表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

強制入籍させられた相手は透明人間ですがそれなりに幸せです

作者: おんちゃん

初めましてほぼ初投稿になるコメディ物語です。


設定がゆるゆるですが、少しでも笑顔になって頂けたら有り難です

「おめでとうございます!貴女は選ばれました!!」





それは晴れた日の職務中に起きた。突然上司に呼ばれ、社長から緊急で呼びだしを受けたと告げられる。なにか業績に影響するミスを自身やらかしたんじゃないかと冷や汗をかきながら社長室へと向かった。


22歳で社会に出てやっと中小企業の事務員として働けるようになったのに、いきなり首になる様なミスを犯していたとは!?ガクガク震えながら社長室に向かえば、突如クラッカーを鳴らされ「おめでとうございます」と沢山の方々に祝福される…




まったく状況を飲み込めず、ふっと助けを求める様に唯一顔がわかる社長を見つめれば。社長はにこやかに微笑んでいた。どうやら今すぐ首になる案件じゃないらしい。






「西園寺君おめでとう!わが社から人外さんのお嫁さんが選ばられるとはじつに縁起良い!!」




「へっ!?」






まったく意味がわからず状況を掴めない、慌てて周りを見渡すが、皆な笑顔で祝福の雰囲気は変わらず。状況を掴めない自身が愚かなのかと動揺するが、やはりまったく意味が分からない。






「人外の透明 悟(とうめいさとる)さん25歳、もちろん独身で君に一目惚れしたらしいよ」






社長は相変わらず笑顔で和やかな雰囲気だが、社長の横のソファーに腰掛けるのは、その紹介された人物らしい。しかし居るらしい場所を何度見ても、何もまったく見あたらないスーツを纏った誰かが目に映らない。確かにスーツもネクタイもスラックスも革靴も見えるが、まったく頭も顔も見えない。いや手も首も見当たらない、まるでスーツを着た誰かがいるはずなのに中身がまったく見当たらない。

瞼をこすって瞬きをしリセットしてみるが、やはりその人外とされる透明さんのお姿が見当たらない。




この世界は人外がいる世の中で、人間と同じ様に生存しているらしい。人外さんの能力は人間より優れており天災や地球外生物の侵略もこの人外さん達によって阻止され救われていた過去がある。国家はこの人外さん達の存在を認め人権も保証した、しかしまだ未知の部分が多い人外は特別な場所で国に手厚く保護され管理されているらしい…?


平凡家庭で平凡に育ち、容姿も平凡まさに平凡代表の自身はまったく人生で関わった事が無く、人外の存在は都市伝説とさえ思っていた。




「二度目になりますが西園寺 聡子さん」




「はい…?」




「貴方は人外さん透明 悟さんのお嫁さんに選ばれました!おめでとうございます!!」






パチパチと透明さんの後ろに立っている役所の方々と思しき人々に拍手をおくられ祝われる。

その役所の方によれば、この透明さんは国家公務員のエリートで人外スキルを生かした部署にお勤めだとか…






「すみませんまったく現状を理解出来ないのですが、まず…その…透明さんが見えないのは私だけですか…?」




「ぷっっ…あっはっはっ~」






社長と役所職員が一斉に笑いだす。

何か間違った事を聞いてしまったのか?と激しく動揺し周囲を見渡すが、何故皆に笑われているのかが分からない…

――新手の虐めかしら――

スーツ姿の見えないその人は、慌ててスマホを取り出し何を必死に入力しだした。

入力が終わればAIボイスが入力した文字を話し始め会話した。







《初めまして 私は透明人間の人外でして、透明悟と申します》




「はぁ…?」




《急なことで驚かれるとは思いますが、この求婚は法律で定められている様に拒否することは出来ません。出来ましたら穏やかな家庭を築きたいと考えております。どうぞ宜しくお願いします》






スーツが頭を下げる様にペコリと曲がった。どうやら頭を下げられているらしい、透明さんのいう通り人外さんに選ばれた人間は拒否が出来ない法律がある。

国家はこの人外さん達の存在を認め人権も保証した。しかしまだ未知の部分が多い人外は特別な場所で国に手厚く保護され管理されているらしい…?つまり一般人の私などはこの人外の透明さんに選ばれなければ都市伝説みたいな存在で関わる事なかった。本来人外さんは人外さん同士で繁殖する事がおもで一部の人間しか人外さんと関わる事ないのだが、例外的に人外さんが人間を見初める場合がある、その場合強制的に人外に嫁ぐ制度が法律で定められていた。人間側が拒否すれば国家反逆罪として訴えられて罪人になる。

