責任
「ごめんなさい!!」
傾国ビルから歩いてすぐにある喫茶店で謝る女の子がいた
謝る相手は、背が高い悪人顔で傍から見たら女の子が脅されている様に見える
「おい、ここで謝るのはやめろ、周りが凄い目で見てるからな」
周りを見渡すと、客と店員が二人を見ていた
「あ、ごめんなさい。なんでもないです」
溟は客と店員に謝り、黒鬼の方を向いた
「んで、桜井はなんで浅野にあんな事したんだ? 普通に断ればよかったじゃないか」
注文していたメロンクリームソーダのアイスを食べながら聞いてきた
(その顔で、メロンクリームソーダって可愛いですね)
「いや、なんて言っていいのか、あのですね、吹っ切れたというか、なんていうか」
「はっきりしねぇな、ちゃんと言え」
「仲直り出来から嬉しかったってのもあるし、黒鬼くんが勧誘されてるのを見てイライラしていたのがあったので。それに私を見る目が気持ち悪かったというか目線が胸の方に行っていたのでそれで……」
溟はもじもじしながら胸を隠す様に腕をまわした
「それで、これ以上絡まれたくないから俺の物になったって言ったわけか」
その言葉を聞いて溟は俯き
「……はぃ」ショボン
小さな声で肯定した
「はぁ、お前どうすんの。あんだけメンチ切っといて『あの話は嘘です』なんて言えるのか?」
黒鬼は手で顔を覆いこれからの事を話す
「多分だが、あの話は学園に広まるぞ。悪い意味で……な。だとすると、浅野信じず嘘だと思い込み更に絡んでくるだろうな」
「絡んでくるでしょうか?」
「ほれ、浅野とあと2人女がいただろ。あの2人は厄介だ、浅野の言葉を信じ切って俺らを悪く言いふらす。そうなってくるとパーティの話もあいつらの中では無かった事にするだろう」
「その事なんですが、楠さんから提案がありまして、パーティの証明するもの着けたらどうって話されてました」
「パーティの証明するものか、どういう物を着けたらいいんだ?」
「あ……、それは聞いていませんでした」
「はぁ、桜井これから時間はあるか?」
その言葉を聞き時計を見る。現時刻は午後2時過ぎた所だ
「大丈夫ですよ。どうかされましたか?」
「あぁ、近くに大型商業施設があるだろ? そこでパーティを証明する物を買いに行くんだ」
「でも、今すぐじゃなくても」
「いや、これは俺なりのエゴだ。それに……あんな事言われたら責任取るしかないだろ?」
「え……、いや……あれはその場で咄嗟に出た言葉というか」
溟は顔を赤くし目を回しながら言葉を撤回しようとするが、黒鬼は口を歪め
「『私は彼の物』ね」
「あうあうぁぅぁぅ」
「冗談だ、そんなに慌てる事はねぇ。からかってみただけだ」
溟は顔を真っ赤にして黒鬼を睨み付け
「頭ぶち抜かれるか四肢斬り落とされるかどちらがお好みで、私のお勧めは四肢を斬り落とした後頭をぶち抜くです」
「おいおい、そんな怖い顔して物騒なことするな」
「ならそんなこと言わない事ですね」
「肝に免じておくよ」
「ならいいです」
溟は落ち着きアイスコーヒーを飲む
「責任を取るってのは冗談じゃねぇからな」
「ブフッ!! ケホッケホッ」
「おい、何咽てるんだよ」
「あなたが変な事言うからでしょ!」
「何も変な事言ってねぇが、俺は嘘はつきたくないからな、この言葉は本気だ」
「あ、あのですね。その言葉はどこまでの意味なんですか」
「どこまでって、そりゃ死ぬまでそばにいるって事」
「な…なにを、言ってるのかさっぱり分かりませんね」
溟は混乱しているのか、目を回し言葉がどもっている
「なに、ただの一目惚れだ。返事はすぐとは言わん、これからの事もあるからな」
「う……、それでお願いします」
「すまないな、それじゃあそろそろ出ようか」
「はい、そうですね。行きましょうか」
2人は会計を済ませ、大型商業施設に向かった




