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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

悪役令嬢も王太子も聖女も転生者も殺してハッピーエンドにした



「テセラ・テセウス、今この時をもってきみとの」


婚約を破棄する、とかなんとか言った王太子様は、公爵家の令嬢を断罪し始めた。

令嬢が涙を流した途端、満を持して的な感じでこの国の自称聖女が現れる。自称聖女は王太子の新たな婚約者らしくて、王太子は涙を流す令嬢に、お前と比べてこの子はこれこれ、これだけ素晴らしいのだと語り始めて、更に追い詰めていた。

少し遅れて、継ぎ接ぎだらけのボロ布を着た女が、四つん這いでやってきて、今にも死にそうな顔をしながら、自称聖女の横で止まる。

聞いたところによれば、あっちのボロ女が本物の聖女で、異世界から来た転生者なのだそうだ。ボロ女の方が力持ってるのに、あんまり実力が知られていないから、自称聖女の奴隷みたいな扱いをされているらしい。


どうしてそんなこと知っているのかというと、全部トゥニックから聞いたからだ。

トゥニックは、うちの国の凄い占い師なんだけど、少し先を見通す力があるらしくて、この国にこれから起こるだろう情報を教えてくれた。

これからを担うこの国の主要人物が、一気に集まる場所があるから、そこで全員殺してこいって言われたのだ。

そんな不用心なところあるのかよ、とあまり本気にしていなかったが、ほんとにあった。


いきなり名家の令嬢が婚約破棄されたかと思えば、自分を正義だと信じて疑わない王太子が令嬢を断罪し始め、新たな婚約者として自称聖女がふんぞり返り、本物の聖女である転生者が奴隷みたいな扱いで首輪つけて引きずられている。聞いた通りだ。


令嬢は全属性の大精霊と契約できる稀有な存在であり、本来であれば刺客なんかの手にかかる人ではないのに、婚約破棄がよっぽどショックだったらしくて、全く警戒されていない。彼女の首をはねたら、とても軽い音がし、落ちた首がぽーんと地面で跳ねた。

王太子の剛腕は、広く諸国に広まっており、剣術も良ければ頭のキレもよく、顔もよく性格もよく、口も達者で、このままだと名君になると言われていた。だけど今は、自分に酔っているらしく、かなり油断していたから、心臓ひとつきで殺せた。

自称聖女など殺す価値もないと思われていたが、めちゃくちゃ顔が可愛いらしくて、王太子も色仕掛けで落としたらしく、その美貌で諸国を脅かす可能性があり、将来的には非常に危険と判断され、殺されることになった。いつも屈強な取り巻きに囲まれているので、殺すのは難しいと言われていたが、今は一人だ。しかも、醜くふんぞり返り、全く周りが見えていない。これは楽だと思いながら、顔を横半分に切った。

最後の転生者だが、こいつが一番厄介だと言われていてた。なんと、時間を操る能力があるらしい。まさしく人智を超えた能力。超一級の危険人物だ。それなりに警戒していたのだけど、何日もご飯を食べていないのか、めっちゃ顔色悪くて、手を下さなくてもそのうち死にそうだなと思いながら、首を落とした。


かくして、この国で警戒されていた主要人物たちを無事に殺すことができた。

殺し終わったあとは、騒動にまぎれて逃げる。

よし決めた。国に帰ったら、こんなつまらない刺客業など廃止して、田舎で静かに暮らそう。

あの人らと違って、なんて幸せな人生だろう。



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