ぶっちゃければ人外さんに国を守って貰う変わりに、見初められた人間は残念だけど人身御供になってね♪っととんでもなく恐ろしい法律が存在する。







「いやいや…求婚拒否とか以前に姿を見えない方とどうやって生活をすればよいのか…?」




「あっはっはっ君達はまだ若いから話し合いが大切だね!!わしらは野暮になるから後は若い二人で話しなさい♪」






社長は愉快そうに社長室から役所職員達を引き連れて退出していく、いやいやおかしいでしょお見合いとかで言う台詞ですが、それはあくまでも人間と人間がお見合いする場合でして、今回の相手は人外のうえ姿が見えないわけですから…


それも会話すらスマホ必須でAIが話さなければ意思の疎通も図れないそんな二人が結婚なんてあり得ないですから…






《急な事で驚かれてますよね?》




――はい…とっても驚き困っています――

なんて言える立場じゃないわけで、透明さんのスリーピーススーツ姿を見つめながら、苦笑いを浮かべ戸惑っていた




《驚かせ困らせてしまっているのは、わかってます…でも…でも逃がすつもりありませんから!聡子さんは私のお嫁さんになる運命なんですよ…》




感情のないAIが冷たく非情な言葉を告げる、透明さんの表情を伺うことも出来ないから感情もわからない。怒ってる?困ってる?悲しんでる?笑ってる?


――打算的に考えればこの人 国家公務員のエリート様だから養って貰えれば食い扶持には困らないのかしら?彼氏も現在いない天涯孤独の身の上の私に、家族が出来るのは有り難事?

いやいや余りの状況にテンパっているが、相手は透明人間の人外さんなわけで――






《まだ悩んでいる様ですね…拒否権は貴方には無いんだ!入籍は明日にでもするから今日は私の住んでいるマンションに移り住んで貰いますよ》




「えっ!?そんな急に言われても困ります…職務中ですし、いきなり同棲なんて…」




《私も本日から人外ハネムーン休日を取得してあります。貴女の会社の社長さんには話を通してあります。私に選ばれた貴女の居る会社は、国から手厚い補助金が出ますので何も心配する事はありません》





ん…?


んんん…?


これは完全に逃げ場がない感じですよね?もし拒否して逃げれば、国を相手に反逆者扱いの罪人になる。今まで平凡に生きてきたが、流石に罪人にはなりたく無い、諦めに似た感情で同意するしかなかった。



私の現状把握も思考も追い付かないまま、透明さんは立ち上がり私に近付き私の手を引く。

握られた透明さんの手は見えないけど、大きく暖かかく力強く確かに彼が存在するのだと教えてくれた。




《聡子さん私は貴方を幸せにします!さぁ~行きましょう♪》



――まだ了承してないんだけどな…――

とは思いながら拒否権の無い私は彼に着いていくしかなかった。








☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


透明さんとの婚姻生活は、思っていたより穏やかで暖かな日々だった。


透明さんはどうやら以前から私を知っていたらしく、私の好む家具や衣服を全て取り揃えて準備万端状態で出迎えられ驚いたがその後の生活は穏やかだった。


優しく家事なども手伝ってくれ、お風呂掃除など自分の担当だと率先してやってくれる。夫婦になったのだから夜のお勤めもあるのかと思えば私の心が追い付くまでは無体を強いたくないと寝室は別、お互いのプライベートを大切にするという事で、お互いの部屋が用意されていた。透明さんの部屋は自分で掃除するので立ち入り禁止だったり不思議な人なのだがそれ以外は特に不満もなく、食事やテレビなどは共同部屋のリビングで行い、お互いの好む本を読んだりDVDやPCを共に見たり話したりした。




姿は見えないが彼の着る衣服で大体の居る場所はわかる、スマホを使えば会話も出来るので意思の疎通ははかれた。

最初の1ヶ月は同棲生活に慣れることからスタートし、今はお互いの好みや趣味を知っていきなんとなく彼の事をわかってきた所。


透明さんは人間的倫理を持った真面目な紳士な方だった。毎日お仕事に行き私が待つ家に残業がなければすぐ帰宅する。手料理を美味しいと食べてくれる、たまに頭を優しく撫でて誉めてくれる。――頭を撫でられるなんていつぶりだろうか?――

