第7話
街へ向かいながらお互いの話をした2人。
黒丸は森を抜け、無事に街へと到着した。
――――
「ここが商業の街アデルだ」
「アデル…… 僕の初めての街……」
(まぁ、この世界でのだけれども)
森を抜けるとちょうど丘の上になっていて、眼下にはアデルの街が一望できた。
アデルの街は八角形の壁に囲まれており、それぞれ対角線で大きな道が繋がり、バランスの取れた綺麗な外観になっている。街へは東西南北に設置された門から入れるようになっているようだ。門からはそれぞれに街道があり、別の街へ繋がっているようだった。
「アデルの街は別の街や村へ行く途中の中継地点になっていて、行商人や街商人達が、築き上げた街なんだ。とは言ってもオレもジジイにたまに連れてこられたくらいしか来たことはないんだけどな」
「凄く広くて綺麗な街だね!早く街に入って、どんなところなのか探索してみたいよ」
「商業の街だからな。見た事もないもんもいっぱい売ってるからな。オレはここで剣を探すんだよ。とりあえず行くか!」
「そうだね。行こうか」
街までは草原が広がっており、青い空に大きな入道雲がそびえ立ち心地よい風が吹いていた。
僕はワクワクする気持ちを抑えながら街へと向かった。
――
僕達は北門までたどり着いた。
門には商人達が馬車を引いて列を作っており、自分の番をまだかまだかと待っていた。ジンに話を聞くと、アデルの街では商人達は荷物の確認と荷物に対する税金を納めなければ入れないらしい。他の街や王都などは商人以外も税金を払わなければ入れないところもあるらしいが、アデルの街は払わなくても大丈夫との事だった。
商人達を横目に門をくぐると、あちこちから聞こえる商人とお客さんのやりとりや、走り回る子ども達など活気付いた街の雰囲気と肉を焼いた香ばしい匂いや焼いた肉に塗るタレの香りが、僕を襲った。
「いつ来ても賑やかだな、この街は」
「ホントに賑やかだね。僕、圧倒されちゃったよ」
「腹も減ったし、とりあえずなんか食うか?」
グゥゥゥ。
そう言われた僕はこの世界に来て、水しか飲んでないし、食べ物の香りもあって空腹を思い出した。
(そーいえば、今日はカップラーメンしか食ってないや……)
「うん!食べよう! あっ…… でも僕、お金持ってないし、ジンとは街までって約束だし……」
僕はそう言って、ジンの見て「これ以上は迷惑をかけられない」と、言おうとした時だった。ジンは僕の肩を組んだ。
「んなことはわかってるよ。オレが出してやるから心配すんな!お前も腹減ってるんだろ?1人で食うより2人で食う飯が美味いしな」
森でついて来てくれた時と同じ事を言って僕を誘ってくれた、ジンがイケメンすぎて、少しだけ泣いた。
「ちょっ。泣くな泣くな! オレが脅してるみてーじゃねーか!それに、金はジジイのヘソクリからくすねてきたやつだしな。気を使わずに奢られな」
おじいさん…… ごちそうさまです。
心の中では悪いな。とは思ったものの、空腹には勝てず、ジンの言葉に甘える事にした。
――
街を歩きながら、屋台に出ている料理を食べまくった。タレのたっぷりかかった串肉にかぶりつき、なんの肉かはわからないが……
新鮮なシャキシャキの野菜にハムのようなものが挟まったサンドイッチ、なんだか弾力のある皮のようなものが入った炒めものなど、食の欲に任せて、なにかわからないがとりあえずは胃へ詰め込んだのだった。
もちろん会計は全部ジンが済ましてくれた。
(この恩は絶対に何倍にもして返そう)
黒丸は脳内メモに書き足した。
「あー、食った食った。よし!そんじゃ宿をとるとするか」
「えっ…… 宿?」
「そーだ、宿だよ。お前は宿をとらないでどこで寝るつもりだ?もう日が暮れるし、教会も閉まってるはずだからな。今日は宿で寝て、明日教会へ行くんだよ」
「そ、そーだよね。でも僕はその辺で寝れそうな所を……」
そこまで言ったところで僕は額に青筋を浮かべたジンに引きずられ、宿へ向かう事となった。
宿はジンが街に来るたびに宿泊していた場所らしく、「ジジイの知り合いなんだ」と、話していた。
昨日は忙しくて投稿できなかった…
今日はもう1話投稿できたらいいな。