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春を待つ

作者: 武田道子

春を待つ





こうして歩み寄ってくる春を

私は両手を広げて待っている

遠くの日差しが少しそばに寄り添ってくる時

私の心は高鳴る

毎年青春になる季節

ときめき




冷たい大地がつま先を悴ませる

その力無いつま先で

私は深い眠りから醒めないものたちを

見守っている

安らかな眠りが

若草色に染め上げられる

夢を見ている時




小鳥の群れが

散ってくる葉のように

裸の木の枝から庭に舞い降りてくる

羽のない私は、ただ

吸い込まれそうな空を仰ぐ

木々のシルエットがくっきりと

浮かび上がる真昼の光は

まだ弱々しい




愛おしい思いが

心に宿る

蜘蛛の巣のように張り巡らされた

生命の網の目が地面の下で

春を産み続けている

その優しさと力強さに

私は感動させ続けられる




待っている

ひやりとした空気を吸い込むと

微かに春の味がする

暗緑色の艶やかな葉と葉の間に

うす緑の椿の蕾が何百と

春のイルミネーションのように

生き生きと光っている


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― 新着の感想 ―
[良い点] 春を待ち遠しく思われているのが、その素直な思いが伝わります。愛おしい思いが心に宿る、そうそう、と思いました。 [一言] ひやりとした空気に、微かに春の味、しています。今日のお日様は優しかっ…
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