接触
ぴちゃん ぴちゃん
「薄暗いですけど一本道だから迷わなくていいですね」
10分位歩き呟く。洞窟だからなのか、声が反響して大きく聞こえる。
道の中央を歩く勇気はないので、壁側に寄りながら進んでいく。
(どこまで進むんでしょうか)
そう考えていると前から、グチャ、バリッ、と音が聞こえてきた。
(なに……、この音、何か……いるのですか? それに……なんか臭い?)
息を潜め、体を屈めなからゆっくり進んでいくと、人影が見えた。
人影は背を向けて身を屈ませているが、体格からしたら子ども位ある。
(こども……かな? もう少し近づいてみましょうか)
ゆっくり進むと人影の前に何かがある。
バリッ、グチャ
そこにあったのは赤く染まったナニカ、そしてそれを食べている緑色の人らしき生物。
「っ!!」
咄嗟に口をふさいだのが功をよしたのか、食べる事に夢中になっていたのか気づかれることは無かったが恐怖で腰が抜け座り込んでしまった
ちょろちょろちょろ
ボリッ、バリッ……スンスン
緑の生物は食べえる手を止めて鼻を動かした
(えあ……??)
何故食べる手を止めたのか、何故鼻を動かしているのか考えていると、下半身が冷たく感じた、ふと下を見るとスカートと足が濡れて独特のアンモニア臭が鼻を刺激した
(わたし……もらしちゃった?)
そうしている内に、緑の生物はゆっくり振り向いてきた。
赤く染まる双眸、所々赤い液体を付けた醜い顔、肉片が付いた鋸の様な歯、顔全体が溟の姿を捉えた。
「ひっ!!! いや、イヤ! 嫌!!」
緑の生物は立ち上がり溟の方に向かってくる。子どもくらいの大きさ、体はやせ細っているのにお腹が膨らんでいる。見ているだけで嫌悪感が湧いてくる。
「ゲヒッ」
ゆっくりと
「いや……」
歩いてきて
「うそ……足が動かない」
そうして
「こ……こな……い……で……」
私の前に来た
「おね……がい」
そして
「ゲギャギャギャギャ!!!」
大きな声を上げ襲ってきた
「いやぁぁぁっぁああああアアアアアアア!!!」
防衛本能だろう、右手に持っていたカッターを生物に向かって振り抜こうとした、しかし
「えっ???」
ガシッ
呆気なく受け止められ、そして
ブチブチバキバキバキブチィ!!
「……へぁ???」
アレ、ミギテガブラサガッテル、チガアフレテル?
ボリッボリッボリッゴクン
アイツナニヲタベタ、ナニヲノミコンダ? ワタシノ?
「いぎゃぁぁぁああああアアアアア!! 痛いイタイいたいいいぃぃぃ!!」
(食べられた、タベラレタ、たべられた!!)
バケモノは朱く濡れた口をニヤつけさせながら近づいて来た
「嫌イヤいやぃゃぁぁぁ」
バケモノは大きな口を開けて溟の顔に近づいて
グシャッ
「グギャアアアアアァァァ!!!」
バケモノは左眼を押さえて苦しみ始めた
「いぎぃぃぃ、はぁ、はぁ、ぁぁぁぁああああ!!」
咄嗟にポケットからボールペンを取り出して刺したのだ
「ギャァァ……アァ……ァァ」
バケモノは苦しみ次第に動かなくなった。
そして、
『レベルアップしました、ステータスを獲得しました、スキルを獲得しました、ステータスを確認してください』
「……え?」
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