きがくるってる
「おはようございます」
僕は職場に着くといの一番に声をあげた。皆もおはようと返してくれる良い職場である。いつもの様に僕は席に座りメールを確認し、業務に取り掛かる。今日は、ほぼ午前中で終わるので満の家に行くのが楽しみで仕方ない。佐藤ちゃんの業務が遅れ気味だったので一部引き取って作業を進める。二人でやれば一時間で終わるのでさっさと終わらせよう。終わらせたら次はどうしようかな……。
「悠真が元気で俺も嬉しいぞ? 何かいい事あったのか?」
「先輩には秘密ですけど、そこそこっすかね」
「次に呑む時を楽しみにしてるからな?」
「分かりました」
会社だけの付き合い……でも、皆で過ごす時間も大好きだ。酔うとよく喋る佐藤ちゃんも新鮮で楽しい。とはいえ、僕が話せるのは久々に幼馴染と会ってこんな生活してますってくらいだけどね。
「終わりましたー。確認をお願いします」
一通り作業を終わらせて僕は休憩する。あと一時間で帰れるな……早く帰りたい。
「悠真オッケー。指摘も無いし多分大丈夫。多分な」
「そこは断言してくださいよ先輩」
三十分経って先輩から返事がもらえた。さて、後は帰り支度でもやるか。
時間が来て先輩と会社を出た。周りはお昼に向かうサラリーマンが目立つが僕達は家に帰る。先輩とは別の電車に乗るので、駅で別れた。途中、満に連絡すると『分かった』と返事が来たので最寄り駅に行けば待っているだろう。
十分くらいかな。僕は電車に揺られて駅に着いた。しかし、満の姿はない。待ち合わせした所できょろきょろと周りを確認していると後ろをつんっと指で押された。振り返ると……金髪? 黒髪ボブの髪の毛が綺麗な金色に変わっていた。
「よっ」
「髪の毛どうしたの?」
「んー。なんとなく? 悠真は明るい方が好きかな? って」
「イメージ変わるなぁ」
「でしょでしょ。さ、うちに行こうか」
僕は満と一緒に歩く、この道は昔に良く歩いた道で懐かしく感じる。あの頃も二人で歩いていたなぁ。商店街の焼き鳥屋さんからはいい匂いがするし、すぐ近くに学校も在って小さい子もわんさかいる。結構賑わっている地域を過ぎると工場地帯があり、静かな所に満と住んでいた。
「本当に久々だなぁ」
「ねー。懐かしいよね」
二人で歩いているとあの頃の記憶が蘇る。よし、着いた。
「さ、入って入って」
「お邪魔しまーす」
ドアを開けて玄関に入る。目の前には廊下があり、リビングへの扉が閉まったままだった。
「悠真に言ってなかったけどさ。ちょっと躾に困ってて奥にいるんだけど、びっくりしないでね? 首輪もちゃんと付けてるし安全だからさ」
「大丈夫だよ。首輪って事は犬を飼ってるのかな? 楽しみだなぁ」
僕はドアノブに手を掛けて引くと目の前には異様に明るくて……壁には大きな鏡が付いており何処を見ても部屋の中が良く見える。そして、犬小屋らしき物が部屋の中にあり首輪の先には――結衣?
一体何を見ているんだろう。体中に傷が付いている。首輪も太くてその先には鎖が固定されている。口にはさるぐつわの様にタオルが巻かれていて息苦しそうだ。
「初めましてだね。悠真の家のわんちゃんから名前を取ってクロって呼んでるの。あ、噛み癖があってね。ちょっとお仕置き中なんだよ」
無邪気に僕に向かって結衣――クロを紹介した。僕は現実が受け入れられなくて何を言ってるのか理解する事が出来ない。いや、何より結衣の目には大粒の涙がこぼれていて――これは現実だ。早く結衣を助けないと。
「結衣すぐにそれを取ってやるからな」
僕は気を強く持って結衣に駆け付ける。まずは、首輪を外そう。腕も使えない様に拳を握ってぐるぐるとガムテープが巻かれている。急いで助けないと。焦りながらも首輪を外そうとしていると、声にならない叫びを結衣があげた。その瞬間、ジリジリとした渇いた音が響いたのちにバチバチと激しく聞こえた。聞こえたと認識するときには体に激痛が走る。
「悠真? だめだよぉ。ちょっとだけ寝ててね」
そう言って何かを僕の首筋に当てて……意識がなくなった。
評価のシステム変わったんですね。★マーク可愛いですね。




