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違和感

 ジリリリリリと耳障りな音が鳴り響く。携帯電話を開くと結衣から連絡が来ていた。


『おきてる?』

『おーい』

『そろそろやばいぞー。ちこくだぞー』


 あぁ、今日はお仕事だ……僕は返事をした。


『起きた今すぐ会社行くありがと』


 僕は急いで軽くシャワーを浴びて汗と寝ぐせを洗い流す。まだ急げば会社には間に合う時間帯だ、落ち着いて忘れ物をしない様にしよう。体を拭いて服を着る。そして、僕は思い出す……変な夢を見たな。何よりも強く満への殺意を覚えている。


 社会人になって三年目の僕は仕事には慣れてきた。家の扉を開けると朝日が差し込んで眩しい、鳥たちがチュンチュンと鳴いてて一日の始まりを感じる。駅までは五分の距離なのでとても近い、ご近所さんは家の前を箒で掃いていた。飲食店はガラスを拭いている、朝から昨晩の汚れを取り除いている。そして、僕みたいなサラリーマンは腕時計や携帯で時間を確認しながら駅へと歩いていた。


 駅に着くと人が右往左往と彷徨っている。慣れている者は切符を買ってそうじゃない人は駅員さんを捕まえようと必死になっていた。僕は迷わずにいつもの電車を待つ。トントントンと苛立ちを隠せない人もいるが、僕はまだ……まだこの時間の電車乗れば間に合うので落ち着く。もしも一本逃していたら遅刻確定だが、焦るにはまだ早い。


 時間通りに着いた電車に乗るとそれはもう地獄で諦めるしかない。人が多くて知らない人と密着する。遅刻ギリギリな人は当然、駅まで走るので額には大粒の汗を浮かべていて近づきたくないという想いと、よく頑張ったな! 遅刻しなかったらいいなと応援したい。約十二分の電車を降りるとそこからビジネス街への集団出勤だ。


 近くには背の高いビルが多くて初めは混乱したなぁ。一ブロック離れると本当にここって何処? ってな具合で迷子になる。もっと特徴的な全体がピンクとか黄色とか分かりやすかったらいいのになぁ。流石に三年目となると通い慣れているので僕は何も考えずに動かす足だけ速く動くように意識する。時計を見るとまだ余裕があるので遅刻を回避する事が出来た。


 職場に着いたら挨拶して自分の席に座る、荷物を置いて二分後には朝礼が始まった。今日の仕事を確認する……今日の仕事? なんか終わらせた気がするんだけど……何かが変だな。朝礼が終わり、僕は席に着く。


 パソコンを開いてタスク一覧を確認するが……これやったよな?


「おーい、悠真? これお願いしたいんだけど」


「何ですか? 簡単な奴ならいいですよ」


「それが別の会社が起因なんだけどさ。バグが見つかったらしくて昨日残業して直したらしんだよね? んで、うちが後続で使う所だからそこの確認をお願いしたいんだけど大丈夫? 多分、一時間くらいで出来ると思う。手順書もあるし」


「はい、いいですよ。一時間ならまぁ……何とかなると思います。優先順位は高いですよね?」


「あぁ、午前中までに終わらせればいいからさ」


「分かりました」


 僕が辛い時もお世話になった先輩のお願いなら何でもやるさ……ん?


 僕は手順書を見ると見覚えがある。手順書に沿って作業を進めていると所々抜けているが、僕は一度やった事があるような……すらすらと終わらせて一時間以内に終わらせることが出来た。


「先輩。これってこのまえやりませんでした?」


「いや、これは類似するバグは無かったはずだぞ? だから悠真も初めてやるはずだが」


「そうっすか。なんか簡単に出来たんで前やった事がある様な気がして」


「お? 仕事が楽ってか? 成長したな悠真」


 僕が成長した? まぁ、三年もやってればこんなこともあるか。


 その後、自分の仕事を進める。でも、やった様な気がする。全て見覚えがある……これなら、残業時間も少なめで終わるかも。お昼の時間が迫ってきたので、僕は職場から出る事にした。


 近くのコンビニに行くかなぁ。最近は忙しいとお弁当じゃなくて簡単に食べてすぐ仕事に戻れるおにぎりを二個が続いていた。今日はお弁当を買って会社で食べようかな。コンビニのイートインコーナーでパパっと食べて帰るのも多いけどね。そう思いながらコンビニでお弁当を吟味する……幕の内弁当にするか。あとは、お茶を手にレジへ進んで会計を終わらせた。あとは、会社に戻るだけ。


「あ、悠真だ。お昼かな?」


 僕がコンビニから出るのと声が掛かるのは同時だった。今からコンビニに入ろうとしていた満が立っている。満の顔を見て僕はびっくりした。全部思い出した。


「悠真? 顔が怖いよ? もしかしてお仕事が大変なのかな?」


「あ、そう……だな。でも、今日は早く帰れそうだからさ。頑張るよ。それにしても満は……ええっとアレかな? フリーマーケットが近くにでやってるっぽいしそれかな?」


「うん。色んな物が売ってて楽しかったよ。お昼時間だし休憩もかねてコンビニに行こうとしたら悠真が居て驚いちゃった」


 ふふっと笑う顔は色々と思い出させなければとても可愛い。


「僕はこの後、お仕事が少し忙しいからもう行くね?」


「うん。お昼時間も限られてるし、頑張ってね」


 ばいばいと手を振って僕は会社に向かう。僕はどんな顔をしていたんだろう。結衣をあんな目に合わせて僕を殺して……アレ?


 強い思いが全面に出ていたが僕が殺されたなら今の僕は何だ? アレは夢……だよな。少し疲れているのかもしれない。結衣からも今朝連絡が来てたし……僕は携帯電話を手に取って連絡をする。


『何か変わった事とかある?』


 お仕事中なので結衣からの返事は期待しない、気が付いたら暇な時に返してくれるだろう。僕は会社で弁当を食べて午後の仕事に手を出した。途中、結衣から返事が来ていて。


『何にもないよ? あ! 明日お休みになったんだー』


 確か、この休みは同僚さんと交代で……今は定時まで仕事をしよう。

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