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仲良 し

 妙に集中出来なくて結局は定時を過ぎても仕事は終わっていない。とりあえず早く終わらせないと……僕は残業をしていた。


「悠真」


「ひゃっ……先輩! 突然なんですか?」


「悠真ごめん。そんな集中しているとは思わなくてな。ちょっと言いずらいんだけど……」


 あ、確か残業時間が超過していて明日が休みになるんだった。


「俺の管理ミスなんだけど……」


「あ、僕帰ります」


「え!? まぁ、そうして貰えると助かる。それと――」


「明日は休みますね」


「な、まさか部長から先に話とか……あった?」


 びくびくと部長を横目に背中を丸くしている。この先輩も部長には敵わないらしい。


「僕は未来が読めるのです」


「あー、そんな感じね。悠真と部長は繋がっている……」


「んじゃ、帰りますね。お疲れ様です」


「おう」


 僕は結衣に連絡を入れて家に帰る。サラリーマンが少なくなる時間帯で電車は少しだけ……空いていた。


『とうとう無職? クビになった? このタイミングでお婿さんになる?』


『ただの代休です。もう少し……頑張るよ』


 結衣がお嫁さんならどんなにいいか。


『あら残念。もう少しで悠真くんの家に着くから先に入っとくね』


 合鍵を渡しているので大丈夫。今日だけは幸せに生きよう。


 僕は満を殺すと決意していた。来た道を戻るだけ。ご近所さんの家は明かりがついていて家族団欒の声が微かに聞こえる。飲食店は閉店の準備をしていてシャッターを下ろし始めていた。そして、僕は家に辿り着く。


「ただいま」


「おかえりなさーい」


 たしか、エプロン姿が似合ってて……美味しいハンバーグが用意されてて。


「じゃーん。似合う? って悠真くんどうしたの? 泣くほど似合ってる!?」


 僕は元気な結衣を見て泣いていた。絶対に……僕がなんとかする。


「もー、お帰りなさい」


 結衣が泣いている僕を玄関で優しく抱きしめてくれた。本当に暖かい……あの時に結衣が離れなかった時と同じだ。


「今日はハンバーグ?」


「悠真くんは鼻がいいのかな? あたりだよ」


「玉ねぎは少なめ?」


「なっ、悠真くんは超能力者なのかな?」


 僕の勘違いでも何でもない。そうだ……アレは現実。僕は予知夢を見たのかもしれない。


「もう泣き止んだ?」


「めちゃくちゃ可愛いよ結衣」


「エプロン買って良かった! さぁ、着替えて着なさいな」


 僕は自室に行きクローゼットを開けて着替える。そして、結衣の元へ。


「良し……完成! 結衣の手作りハンバーグです」


「めちゃくちゃ美味しいよ」


「ってまだ食べてないでしょ? もう!」


 本当にこのハンバーグは美味しいんだよ。ワサビも合うし……とっても美味しい。


「あ! こほん」


「結衣?」


 体制を整えて一呼吸置いた。


「ご飯にする? お風呂にする? それとも……」


 ここで上目遣いという悩殺ムーブをするので僕は先手を打った。


「結衣にする」


「ここは結衣が……えぇ!?」


 僕はそのまま抱きしめて寝室へと結衣を連れて行った。


「今日の悠真くんは積極的というか何と言いますか……」


「もーちょい抱きしめさせて」


「うん! しかたないなぁ」


 二人でベッドで過ごす。結衣からはハンバーグの匂いがする、ほっぺたを触ると柔らかい。


「今日の悠真くんは変な気がする。何かあった?」


「ううん。結衣が居て幸せだなって」


「結衣もしあわせ!」


 本当にこの子はもう。


「ご飯たべようか」


「たべよたべよー」


 僕は結衣を開放して台所に向かった。こぶし大のハンバーグにポテトやサラダは本当に早く食べたい。ワサビを手にテーブルに運んだ。


「悠真くん。ハンバーグにはケチャップじゃない?」


 不思議そうな目で僕を見ている。ふっ、結衣は甘いな。


「つけて食べてみ?」


「うーん。とりあえず食べる」


 恐る恐る手に取って一口食べると目が輝いた。


「わぁ、すごいね。悠真くんは何でも知ってるね」


「気に入ってくれたなら嬉しいよ」


「ふふふ」


 二人で仲良く僕の家で最後の食卓を囲む。テレビを見ながら二人で美味しく平らげた。


「ご馳走様です」


「満足した? ねぇ、満足?」


「美味しかったよ。ありがとう結衣」


「やったぁー! さぁ、お風呂に入ってきなさい。結衣が洗い物やっとくからね」


 少し行動を変えても結衣の喋る事が変わらない。これは多分……僕達が動物園に行っても満が来るだろう。すっかり忘れていたが、最初にも悪夢を見たな。その時は確か……明日が休みの日。今週末の金曜日に僕は結衣と恐らく出かけて居るんだと思う。でも、結局は満に何かしら会い満の家で僕は殺された。


「ううん。僕が洗い物をやるよ」


「えー、いいのに」


「僕が洗います」


 そう言って僕は二人のお皿を纏めて台所へ向かった。僕が洗っている様子を結衣がじーっとソファーから眺めている。


「あのー、結衣さん? 見られると恥ずかしいというか」


「新鮮だなって思ってさ」


「ちなみに、この後は二人でお風呂に入ります」


「悠真くんのえっち!」


 はいはいと思いながら僕は洗剤を付けたスポンジで洗う。オレンジの香料が鼻に届くのを懐かしく思った。あの時はカレーの匂いがしたな。明日が勝負だ。


「結衣? 洗い物終わったよ」


「ありがとー! ちなみに結衣はお泊りセットを持ってきているのです!」


「さぁ、脱いで脱いで」


「悠真くんが! いつになく積極的で結衣お姉さんも恥ずかしさを隠せません」


 いつもは結衣が迫るので新鮮だった。攻められ慣れていない結衣……。


「あ、悠真くんが……ふふふ。結衣お姉さんで興奮するがいい!」


「全裸で抱き着かないでください。僕も脱ぎますから」


 二人で楽しくお風呂に入った。

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