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英雄騎士様のお見合い事情  作者: 宮城谷七生
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第2話 ベロニカ・シーウェル/エトルリアにてその2

第2話です。

誤字脱字や感想などお待ちしております。

ベロニカ・シーウェルの髪は出会った前と変わっていた。


その時もすっきりとクールなハンサムショートで大人っぽいおしゃれな印象だった。


今の彼女の髪型もハンサムショートだったが、変わった点があるとすれば前髪があって清楚で上品な印象も加わっていた。


「お久しぶりですね、ベロニカ殿」


「ああ」


ルーファスとベロニカは再会を喜んだ。


「エトルリアまで来てくれて嬉しいよ」


ベロニカの話し方は昔と変わらず騎士であるため男性語だんせいごになっていた。


「私も久々にお会いできて嬉しいです」


ルーファスが微笑むと再会を喜んだ。


「本当なら待ち合わせの場所で会う予定だったが出会いとは不思議なものだ。せっかくだ、一緒に庭園を歩かないか?」


「よろしいのですか?」


「構わないさ。皆は後で私たちのところにやってくるさ。それにお見合いの席は綺麗な場所の方が良いだろう?」


「なるほど」


ルーファスはベロニカの提案に納得すると彼女に案内されて屋敷の庭園に案内された。


一緒に歩く中で、ルーファスはあの頃のようにベロニカの栗色の髪に目を奪われていた。


「ベロニカ殿」


「どうしたんだい?」


「髪は伸ばされたのですか?」


「さすがルーファス殿だ。よく気付いた」


「私の知っているベロニカ殿は兜の邪魔にならないよう髪を短くしていました」


「覚えてくれていたのか、嬉しいな」


ベロニカは歩きながら指で前髪を示した。


「母からのアドバイスでね。私もそれに従ったまでさ」


「お似合いだと思います」


「ありがとう」


すると目の前に庭園が見えてきた。


すでに庭園の先からダマスク・ローズの華やかな香りが漂っている。


二人はその香りの中に身を委ねると近くの小さな広場の前で立ち止まった。


ルーファスは周囲を見る。


庭園は薔薇のダマスク・ローズが蕾を開花されているので朱色や白色で美しく埋め尽くされていた。


その中でベロニカは同じ身長のルーファスの前に歩み寄った。


「ドレスのことは聞かないのだね?」


「髪型しか気になっていなかったもので。申し訳ない」


ルーファスは謝罪する。


「昔、ベロニカ殿からドレスを着ない理由を聞かされた時のことを思い出しました。あの時は肩幅が大きいのでドレスを着ると何かと男性に絡まれると聞いていました」


「そうだね。だから、肩幅に合うように家の者たちが特別仕様のドレスを作ってくれた」


ベロニカはその場でゆっくりと回転しながらドレスをすべて見せる。


「どうだろうか?」


「お似合いです」


「お世辞でもありがたいな」


「私がお世辞など苦手だと知っているでしょう?」


「そうだね。君は嘘をつくのが苦手だったね」


「単に答えるのが苦手なだけですよ」


「そうなるとこの見合いもお断りできなかった訳だ」


そう言うと、ベロニカは近くのベンチ裏に隠していた訓練用の木剣を取り出した。


「久々にお手合わせしてもらえないか?」


「急ですね」


ルーファスはベロニカから木剣を受け取る。


「ですが、せっかくのドレスが汚れますよ」


「構わない。汚れれば洗えば良いし裂けた部分は糸で縫えばいい」


「そう言うところは変わりませんね」


「ああ」


ベロニカは木剣を下段に構ると切先は地面に向けた。


一方でルーファスは両手で木剣を握ると正眼に構えた。、


「いくぞ」


「どうぞ」


先に仕掛けたのはベロニカだった。


下段に構えた木剣が彼女が一歩踏み込むと同時に一気に上へと振り上げられた。


ルーファスは迷うことなく正眼に構えていた木剣でベロニカの剣を受け止めた。


ルーファスの両手に激しい衝動が走った。


・・・会わないうちに強くなっているな。


そう感じながらルーファスはベロニカの木剣を跳ね返した。


「流石だな。次はこれだ」


ベロニカの攻撃は続く。


今度は突きの連打だった。


鋭い突きが短い風圧と共にルーファスを次々と襲う。


その攻撃をルーファスは冷静に見極めながら木剣を繋ぐようにして防ぐ。


・・・この辺りか。


ルーファスにはベロニカの動きがドレスを気にし出していることに気付き出していた。


さすがに肉親からもらったものに対して躊躇いが生じてきているのだろう。


ルーファスはベロニカの突きが来た瞬間、木剣の峰で受け流しながら逆に彼女へ木剣を突き出した。


一瞬のことだった。


ルーファスの木剣はベロニカの喉元で止まった。


ベロニカは動きを止めた。


「さすが英雄殿だ。以前よりも強くなっているな」


「ベロニカ殿もお強くなられていますね」


「いや、私もまだまだだな。


ベロニカはルーファスの木剣を指で摘んだ。


「ベロニカ様!!」


「ルーファス様!!」


二人の名を叫びながら、オリオンサとベロニカの執事が庭園に駆け込んできた。


「お二人とも・・・何をしているのですか?」


オリオンサは互いに木剣を向け合う二人の姿に絶句していた。


「これは・・・お見合いの挨拶かな。そうですよね、ベロニカ殿」


「ああ」


ルーファスとは対照的に満面の笑みを浮かべながらベロニカが答えた。


こうして最初のお見合い初日は終わった。


「まったく・・・なんて挨拶ですか。お互いに剣を合わせるなんて」


ルーファスが宿屋に戻るとオリオンサから話を聞いたラミアカーサは唖然とした。


「先輩もそうですが、ベロニカ殿も破天荒です。見合い相手と会うために用意したドレスで模擬戦など無茶し過ぎです。ドレスが破れたらどうするんですか?」


「いや・・・ベロニカ殿も後で糸で縫えばいいって・・・」


「いやいやダメでしょ、そんなの」


「そうだよね」


「先輩、次に会う時はちゃんとベロニカ殿をフォローして下さい」


「そうする」


後輩からの説教を受けたルーファスは反省しながらその日のことを思い出していた。


・・・ドレス姿も素敵だったな。


剣を振るう時に靡く栗色の髪とドレスにベロニカが素敵だと思った。


・・・だが、どうしてあそこまで外見のことを言われるのかわからないな。


結局、答えは出ないままルーファスは眠りについた。


そして、何故か翌日にはエトルリア中でベロニカが王都から来た騎士とお見合いをしたことに噂になっていた。

次回の掲載は明日の午前5時予定です。

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