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01 王子の境遇
僕の名前は、クランベルン・ディ・マナトリアス。
愛称はクラン。
城で産まれた王子だ。
だけど、王子という生まれは、窮屈だ。
自由になるものが何一つない。
これなら人間でなくて、人形でもいいじゃないか。
僕は、五歳にして自分の境遇をそう思った。
王城での生活は、僕にとって、とにかく苦痛でしかなかった。
王子らしく、王子として。
そんな言葉が常につきまとってくる。
選ばれた者、富める者、名誉ある者。
そんな目で見るな。
そんなにこれは良い物じゃない。
何も知らないまま、僕の事をうらやんでくる者達を見ると、殺意が湧いてくる。
王城のバルコニーからは自由な市民たちが見えるけど、そんな彼らの姿が憎らしかった。