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俺が入ってどうすんだ!〜憧れの異世界転生先は悪役令嬢でした。〜  作者: あきのそら
1章 英雄になりたかった異世界転生
7/12

幕間【従者による紹介】

早朝のまだ陽も出ていない薄暗闇の中、従者のセラファは一人目を覚まし身支度を済ませて自室を出ていく、向かう先は台所。


主人の食器の在庫を確認し、他の従者による「紛失」などが無いかを確認し使う予定の食器を再度磨いてから主人を起こす。


本来はバトラーの役目なのだが…先日体調を崩して以来私が行なっている為、仕事量が増えたがやりがいのある仕事で満足している。


男女共に従者を従えるようになって監督する事に苦労はあるがみんな教育が徹底しているからか前日に振り分けてしまえば細かい事は自己判断で任せている。


特に今日は…


「いい朝だ、こんな日は鍛錬に限るな!」

庭先にて剣を振るうのはソーマ様。


アヴリル様の先輩であり、北部の隣国の騎士団長の長子であり、次期騎士団長になる事をしっかりと実力で勝ち取った質実剛健で何があろうと鍛錬を欠かさずに行う真面目な方。


魔法の才がある為、推薦という形で学園へ入学されている。


訪問先の家でも行うのは些かどうなんでしょうか?とも思いますが普段の皆様を見る機会は少ないのでアヴリル様が知らない一面を知るいい機会なのかもしれません。


「やっぱり布団じゃなきゃ寝辛いわなぁ…」

薄い和服の着流しで部屋から現れたのはロウラン様。


こちらは東部の隣国からいらした豪商連合の次男様、商才などが一族の中で最良と言われるほど有能であり、民衆に次の後継者は彼だろうと噂が広まるほど。


その為、命を狙われる事が多く完全中立である我が主人の学園へ入学していると噂程度に言われています。


「あの…僕の分は朝食準備してもらわなくて大丈夫です。それと祈祷しなければいけないので何か用件があれば扉の下にメモを置いておいてください。」


そっと扉を開けてぼそぼそと小さな声で話しかけて来たこちらの方はクラッツ様。


南西部の隣国からいらしている教会の次期教皇候補。


陰が薄く、本人の性格も災いして邪神を信仰しているやら禁忌の研究をして国家転覆を謀っている、なんて噂が絶えない。


本当にそんな事をしているならば大事だが、信仰深く彼以上に神へ祈りを欠かさない人間はいないとアヴリル様が仰っている。


教会内も一枚岩ではない為、半ば追いやられる形でこちらにいるが…自信を持てばきっと教会をしっかりまとめ上げる実力はあると思います。


「おや?アヴリル嬢の従者さんか、いつ見ても美しい。是非うちに来てもらいたいものだ。」


歯が浮くような台詞を言いながら近寄ってきた彼は

ノージュ様。


西部の隣国の第一王子、西部は神よりも精霊の方が信仰されているようで、国柄からか女性へのアピールが多いですが学内で困っている方を助けたり周りからの評価がとても高いですね、でも…


「私はアヴリル様に忠誠を誓っているのでお答えしかねます。」


キッパリとスカウトを断って頭を下げる。


ふと窓の外を見ると庭木の剪定を行う庭師の姿があり、今日は手入れを頼んだ日だったかしら?などと考えていると梯子を降りて次の木へと向かうがその横顔を見て慌てる。


「いやー、ここの木だけ他の角度から見たら少し表面が荒れてて、もったいないからついつい…自分の家の庭感覚でね?申し訳ない…」


麦わら帽子にオーバーオールの姿で爽やかな笑顔を浮かべたまま喋る南東部の()()()カイル陛下。


入学当初は次期国王でしたが入学してすぐに前国王である母君が急逝されそのまま引き継いでいる。


国王としての仕事をしつつもこの学園に通えているのは彼の優秀さや人柄、母君直属の大臣や部下の賜物なのでしょう。


国民からの信頼も厚く、彼が国に戻ろうと考えた時も国民達がわざわざ「学生生活を楽しんで来てください」との意見が溢れたようで、最低限承認が必要な物のみ行い後は自由にと言われ。


気が付いたら…元々尽くす体質だったのか、仕事が無く落ち着かないのか、周りの王子達の世話役のようなポジションに着き。


「これから住む家になるしこれぐらいは引き受けなくちゃ」とこれからの生活に期待するような輝かしい目を向けて言い。


その言葉に私は「夢なら覚めて…悪夢だわ…」と次の木の剪定に向かう国王に聞こえぬよう呟いた。

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