first section 後編
突如関西最速と名乗るCR-Z登場‼︎
乃須達がふざけている間に一台の謎の車両が現れ、乱入して来る。
甲高いVTECサウンドを轟かせながら迫って来るその車両はホンダCR-Z
外見はジャックスレーシングカラーにされ、
そのCR-Zのリアウィンドウには阪神環状最速と関西最速伝説と主張の激しいステッカーが大きく貼られている。
恐らくエンジンはCR-Zではない他の物に換装されているようだ。
『これが九州の走りかレベル低いな』
謎のCR-Zは早夜のS14の背後に張り付き、煽るようにパッシングをする。
『なんかちっこい車が来たぞ⁉︎この音はシビックか?』
早夜は背後に気が付くが何の車種かは分からないようだ。
『ったく、遊んでるから煽られるんだ!ゆず子さっさと逝け!いや、行け!』
早夜は乃須に向けて言い放すが…
『腐れドリ車が!抜いたるわ!シルビアどけや!』
CR-Zは反対車線に飛び出し早夜のS14の真横に並ぶ。
『何だ?この派手な色の車は?ていうか追い抜き禁止だぞ!』
早夜はそう言うがCR-Zはルールを無視し、S14を抜き、乃須の180に迫る。
『遅いねん‼︎180も抜いたるわ』
CR-Zは180に迫ると尊重なく仕掛ける。
『なんかスイフトみたいなのが来たな、さっさとスイフト行けよ!』
『ゆずちゃん、スイフトじゃないと思うけど』
『何でも良いだろ、あんなのは相手にしなくて良い!お先にどうぞ!』
乃須はあえてCR-Zを前に行かせる判断を取り、前をすんなりと譲る。
CR-Zが前に出ると乃須はCR-Zの姿を見て呑気にこう言い出す。
『おっ、あれは懐かしいホンダのレーシングカラーだな、しかも何でCR-Z?あの色はシビックだろ!阪神環状最速って主張激しいな、恥ずかしく無いのか?おまけに関西最速伝説って…ここ九州だけど』
乃須がCR-Zに対して色々突っ込んでる中、横から流奈がこう答える。
『ゆずちゃん、この車も結構恥ずかしい』
『なんだと?結構言うな、これはこういう味なんだよ』
『どういう味?』
『まぁ、五月女はいつものように寝てろよ!ちょっとあのジャックスCR-Z突くから』
乃須はそう言うと前方のジャックスCR-Zに興味を持ち、追い始める。
『お?そのポンコツミサイルで着いてこれるんかいな?関西式の走り見したるわ!』
そう言い放してジャックスCR-Zは、ペースを上げる。
『大体その色はシビックだろ‼︎ゆるさん‼︎』
乃須は意味の分からない事を言うと横から流奈がまたちょっかいを出してくる。
『乃須だけにNOS使えば?プシュっと』
流奈は乃須のとある一部を押す。
『押すな!NOSなんてねーよ!邪魔するな!このボインボインが』
『ボインボインって何?』
『その乳を風船みたいにボインボインさせるな!目に毒なんだよさっきからずっと』
『そんなにさせてないから!それに暗いから見えないでしょ!』
『もう駄目だ調子狂う、横に人を乗せるべきじゃなかった』
乃須は後悔しつつも第二ラウンドに突入する。
基本この翔氣ラインは中間地点までがゴールなのだが麓の最後までジャックスCR-Zを追い掛けるようだ。
『付いて来なよ?ポンコツミサイル!ガチのグリップマシンを教えてやるで!』
そう言うとジャックスCR-Zはハザードを焚き、180を誘うように合図を送った。
『そもそも環状てグルグル回るだけだろ!ここは峠!ループ野郎に負けたまるか!』
乃須はジャックスCR-Zを突き始める。
だがCR-Zの鋭い突っ込みに付いて行けない。
180のタイヤのグリップが限界な為か勝手に滑り始め流れて行く。
『ちっ、タイヤ使い過ぎたか…このタイヤじゃもう無理だ』