まだお父さんが生きてる時だったかしら、ふっと暖かい気持ちになり目頭が熱くなると、私の感情を察した様に優しくハグしてくれる。


透明さんの姿は見えないが、抱き締められた時に透明さんの香りがする。体臭なのか服の香りなのかその香りに不快感は無く、最近ではその香りに包まれると心地良く安心する様になった。






「透明さん…いつも優しくして頂いてありがとうございます…」




《おや聡子さん 貴女も今や透明さんなんですから私の事は悟と呼んでください》



「ふぁぁ…」



確かに問答無用で入籍させられたが、今や私は人妻なのだ。いまだに人妻の自覚も無いが、戸籍上では透明 聡子となっている。






《ねぇ…奥さん…》






AIボイスで感情などわからない声色なはずなのに、なぜだか甘い雰囲気が漂っているのは気のせいですかね?この人は私の旦那様で私の事を好いて頂いてるのはこの数ヶ月でわかってきた。

――そろそろ聞いてもいいですか旦那様?――






「さ…さと…悟さんはなぜ私を、お嫁さんに選ばれのですか…?」




《やっと聞いてくれましたね。貴女を見かけたのは三年前のお通夜の日でした。私は仕事でその付近で張り込みをしていまして…》




「あぁ…旦那様は刑事さんですものね…三年前のお通夜ですか…まさか…」




《そう貴方のお父様のお通夜の日でした。貴方は虚ろげな瞳で淡々と喪主をこなしていました。その姿はまるでこの世から消えてしまいそうに儚げで、ふっとその場から存在を無くしてしまいそうで…透明人間の私が言うのもなんですがね…消えてしまうのではとヒヤヒヤしました…》






私は父子家庭だった。父一人子一人、母は私を産んで亡くなったが、母のぶんまでお父さんは私を愛し慈しみ育てくれた。やっと成人してこれから親孝行するという時に、父親の癌がみつかりあっという間にこの世を去った。


感謝もお礼も告げられず亡くなった事も受け入れられず途方に暮れた。でも現実は無情でやる事は多く親戚や知り合いに迷惑をかけるわけにいかず淡々と葬儀をこなした。その時の記憶は朧気で、今だに思い出すと苦しくなる。葬儀後も父親の顔に泥を塗る真似はしたくなくて、日々の生活をこなしてきたが本当は寂しいかった。


葬儀の時の悲しみも、唯一の肉親が火葬される切なさも誰かに話したくて、わかち合いたくてしかたなかった…






《私は貴方が心配で心配で…葬儀後も泣くことも感情を出すこともなく、淡々と生きていく姿が痛々しく…目が離せなくて…》




「そんな前から旦那様は私を気にかけてくれたのですね…」






ホロリと涙が溢れる。父が亡くなって天涯孤独になった私は一人ぼっちになった。これからずっと一人で生きて行くのだと思っていたのに、私は知らない間に旦那様に見守って頂いていたらしい。






《はい…人外能力で貴方に危険がないか、生命の灯を自ら消されてないか常に監し…いえ見張っておりました…不安で心配で本音はその場で拐ってしまおうとも考えましたが、経済的苦労をかけない様蓄えを増やしやっと貴方を囲う事が可能になりました》




「んっ…?一目惚れって話はどこに…?」




《三年前のその時に一目惚れでした。それからはずっとお慕いし見守り続けておりました》




「人外能力で常に見守っていた…?えっえっえっ…それ恋愛感情なんでしょうか…?自分より弱い者や弱い立場の人を守りたいという欲求、確か庇護欲てきな感情なのでは?」




《24時間365日…仕事で近くに居られない時は、遠隔透明能力を駆使しました。これほどまで私を虜にしておきながら…この気持ちを疑われるのですか?》





あれ…ちょっといい話だと思ったのに背筋にゾクリと寒気が走る、そもそも初対面前から貴方は私を見守り続けるという名目で人外スキル生かしてストーキングしておられたと…





「旦那様…もしや…私のストーカー?」




《ちっ…ちが…違います!?そっそっんなつもりは、本当に心配だったんです…》





姿は見えないのにあわあわ慌てて腕を振るい、動揺する姿が洋服の袖が上下に慌ただしく揺れ動く事で察しられた。なぜだかそんな彼が可愛くて思わず微笑んでしまう私。この半年の同棲生活で彼の包み込む優しいさを知ってきた。父の様な兄の様な居心地の良さ、確実に好かれ大切にされている想いは伝わっている。父を亡くした虚無感にさいなまれていたが、胸にポッカリあいた穴を彼が少しずつ埋めていく。彼に癒され彼に絆され、恋心の芽がニョッキり成長し始めた自覚はある…


