第1話
これは多重人格障害に悩む喜多村優司の物語である
知らないという人がほとんどだと思うので、
多重人格障害についてまずは簡単に説明しよう
解離性障害は本人にとって堪えられない状況を、離人症のようにそれは自分のことではないと感じたり、あるいは解離性健忘などのようにその時期の感情や記憶を切り離して、それを思い出せなくすることで心のダメージを回避しようとすることから引き起こされる障害であるが、解離性同一性障害は、その中でもっとも重く、切り離した感情や記憶が成長して、別の人格となって表に現れるものである。
これを知った上でこの物語を見てもらいたい
それでは彼の苦悩を見ていこう
1980年昭和55年高知県土佐市に喜多村家の次男として優司は産まれた。喜多村家は祖父の代から外科病院を営んでおり、それゆえに両親からの期待は大きかった。しかし産婦人科で喜多村家を震動させる事実を告げられる。「優司くん解離性同一性障害かもしれません。」優司の腕に解離性同一性障害を持つ人物にしかできないアザがあるという。
母親はひどく落ち込んだ。「ごめんなさい」優司に何度も謝った。そんな母を差し置いてしかし父は前向きだった。「解離性同一性障害は感情の切り離しから始まるもの。優司に悲しい感情を持たせなければ良いだけ」しかしこの父の思いが優司を更に苦しめることになるなど誰も思ってはいなかった。