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俺が入ってどうすんだ!〜憧れの異世界転生先は悪役令嬢でした。〜  作者: あきのそら
1章 英雄になりたかった異世界転生
5/12

五節【悪役令嬢、垣間見る】

「アヴリル様!お待ちになってください!魔法の先生を困らせてはなりませんよ!」

「いまはまだあそひたいのー!先生のお話わかんない事多いんだもーん!」

「いけません!ちゃんと先生の授業を受けなければ貴女が目指す立派な淑女にならないんですよー!待ってくださーい!」


これはアヴリル様のセラとの記憶、ゲームでも語られることのなかった彼女達の思い出。小さい頃から自分の決めた事は曲げたがらない頑固な面はあったんだなって思いながら走馬灯を見続ける。いつも側にセラはいて、スケジュール管理や身の回りの世話をしてくれていた。

幼い頃からそばにいて、国の仕事をしている両親に代わって凄く頼りになる姉の様な存在であった。


――――――――――


「アヴリル様、どこまで思い出せました?」

セラの呼んでくれた医師から問診を受けて走馬灯通りの内容を言うと、ふむ…と考え込んだ様子でセラからの話を聞き始めると


「やはり入院より家族や友人達のそばで過ごされた方が記憶を戻すきっかけになるでしょう。明後日辺りに退院して戻ってみた方が良いでしょう。」と、凄くあっさり退院する事になった。まぁ、傷も治ってるし記憶が無いだけで入院し続けるのは流石に勿体無いだろうし、親の事も気になるので自分も戻りたいと訴えた。両親やセラも嬉しそうな表情を浮かべて手続きを済ませてくれた。


退院の日、両親は議会の仕事の為、セラが迎えに来てもらう事になっていたが。

「お待たせ致しました。アヴリル様、ささ!どうぞこちらへ!昔からの約束、今しちゃいましょう!」とニコニコと愛らしい笑顔で案内をするのでそこへ向かうと地面から数センチ程浮遊しているバイクが目の前にあった。


「アヴリル様、小さい頃から一度私のバイクに乗ってみたいっておっしゃってましたよね!旦那様も奥様もいない今がチャンスと思って張り切ってメンテナンスしておきました!」と両手を腰に当て、えっへん!と自信満々に言う彼女、そういえば昔から両親がいない時は茶目っ気が多かったなぁ…なんて思いながら横に付いているサイドカーに乗る。


「小さい頃に言ったこと、覚えててくれたのね。嬉しいわ、ありがとうセラ、でも安全運転でよろしくね?」

「わかっていますアヴリル様、安全運転で行きますからね!それじゃあ出発しんこー!」

再度安全運転する様に釘を刺すように言いながら椅子の上にあったヘルメットをつけるとバイクはゆっくりと出発した。魔法を利用したバイクでエンジン音なんかは無く、静かに加速していった。

最初は自分の理解出来ない仕組みで怯えていたがセラが本当に安全運転してくれていた事と、何度も話しかけて不安を和らげてくれた為、顔を上げてみると高台の病院から山を下る途中の道で、眼下には綺麗な街並み、建物は煉瓦やコンクリートで出来ており街中には幾重にも水路や道路が蜘蛛の巣のように放射状に広がって。


ゲームで見ていた街が自分の目の前に、広がっている事、バイクに乗り優しい風を受けながら見る景色は今まで見たスチル以上に価値があるように思えた。


「久々の外の景色はどうですか?ここが旦那様や奥様の尽力で維持されている街です。…いずれアヴリル様は誰かと結婚してこの街を治めるようになるかもしれませんね。」

「でもその時はセラも一緒に来てくれるわよね?貴女は私の従者なのだから。」

「はい!勿論私はアヴリル様に忠誠していますから!」


とても綺麗な笑顔を一瞬浮かべると、すぐに真剣な表情になってバイクを走らせ家へと向かうのであった。


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