でも彼は私に触れてこない…人外だから愛情表現が違うのかもしれないが、半年たっても私達は口付けを交わしたことすら無い






触れて欲しい…


触れてみたい…


でも嫌われたくない…


また一人ぼっちに戻りたくない…






だから家族として夫婦としてこれからも彼の側に居続けたいから白い関係を続ける…





「私をお嫁さんに選んで頂きありがとうございます」




《聡子さん…一生幸せにします》






初めて私から彼に抱き付き、そんな私を彼も抱き締め返してくれた幸せな休日の1日








☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


《さ…聡子さん…》






仕事から帰ってきた旦那様が慌てているのがよくわかる、だって玄関までお迎えした私の姿をみて旦那様は職場鞄を思わずポトリと地面に落とした。普段から綺麗好きな旦那様がそんな凡ミスなどしないので驚いてる驚いてると顔がニヤケる。スマホを凄い速さで操作している旦那様






《聡子さんはいつから女神に…?》




「悟さんに買って頂いたのに全然着てなかったので。似合いませんか?」






2人の仲を深めたくて似合わないとは思うが、旦那様が買っていたレースのエプロンを初めて着てみた。新妻がやるあざといぐらいの愛情表現かもしれないが、彼に少しでも気に入られたかった。

旦那様は無言で私の頭を撫でてきた、姿は見えないが旦那様はすぐ近くに居て旦那様の香りと手の温もりがくすぐったくて心地好い。






《似合ってます…似合いすぎてます…可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い》




「怖い…怖いですから…そんな何度も打たなくても…あの嬉しいです♪」




《 可愛いが過ぎる可愛いが過ぎる可愛いが過ぎる可愛いが過ぎる可愛いが過ぎる可愛いがきゃわいいがしゅぎる》




「旦那様の動揺がその誤字で伝わってきますね♪うふふ~♪」






旦那様の落とした鞄を拾い上げて、私の頭を撫でてくれる手を持ち上げてリビングまで引っ張っていく、本日頑張って作ったご馳走達がテーブル一杯に置かれてある。椅子に腰掛けて頂き食べて貰う。


《美味しい~美味しい~》と喜んでくれる悟さん、凄い勢いで大皿の料理が片付いていき頑張ったかいがあると嬉しくなる。


食後に緑茶を差し出せばズズズッと啜る音がする、そろそろいいかしら…?






「ねぇ…旦那様」




《何ですか?私の聡子さん》




いや~ん旦那さんの台詞が甘々で照れてしまいます。しかし表情もわからない透明人間、声だってAIですけどね。





「結婚して半年たちました。お互いの事もよく分かってきました。旦那様そろそろ1歩先に進みませんか?」




《えっ…1歩先…?》



「ふふふふ…そんな急な事言われても困りますよね。」




《すみません…聡子さん…あんなご馳走まで作って頂いたのに、あまり聡子さんが言っている意味が分からなくて?何でも言ってください協力します》




「いいんです!!お気になさらずこれで思う存分行動に移せますから♪」




《ん…?》






強引に食事用テーブルの椅子から立たせて、リビングにあるソファへと誘導する。ソファに腰掛けた旦那様のお膝に股がり、旦那様のお膝に座る





《えっえっ…聡子さん…》




「姿も声も分からない旦那様ですが、私気付いたんです、こうすれば旦那様のお姿を確認する事出来るって♪」






慌てる旦那様をよそに旦那様のワイシャツのボタンを外していく、そこにあるはずの胸板も鎖骨も見当たらない透けてソファが見えてしまう始末、でも触れれば確かに人肌の温もりがありドキドキと心臓の鼓動も感じる。






《さ…さ…しゃとこさん…》






私を降ろさないけど必死にスマホで驚きを伝えてこようとしてる、大胆だとは思うけど私が触れなければこの旦那様は私を触れてこようともしない…頭を撫でるとかハグだけじゃなくもっと旦那様を感じたい。その姿をこの目で見たいのです。