グリップ失った180は流され失速する。
対するジャックスCR-Zは嘲笑うかのように引き離して行く。
ここで乃須は180のタイヤの状況でCR-Z追うのを止める。
『仕方がない、諦めるか…このタイヤじゃな、あのジャックス覚えておくからな』
そして、ジャックスCR-Zとの対決は呆気なく終わり、翔氣ラインの麓にたどり着いた。
麓には丁度コンビニがあり、乃須は180を目立たないように隅に止める。
数分後、早夜のS14も現れ180の横に止まり、乃須と早夜は降りて二人で会話する。
『やっぱアジアンタイヤ駄目だな』
『出た言い訳』
『言い訳じゃねーよ!これはただ滑らすだけのアジアンタイヤだから』
『アジアンタイヤのせいにして本当はお前がヘタレなだけだろ?大体ふざけ過ぎ、物凄く邪魔だったぞ』
『それは俺じゃなくて隣の奴だって!ある意味危なかった』
『もういいや、ゆず子いちごオレ』
『は?俺はいちご俺じゃないけど?』
『違うし!それに面白くない!早くいちごオレもしくはいちご飲むヨーグルトかもしくはストロベリーラテ』
『全部いちごじゃねーか!はいはい、わかったよ 。』
乃須はめんどくさそうに早夜に頼まれた物をコンビニに飲み物を買いに行く。
数分後、乃須が戻って来る。
乃須は早夜に頼まれた物とは違う物を差し出した。
『黒酢じゃねーか⁈』
『先ずは飲め、話はそれからだ』
『いや、アタシは黒酢は駄目』
『そんなんだから頭固いんだよ!黒酢はな!カラダに良いんだよ!黒酢はな!』
『知らん‼︎それは九条にでもやれ‼︎もしくは貴様が飲め‼︎』
『ったく、ちゃんとあるよ。ほらよ!カエルの卵入りだ』
『それはタピオカだろ!それにブーム過ぎてるし』
乃須と早夜がそんなやり取りをしていると深彩のセフィーロが大分遅れて下ってくる。
何かをガラガラと引きずりながら乃須達の前に現れる
。
『また何か拾って来たなアイツ』
乃須はその様子を見ながらそう言うと深彩がセフィーロから降りてくる。
『おいおい、なんだよそれ』
深彩は降りた途端にボケる。
『いや、それはこっちのセリフ!しかも今気づいたのかよ‼︎』
乃須が深彩にツッコミを入れると早夜が横から入って来て深彩に言い掛けてくる。
『九条、偉いなゴミ回収してきたのか』
『いや、なんか拾った』
『アタシ、人だったら嫌だな…』
『不吉な事言うな‼︎』
乃須と早夜と深彩の三人はセフィーロの真下を覗き込もうとすると反対側からいきなり千佳が声を上げる。
『あっ⁉︎これ私のサイドステップの破片じゃないのよ!』
どうやら深彩のセフィーロの真下には千佳の90の落下したサイドステップの破損物が挟まっているようだ。
早『朝霧、良かったな手元に戻って来て』
千『いや、これもうただの残骸じゃないのよ!』
乃『落としたものはやっぱ回収しないとな』
深『良いからこれどうやって取る?』
早『別にそのまま走ってればその内取れるじゃないのか』
深『おい、テキトーだな!』
乃『そもそもお前も避けるとかしろよ!こんな低い車高だとそりゃ拾うよ』
乃須達がそんなやり取りをしていると先程のジャックスカラーのCR-Zが乃須達の目の前に現れ、そのCR-Zからドライバーが降りてくる。
降りてきたそのドライバーは早夜と似たような小柄な体型をした幼女だった。
その姿を見て早夜がこう言う。
『ちっさ⁈』
早夜がそう言うと乃須が早夜にツッコミを入れる。
『おい早瀬、お前が言うな!』
『アタシはあんなにちっさくないぞ!』
『いや、そんなに変わらん』
『貴様、くらすぞ⁉︎』
どうも、約半年振りに書きました。
大分経ちましたがまだまだ続きます。