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勇者だけじゃなくジジイまで腹黒なのかよ!!

「いやー、めでたい。まことにめでたいですなぁ!」


「あのなあ……」


 そのすぐあと。町長の家にて。


 オレはうんざりした顔で客間の椅子に座っていた。


「おや? お行儀が悪いですぞ勇者様。若い女子がそのように大胆に足を組んで……」


「うるせえ! 何回も言ってるけどオレは勇者じゃねーし、そもそも男なんだっつってんだろ!」


「はっはっは。おーいバアさんや、勇者さまにお茶をお出ししなさい」


「はいはい、ただいま」


「聞けよ! さらっと流してんじゃねえ!」


「まあまあ勇者さま。そんない興奮されるとせっかくの美人が台無しですぞ」


「そうですよ。女の子はもっとおしとやかでないといけませんよ」


「お前らなあ……!」


 町長のじーさんだけじゃなくバーさんまでオレの話をスルーしてきやがる。


 それもこれも、オレがあのクソ女勇者の姿をしているせいだ。


 いまいましいったらないぜ……!


「ほれほれ、勇者さま、そんなにイライラせんでくだされ。もうすぐご馳走がきますからのう」


「え? ごちそう!? マジか!」


 ちょうど腹が減ってたんだよ。


「もちろんでございますよ。わしらの村を救ってくれる勇者さまに、ささやかな歓迎のもてなしをさせていただきますじゃ」


「やった! ありがとうジーサン!」


 なーんだ、この世界にもまともな人間がいるんじゃねえか!


 すぐに料理が運ばれてきた。


 ものすごい美味そうな料理ばっかりだった。


「さあ、どうぞお召し上りくだされ」


「よっしゃあ! いっただっきまーす!」


 空腹だったオレは一気に目の前の料理にがっついた。


 んー、うまい!


 モンスター退治の恩を忘れないとは、けっこういい人間なんじゃないか? この村の連中。




「んー、よく寝たぜ」


 よく朝。


 村長の屋敷の一室でオレはご機嫌に目覚めた。


 昨日はたらふくごちそうを食って寝たから、気分爽快だぜ。


「おはよー、村長!」


 がちゃ!


 部屋を出て居間に向かう。


「おおっ! 待っておりましたぞ勇者どの。戦いの準備は済んでおりますじゃ」


「は? 戦いの準備? なんのことだよ? ボケたのかジーさん」


 なぜかジーさんは古い鎧やら剣やらを用意して待っていた。


「決まっておるではありませんか。これから北の山に行ってゴブリンの巣をまるごと退治していただくのじゃ」


 は?


「ちょ、ちょっと待てええええええええええ! なんっでオレがそんなことしなきゃなんねーんだよ」


「言ってじゃろう。『この村を救ってくださる勇者さま』と。まだ村は救われておりませぬぞ。北の山にゴブリンどのの巣が残っとるのですから。ささ、さくっと退治してきてくだされ!」


「アホか! ゴキブリ退治すんのとは違うんだぞ! 誰が行くか!」


「でも、昨日ごちそうを食べたではありませんか?」


「う!」


 き、汚ねええええええええええええええええええええ!


 始めからそれを狙ってたのかよ! 


 このクソジジイは……!


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