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フェスタの冒険 番人

 第十階層、番人の居るという場所は部屋になっていた。

 壁に石でできた扉があり、ご丁寧なことに取っ手まで付いている。


「この奥が番人の部屋です。

 以前と変わりないようならば土で造られたゴーレムが居るはずです」


 扉の前でジバが説明をする。


「アタシが前に潜ったときもゴーレムが居たけど、毎回同じ番人が出るのかい?」


 経験者であるアリサが疑問を挟む。

 その疑問を聞いて、フェスタが「そうなんですか?」と聞きながらジバとアリサを交互に見る。


「はい、時間が経過すると復活するようですね。

 この扉を通路側から開くのが出現のキーになっているようですよ。

 それと、一度倒すと三日は復活しないはずです」


 ジバが自身の経験からアリサの疑問に対し答えを出してみせる。


「ほう、そうなのかい。

 確かに何度も番人の部屋を往き来しないからねえ。

 アタシも前に来たときは一回だけパーティーで何とか倒して、迷宮(ここ)の奥に行くのと地上(うえ)に戻るときにしか通ってないからさ、知らなかったわ」

「そうでしょうね。

 わざわざ危険を犯してまで検証する者はそうはいません」


 アリサの釈明にジバがフォローを入れるが、アリサからの『アンタはそんな危険を伴う検証をわざわざやったんだろうが』という突っ込みの混ざった視線は華麗なまでにスルーされた。


「では、これから番人との戦いに入ることになりますが」


 と、前置きしてから、ジバが気まずそうな顔を見せながら言葉を続ける。


「今回のゴーレム(番人)はアリサさんがメインで戦っていただくことになります。

 その……相性の関係で、ですね。

 フェスタさんは私とニティカさんと一緒にアリサさんのフォローに回って頂きます」


 ジバの言葉に、フェスタが残念そうな顔を見せる。

 迷宮に入ってからここまで、何度も色んな魔物と戦闘なりそれらを倒してきたのだが、ハッキリ言ってしまうとフェスタは完全に消化不良ぎみであった。

 魔物との戦闘という意味では良い感じに慣れることが出来てきてはいるのだが、いかせん今迄の魔物はフェスタにとって弱かった、弱すぎたのである。


 だが、フェスタもジバの言う『相性』は理解している。

 自分の武器は剣で、アリサは拳や蹴りが主体で戦う。

 番人がゴーレム、それも土のゴーレムならばアリサが主体で戦うのが当然なのだ。

 ゴーレムは打撃には弱く、斬撃には強い、それは冒険者としては当たり前のように持っている知識だ。


 それが分かっているので、残念だし不満はあるもののフェスタはそれらを口には出さない。

 今回はアリサに譲ることにした。


 アリサも、フェスタとは違う意味でげんなりとした顔をしている。

 以前、この迷宮でゴーレムと戦ったときは別のパーティーで、そのパーティーの総力戦で当たってようやく勝てたような相手だったのだ。

 それを今回はまるで『一人で倒せますよね?』と言わんばかりの口ぶりでメインを任されつつあるのだ。


 確かに、以前ここに来たときに比べて自分が格段の強くなっていることは実感している。

 以前ならば少しは苦戦したであろう魔物をを圧倒しつつここまで来れたのだから。

 そもそもが、である。

 以前は六人パーティーで挑んでこの第十階層の番人の部屋まで来るのに1カ月近く掛かったのだ。

 進んでは町まで戻り、食料やポーションなどの消耗品を買い足しながら、かなり苦労してここまで来た記憶がアリサにはある。

 それなのに、この常識外れのパーティーときた日には、一日もかからずこんな場所に着いてしまった。

 そして、現在のところ自分もその常識外れのパーティーの一員なのだ。


 ジバの指導を受けて、自分の知らなかった技術を身に付けたことで、自分でも自身の実力を図りかねているような程度の強くなっているような気はするーーが、それでも一人でゴーレムは無茶でしょ。

 とはとても言い出せない空気に、アリサはがっくりと肩を落とすのだった。


「では、フェスタさんが陽動をしつつ私が魔法で援護を。

 ニティカさんはアリサさんが万が一ケガをした時に備えておいてください」

「「はい、了解です!」」


 ジバの言葉にフェスタとニティカが声を揃えて返事をしたのが合図となって、番人の部屋へと続く扉が勢いよく開かれた。

 部屋の中央には土造られた身長三メートルほどはあるゴーレムが侵入者を待ち構えるように立っていた。


「さあ! 行きますよおっ!」


 フェスタの掛け声が、開戦の合図となるのであった。


 ーー因みに、ゴーレムはヤケクソになったアリサによる一方的な攻撃によってあっという間のただの土へと戻された。

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