優しい嘘をつく
「むすぶ、ごめんなさい」
母は僕に縋り泣き叫んでいた。
「むすぶ、ごめんな。父さんがもっと早く気づいていれば」
父は目を合わせず、顔を下に向けていた。
弟が四歳になった時あたりから、僕はよく躓くようになった。
人造人間で作られた僕は身体の耐久年数思っていたより短かったようだ。
母が設定した年齢よりだいぶ早くに死ぬようだ。
何でも首の神経に癌ができてそれが俺を殺すらしい。
「ごめん、ゲーム好きじゃなくなったから、このゲームからアカウントを消して消えます」
もっと遊びたかった。もっとゲームやその他のたくさんの話をしたかった。
それでも俺は嘘をついて、返信した。
僕がゲームをしていない間に届いていた何百ものDMに一通だけの返事だ。
そうして、返事を待つ間もなく、そのゲームからアカウントを消した。
父の病院の検査の結果、僕は弟の小学校入学式までは生きれるようだ。
だから、僕は父にお願いした。
僕を死んだことせず、どこかに旅に出たということにしてほしいとお願いした。
僕のせいで弟に泣いてほしくないからだ。
それを父は受け入れてくれた。
そしていろいろ準備を始めた。
偽の旅の写真なんかを作ったり、手紙やビデオメッセージを作っていた。