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俺が入ってどうすんだ!〜憧れの異世界転生先は悪役令嬢でした。〜  作者: あきのそら
1章 英雄になりたかった異世界転生
8/12

七節【悪役令嬢の精神内戦】

暖かい日差しが差す館の一室、薄紫色のレースの天蓋が開かれ日差しを受けて目を覚ます。部屋の姿見の前でひと回りして自分の身なりを確認すると恍惚としたような、それでいて諦めのような溜息を吐き。


「マジでアヴリル様になってんだなぁ…夢なら覚めるまで楽しんでやろって思ったのに。」


そう一人で呟くとコンコンと、乾いたノックの音が響き続いて自身の従者の声。「失礼します、着替えを持って参りました。入ってもいいでしょうか?」と確認の声に慌てて入る許可を出し、開かれる扉を見る。

 自分の服を抱え、静かに歩きながら入る従者、セラは嬉しそうに手早く着替えを終わらせる、その間の俺といえば…


「アヴリル様、もう終わりましたよ。大丈夫ですからそんなブルブル震えてないで目を開けてください。」


情けなく目を閉じて自らの着替えを終える時を待ち続けていた。

いや、推しの下着姿なんて見た日にはもう自分の両目を潰してしまいそうだしもれなく血圧上がりすぎて鼻から流血のおまけも出るだろう。


「ごめんね…まだやっぱり違和感が…」


嘘ではない、違和感はあるもん下着姿すら危うい気がする。いや危ういな!悪役令嬢って位置付けのせいでそんなスチルも無かったし刺激が強すぎる。


まぁそんな事に四苦八苦しながらも食堂へ、戦闘マップだったから迷わずに行けたし何より…


「ここってこんなに綺麗な屋敷だったんだな…最終戦でしか来ないし荒れ果てた所しか見た事なかったから新鮮と言うか…めっちゃラッキーだね」


誰もいないからつい素の口調で呟きながら食堂の扉を開けて両親と顔を合わせて朝食を食べる、この世界に来てから特別なマナーとかは特に無くて。


日本でしてた事をそのまま行うだけで特に問題無く過ごせている。困った事があればその都度優秀な従者のセラがサポート…この世界の細かい常識や、ゲーム内では触れられていない政治面など、一体いつ休んでいるんだろう?と思うほど博識で何とか不自然だが令嬢として過ごせている。


学園内でもあの事件でのショックでまだ精神が不安定な為多少おかしな行動をしても学内の友人が助けてくれる、やはり他の生徒を自身を犠牲にしても助けた事が評価を上げたみたいで逆に名誉の負傷と周りは喜んで手伝ってくれる。中でも攻略対象(イケメン達)が特に凄い。


何が凄いって学食へ行けば五人で周りを固めて自身の部下に周囲を警戒させる、移動教室は同学年の近衛兵達が、放課後用事があれば先輩の騎士隊が、教会などの件は後輩の十字隊が…


正直怖いくらい厳重に護衛されている、なんなら国賓扱いより手厚いのでは?と言えるくらいそれはもう厳重に護衛されている。


そして家に帰れば…

「アヴリル嬢、今帰ったのか?今日も安全に過ごせて何よりだ…チェック」

「おっ、帰ったか!帰り道も安全でよかったよかった…待ったノージュ!」お互い室内着でチェスをしているノージュとソーマ先輩


「あらー思ったより早かったわね、今ちょうどお茶を入れてもらった所なの。四人でお茶でもいかが?」

「ロウラン君に誘われて帰ってすぐ庭の手入れと思ったけど失礼になるからと言われてね、納得したから僕も参加するんだ。よかったら一緒にどうかな?」

「先輩達に…籠もっていたら健康に悪いって…言われたので…」と和やかな雰囲気のロウランとカイル、それと反するような暗い雰囲気漂うクラッツ。


家に帰れば彼らがいる。同じ屋根の下、同じ釜の飯を食べ、そして…彼等の中から一人と…結婚、する…。


原作では主人公のライバルとして生き、そして最後は彼女に「傾国の魔女」として討たれその人生を終える彼女(アヴリル)が幸せな生活を送れる。


それだけで幸せを感じる反面、精神は自分なんだ…身体だけ借りて生活している様な物だし、勝手に決めてはいけないのではないか?という罪悪感の中でロウランの入れたお茶の湯呑みを持ってそこに映るアヴリルの姿に未だ戸惑うのであった。


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