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フェスタの冒険 初陣

 アリサの新装備の購入も終わり、いよいよワイズラット王国の王都を出発することとなった。

 目指すは南であるが、ジバやアリサの話によれば最寄りの村であれば馬車で街道を行けば二時間もあれば到着できる距離、とのことだった。

 一行はワイズラットから出ている乗り合い馬車を利用することに決定し、現在はその馬車に揺られているところである。


「あー、何だか平和ですねえー」


 フェスタが隣に座るアリサに話しかける。

 ポヤーっとしている様子には王女様らしき面影は微塵も感じさせない。


「まあ、この辺りは国都の近くだしね。街道沿いを行く分にはまだまだ安全な地域(エリア)さ」


 アリサの言う通り、ワイズラットの周辺は基本的に瘴気も薄く、瘴気溜まりが生じやすい森林や洞窟などでもない限り魔物が発生しにくい。

 また、魔物が発生しても通報さえあればワイズラットから衛兵は出て魔物を即座に退治してしまうのでひたすら平原と街道が続く馬車の通るような道で魔物を見かける方は珍しい。

 それでも最近は魔王は復活した影響で各地の瘴気が活発化しており、思わぬ場所の魔物は発生している事例は増えてきたのも事実ではある。


 しかしながら、今回の乗り合い馬車は順調に魔物と遭遇することもなく進み、二時間平和なままに馬車は目的地である近郊の村、ゲントについたのであった。


 フェスタたちがゲントに立ち寄った理由は、この村には小さいながら宿屋があるからという事とジバが仕入れた情報によると、ゲントの付近にある森で魔物が発生したという噂を聞き付けたからである。

 事の発端はフェスタがジバとアリサの両名に、自身が魔物との戦いが未経験であることを話したことに始まる。

 ジバ、アリサ共にある程度安全な地域で魔物との戦いを一度は経験しておくべきだ、という意見で一致したこともあり、本来はなるべく早いペースで南のホーク大陸へ近付こうという話だったのを保留にしてゲントへ逗留することに決めたのである。


 一行はまず冒険者ギルドへと向かうことにした。

 こちらの世界では相当な辺境でも無い限り町や村といった集落には冒険者ギルドが存在している。

 小さな村レベルとなると村長や村で一番の名代などが冒険者ギルドの仕事を代行している場合などもあるのだが、それでも田舎か否かを判断する材料に冒険者ギルドの有無が問われることも多く、大多数の集落は見栄もあって冒険者ギルドを設置しているのだ。


 ゲントの場合はワイズラット王都への宿場町ということもあって、冒険者ギルドも独立した建物が存在していた。

 建物は酒場のようになっていて、酒場との違いは入口を入ってすぐの場所に受付カウンターがあり、その横には各種依頼が書かれた紙が貼ってある掲示板があるところである。

 受付と依頼掲示板、これが冒険者ギルドの必須アイテムと呼べる。


 依頼掲示板を覗いてみると、ジバの言っていた付近の森の調査依頼も貼り出されていた。

 早速、ジバが受付カウンターに向かい、依頼を受ける申請をする。


「恐れ入ります、ゲント付近の森に出没する魔物の調査依頼を受けたいのですが」


 パーティー内の相談によって、対外的な交渉はジバが行うという事を決めていた。

 リーダーはフェスタであるものの、交渉を行うにはフェスタでは幼くて相手に舐められそうだし、アリサだと女性ということもあってトラブルに巻き込まれやすくなる。

 消去法と本人の快諾によってパーティーの渉外はジバが担うことが決定したのであった。


「はい、では冒険者カードをお出し願えますか?」


 受付の、どことなく垢抜けない印象がある女性に言われ、三人は冒険者カードを渡す。

 女性はカードを受け取ると魔道具の端末に何やら入力をしてからカードをフェスタたちに返して、そのまま依頼内容の説明を始めた。


 説明された依頼内容はジバが聞いてきたものとほぼ同じものであった。

 ゲントの西へ一時間ほど歩いた場所にある森、そこへ木材の調達に行った村人が森の中で魔物に襲われて怪我をして帰って来た。

 魔物の種類、数は不明。

 依頼としては魔物の正体と森に潜む数の調査、可能であれば魔物の退治と瘴気の発生源の特定、というものであった。


  一行は早速森へ向かうことにした。

 夜営は無しで夜になれば調査を中断して村に戻り宿屋にて宿泊する、という形での調査を実行することにしたのである。

 フェスタの冒険者としての初陣、その始まるである。

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