第2話
「イテテテ……」
徐々に意識が戻り始める、頭痛の余韻が残るこめかみ辺りを抑えながら、意識が無くなる前の出来事を思い出す。
(いったいなんだったんだ、あれは……)
倒れていた体を起こし、辺りを見渡してみると、僕の頭の中はキャパシティを超えて完全に停止した。
とても静かな時間が流れた、まるで時が止まったのかと勘違いするほどの。
5分くらいだったのか、一瞬の事だったのか、それとも5分以上だったのか。
「……ハッ!」
どのくらいの時間が流れたのか、はっきりわからないが僕は思考を再開させた。
(えっ? ちょっと待って、これはなにがどうなってるんだ? と、言うかここどこ?)
……僕はまったく知らない場所にいた。
「よし。一回落ち着け僕、深呼吸だ!こうゆう時は深呼吸をするんだ」
スーッ、ハー、スーッ、ハー。
「少しは落ち着いたかな? 頭痛も、もう大丈夫だ。いったいなにがどうなってるんだ……」
落ち着きを取り戻し、改めて周りの様子を確認してみる。
そこは現実とは思えないような幻想的な場所だった。目の前には底が見えるほど透き通った湖があり、周りは見渡すかぎりの緑が埋め尽くし、木漏れ日が雨のように差し込んでいる。
「綺麗な場所だなぁ。好きな雰囲気すぎて少しテンションが上がってしまう。なんなら住みたいとすら思ってしまう自分がいる」
いつもパソコンで見ていたような幻想的な風景に感動しながら、周りの風景を見て自分の記憶を辿っていく。
「でも、まったく見覚えのない場所だ。日本なのか海外なのかすらわからない……。ってか、どこに向かえばいいんだこれ……」
そんな事を考えていると、突然頭の中から声が聞こえてきた。
(ようこそ、異界からの転移者よ)
「う、うわぁぁぁ!」
頭の中から聞こえた声に驚き、大声をあげながら尻もちをついた。
「ちょ、ちょっと待って! なんで頭の中から声が聞こえるの!? ってか、あんた誰だヨ!」
(私は、この世界を管理する存在。姿を見せられない為、直接あたなの頭の中に話かけています)
「ダメだ…… 全く意味がわからない…… なんでそんな冷静なんだよ。さっき深呼吸して少し落ち着いたと思ったのにさ。僕はパニックでなにがなんだか意味がわからないよ。まずここはどこだよ。なんで僕はこんなところにいるんだよ。異界?転移者ってなに?」
(ここはあなたが住む世界とは別の世界です。なぜあなたがこの世界に来たのかは私にもわかりませんが、あなたはなんらかの原因で、この世界に転移してきたと考えられます)
「…そーなのか。よ、よし。ちゃんと整理してみよう。そうじゃないと理解が追いつかない。質問しても大丈夫かな?」
(はい。問題ありません。答えきれることはすべてお答えします)
「まずは…… そうだ!まずは君の名前を教えてくれる?僕は一色黒丸。高校2年生の16歳だ」
(名前……ですか…… 私を呼ぶものはもう存在しないため、名前の必要性がなかったのですが…… 過去にマザーと呼ばれていた事がございます)
「わかった、マザーだね。よろしく! マザー次の質問!ここはどこ?」
(ーーこの世界はマーズーー)
ここから黒丸の冒険が始まろうとしていた。
まだまだ書くのに時間がかかってしまう。
1日1話を目標に頑張ります。