ワイシャツを強引に脱がし万歳をさせ、胸板にぐるぐると白い物を巻いていく。






《何をなさっているのですか?》




「だから言ってるじゃないんですか、旦那様のお姿を拝見したいと♪」






あわあわする旦那様を放置して、私はぐるぐる白い物!そうトイレットペーパーを旦那様の身体に巻いていく、こうやって巻いていくことで旦那様の身体が顕になり逞しい肉体がトイレットペーパーごしに浮かびあがる。腕の上腕二頭筋の逞しさ、大胸筋は分厚くトイレットペーパー巻くのも一苦労です。シックスパットの腹筋なぜこの眼で見れないのか悔しいこんなにも立派な筋肉達が目の前にあるのに触れる事が出来てもこの眼におさめる事が出来ない!!






《…あの…くすぐったいです…》






しまったトイレットペーパー巻きながら、逞しい大胸筋に頬ずりしていた。無意識にこの素晴らしい筋肉を堪能している私

旦那様の顔がある場所を見上げて、ごめんなさ~いと照れ笑いを浮かべる。



その瞬間唇に柔らかい物が触れる、柔らかくて暖かくて心地好い思わず目を瞑れば私の頬は旦那様の両手に拘束され、再度唇に暖かい感触がぶつかる






これは…もしや旦那様口付けですか…?





「旦那さまっ、、んっ、」



「はぁっ…」




低い低音ボイスの艶めかしい声が聞こえる…



「なんなのこの子…そんな蕩ける瞳で俺をみつめて可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛すぎるから…もっかいしても大丈夫かな?えっとスマホどこだスマホで伝えなきゃ」



「いいですよ」



「えっ…いいの?俺なんかにキスされてるのに…人外だよ…透明人間だよ…」




「でも私達夫婦ですし…口付け嬉しいです」




何を今更恥じらっているのですか、私達婚姻して半年も経っているのですよ。白い結婚だったかもしれませんが新妻はそんな事を許しませんよ♡




「っっっって!!俺の声が聞こえるんですか?」




「やっぱりこの低音ボイスは旦那様の物でしたか、嬉しいこれでスマホがなくてとも会話が出来ますね」




「えっえっえっ!?聡子さんなんでそんなに冷静なんですか…スマホが無くても会話出来るってどうしよう口悪くなってませんか!?不快じゃないですか」




「いえ全然です心地好いです♪」






旦那様はかなり動揺してるらしく、激しく身体を揺らしている。私はやっと旦那様の声が聞こえるようになって嬉しいのに、それより早く作業を進めなきゃもっと口付けを交わしたい気もするけど動揺している今がチャンスなんだから


旦那様の下半身に装着されている金具の解除にかかる






「聡子さん…な…なに…なにをなさっているのですか?」




「旦那様のベルトを外しているんですよ」




「なっなっなぜに!?」




「だってまだ上半身しかまだ確認出来てませんし?やはり下半身も巻き巻きしなければ、旦那様の全身を確認する事が出来ません。早く私は旦那様の全身を見てみたいのです♡」




「なんでそんなに嬉しそうなんですか、やる気まんまんで瞳がキラキラ光ってますよ…」




「はいはい!!ベルト取れましたから腰あげてください!」




「いや腰あげたらズボンが脱げてしまいます、あっあっチャックを下ろさないでください聡子さん…あっあっ…」




「なんでダメなんですか?悲しいですが、トイレットペーパー越しでしか旦那様を見る事は叶いません…だから安心して下さい」




「全然安心出来ませんよ…はぅぅ…可愛い聡子さん興味心から行われているのは分かります。俺に興味をもってくれた事は嬉しいのですが、その…それ以上はよくないです。いけませんダメなんです…」






拒否する旦那さんの腰をペチペチ叩いて中腰にさせる、腰らしきものから、股下まで巻き巻きとトイレットペーパーを手探りで巻き続ける

男性の股下など触れるのは恥ずしいですが、ここでモジモジしたら下半身にトイレットペーパーを巻けませんからね。






「ひゃぁぁ~ふぁぁぁ~」






気持ち良いのか恥ずかしいのかよくわからない叫び声をあげながら旦那様の身体はどんどんトイレットペーパーまみれになっていく、ミイラ男になるのもあと少し何ロールも使い膝ぐらいまで巻けるかしら…

