこそ、ずっと側にいたい。だからこそ、なるべく楽しんでもらいたい。


「紅宮〜、教科書のここ読んでくれー」

「え………」

教科書すら開いていなかった。


授業中にこんなことを考えるなんて、とんだ大失態だ。幸い、隣の人が教えてくれたから辛うじて答えることが出来たが、非常に危うかった。


授業が終わるとすぐさま陽成がやってきた。その時点で茶化される予感はしてた。


「成績優秀の蓮君がぼーっとしてるなんて珍しいね!何考えてたの?」

「陽成……。いい加減怒るよ」

「ごめんよ〜!でも御幸ちゃんのこと考えてたんだよな?」

「ん、ああ」

「ははっ、御幸ちゃん喜ぶね」

「そうか?」

「ああ!俺だったら授業中まで俺のこと考えてくれてたら、嬉しくて倒れちゃうよ。向こう見てごらん」


陽成に促されて御幸の席を見る。紺野さんが何か御幸に話していた。内容までは聞こえてこないが、少し笑顔になっている御幸がいた。一瞬で心が満たされていく感覚がした。


「ほらね。藍月もきっと俺と同じ考えなんだよ。だから御幸ちゃんにそれを言って、御幸ちゃんが嬉しくなってる。めっちゃいい構図じゃん?」

「まあ、そうだな。でも授業中は不覚だった。話を聞いていないとは言語道断だ」

「そんな堅く考えるなって。先生はどうせ、蓮にしては珍しいくらいにしか思ってないさ」

「だと良いんだが」


大学は剣道が強いところに推薦で入るつもりで、今は内心を上げることに注力していた。無論、高1の頃から優秀だったので、キープできていれば十分くらいだった。それでも、いかに余裕を持って入るかに注目している。



放課後になり、俺らは武道場に行く。のだが、本日締め切りの課題を終わらせていなかったことに気づき、急いで済ませている陽成を待つために、教室に残っていた。時間を無駄にしたくないため、誰もいなくなってから胴着に着替えていた。そして、ちょうど上半身を着替えている最中に、御幸が入ってきた。なぜいつもこうタイミングが悪いのだろう。ばっちり目が合うと、御幸は俺のことを見ないようにしてさっと出て行った。忘れ物を取りに戻ってきたはずなのに、俺のせいで何もせずに帰るなんてさせるべきじゃない。


「御幸!待って!もう着替えた!」

「…………ちゃんと更衣室か武道場で着替えてよね、変態」

「これは……、ごめん」

「ひょっとして俺邪魔だったかな?」


陽成のために待っていたというのに、まるで御幸との空間に邪魔か?のように言って、はらわたが煮えくりかえりそうになる。


「陽成はとっとと課題を終わらせろ!」

「ひぇ~い!」

「私は帰るね」

「あぁ、御幸っ。あ~っと、その明日、部活ないんだ。だから、一緒に帰ってほしい」

「良いよ。校門で待ってれば良い?」

「ああ」


少し誘うだけなのに、こんなにテンパる自分に腹が立つ。もっと堂々としろ!頼りがいがまるでない彼氏じゃないか。


「蓮がそこまでなるとは、中々だね。恋愛のアドバイスだったらいつでも聞いてくれよ♡」

「っ、ああ。何かあったら頼むよ」

「うっしゃ!任せろ!」

「まだ何も頼んでないよ」

「あっははは!」


自分の課題は一向に終わらないくせに、俺の相談に乗ってくれると言う。俺は陽成の勉強を手伝うべきなのかもしれない。



結局、締め切り1分前に提出することができた。急いで武道場に行き、いつもの稽古をする。稽古時間が減った借りはいつか返してもらおう。素振りをしてからどんどん試合をしていく。次は全国大会に向けての調整だ。肉体強化はもちろん、それに比例して素早く動く練習も重ねていく。全国はまたとない貴重な機会。ぶっちゃけアジアの大会よりもレベルの高いので絶対に優勝したい。今度は、先輩への心配が無いことから、安心して稽古に没入することができる。


愛を力に。なんてポエムのような言葉はなるべく使いたくないが、これが一番俺の気持ちを表していた。


ここまで読んでくださってありがとうございます。まだ何話で終わるか決めていないですが、まだ書いていきますので、これからもよろしくお願いします!

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