そうすれば遂に私は旦那様の全身をこの目におさめることができる。




「ふっはぁぁぁ…聡子さん…つつっかないで…」



「ふっはぁぁぁ!!押さないのぉぉ」



「いぃぃぃぃ弄らないの…」



「擦らないでぇぇ…」




大絶叫を上げて旦那様は私の行動を邪魔をする。この不自然な空間さえなければ完璧な肉体美が、トイレットペーパー越しに見えるのに。慌てて逃げだす旦那様、そんな逃げる獲物を追いたくなるのが人の心理!こんなに強引に旦那様を追い詰めた事は無かったが、今やらなければ2度出来ない気がして焦っていた。









「聡子さん…わざとですか?わざとこんな煽ってるんですか?知りませんからね、聡子さんが悪いんですからね…」




「煽る…?」




「もぉぉぉ知りません!!襲われても聡子さんの自業自得です覚悟してください…」






あれ…あれあれ?なんやらミイラ男姿になった旦那様の声が怒りを含んでる様な?私何か怒られる事したかしら?トイレットペーパーでぐるぐる巻いてミイラ男の仮装が嫌だったのかしら!?


問答無用でミイラ男は立ち上がり、私の身体を抱っこする驚く私は落ちない様にミイラ男の首に手をまわす




「ほら落ちない様に僕に掴まって…寝室に行きますよ!」



「えっ…ミイラ男さんなんで寝室に行くの?」




「ミイラ男に喰われるんですよ…ここまで煽られたら据え膳食わぬは男の恥ですからね…」





えっ…えっ…どういう事!?


なぜこうなったのかしら…人外の旦那様のお姿を1目でもみようとしたからいけないの?激怒された旦那様から惨殺され遺体を食べるって事!?


ひぃぃぃぃぃなんたる悲劇なのぉぉぉぉ!








☆☆☆☆☆




 気が付くと、ミイラ男の旦那様とキスしている。


「旦那様…旦那様…」




「な…に…?今余裕が無いんだけど…」




「旦那様性欲が…んんん…あったのですかね…」




「有るよ…人外だけど…透明だけど…人間なんだから こんな可愛い奥さんにあんなに煽られたら我慢の限界です…いただきます!!」








嬉しい…


嬉しい…


でも恥ずかしい…




この瞬間をずっと待っていた、一人で寂しいと思う夜は枕を持って旦那様の部屋の前まで何度も尋ねたが拒絶されるのが怖くて扉を叩く事が出来なかった。


優しい旦那様の事だから無下にはされないとはわかっていても、強制する行為で無いから出来たら彼から求めて欲しかった。



でも今!彼が私に欲情してくれる事が手に取る様にわかる。荒い息遣いも身体中を撫で回す手つきも余裕など感じず、彼が私に興奮してくれる事が嬉しくて嬉しくて仕方ない。彼が人外とか透明人間とかそんな事まったく関係無く全てが愛しい。彼の人柄 彼の声 彼の体格 全てが愛しく興奮する貴方の全てを知りたい。強引でも慣れてなくても痛くてもなんだって構わない旦那様が求めてくれるこの現状が幸せで身体中が熱い。






「あっあっ…あの…よろしければ召し上がれ…」






女は必死に人外を見つめて恥じらいながら告げれば、ミイラ男に仮装した人外は野獣と変貌する。ビリビリと股間部分を強引に引きちぎり雄叫びを上げた。




理性で必死に抑えこめていた感情のストッパーを外したのは、彼が愛して病まないお馬鹿な人間の奥様。こんな野蛮な姿など見せたくなかった、ただただそばに寄り添い癒すつもりだった。

あの夜出会った寂しいそうで辛そうな彼女をただ笑顔にしたかっただけ。いつでも彼女は人外の男の運命を変えていく。人外の自身が近付くのも恐れ多いと思っていたのに、それを幸せそうに受け止め微笑むこの女を二度と離せないと、懺悔しながら幸せを噛み締めた。





――翌朝!透明人間のはずの旦那様の姿が見える様になったり、じつは旦那様が私のガチのストーカーだったりするお話はまたいつか





我が家の旦那様は人外の透明人間です。



まだまだ私達はお互い知らない事ばかり、でも一緒に居て少しづつ知って行ければ良いと思う。



だって口付けすれば貴方の声が聞こえてくる…



こうやって触れ合えば心が満たされる…




ねぇ…旦那様…♪





お読み頂きまして誠にありがとうございました。


少しでも笑った面白いと思って頂けたら、イイネボタンや評価をポチリとして頂けると泣いて喜びます。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