魔王退治とかふざけんなマジで!
「どわああああああああ! お、女になってるうううううううう!?」
十七歳の夏。
不良のオレは気がつくと異世界に転生していた。
「な、な、な、なにが起こったんだ!」
「どーもー」
「誰!?」
「勇者でーす」
「勇者!?」
よく見ると目の前に超カワイイ女の子が立っていた。
「お前が勇者? 嘘だろ、女じゃん」
「女の勇者だっていますよ」
た、確かに。
「ちなみに、私があなたを召喚したんです」
「召喚? なんでだよ?」
「身代わりになってもらうためです」
「身代わり?」
「はい。身代わり」
「誰の?」
「私の」
「なんで!?」
「だってほら勇者とかめんどうくさいじゃないですか。魔王を倒せだの世界を救えだの、こっちの都合なんておかまいなしですし。見ず知らずの村人どものために命をかけるこっちの身にもなってくださいよって感じですよね」
「ま、まあ、分からなくもないが……」
「そこで、私の代わりにあなたに勇者になってもらって、魔王退治をしてもらおうと思ったんです。私の姿になって」
「ちょっと待てええええええええええええ!」
「なにか問題でもありますか?」
「大ありだわ! なんっでオレがお前の身代わりになって魔王退治なんざしなくちゃならねーんだよ!」
「だって私、魔王退治なんてやりたくないんですもん。危ないしめんどうくさいし」
「オレもやりたくねえよ! つーか別世界の人間を勝手に巻き込むな!」
「大丈夫! ちゃんと勇者になれそうな人間を選びましたから」
「なに?」
まさか、オレには実はヒーローに素質があったとか……?
「あなた、不良ですよね? あなたみたいなひとならバトルになれてるでしょ? おまけに死んでも誰も悲しまないし。まさに良い事づくしですよね!」
「どこが良い事づくしだあああああああああああああああああ!」
ぐうううううううううううう! 一瞬でも自分にヒーローの素質があるなんて期待したオレがバカだったぜ!
つーか、こいつめちゃくちゃ性格悪いな!
「ちなみに、あなたの姿は魔法で私と同じにしてありますから」
「げっ、これってお前の姿だったの? どうりで女になってるわけだ……」
「あと私の力の一部もコピーして渡してありますから、その力を使って思う存分、魔王退治をがんばってください!」
「誰ががんばるか!」
「けど、魔王を退治しない限り元の世界には戻れませんし、元の姿にも戻れませんよ。一生その姿でいいんですか?」
「きょ、脅迫してきやがったよこの勇者……」
「というわけで、さっそくモンスター退治に行ってください。みなさんがお呼びですよ」
「は? みなさん?」
「えい。テレポート(瞬間移動)!」
バシュウウウウウウウウウウ!
いきなりオレの身体が光ってどこかに飛ばされた。
「どわあああああああああああああああ!?」
ドシン!
「いだっ!」
ケツを打った。
どこかの村の広場みたいなところに落っこちたみたいだ。
「おお、勇者さまだ!」
「勇者さまが我らの祈りにこたえてやってきてくださったのじゃ!」
「は?」
なんか村人がいっぱい集まってて、キラキラした目でオレを見てるんですけど。
「さあ勇者さま、あのモンスターどもを退治してくだされ!」
「へ?」
振り返ると――そこには何十匹ものモンスターがいた。
「ちょ、ちょっと待てえええええええええええ!」
あのクソ女勇者、こいつらと戦う仕事をオレに押し付けやがったな!
ふざけんなマジで!
「さあ勇者様!」
「あのモンスターどもを退治してください!」
「いやいやいや! オレ勇者じゃねえっての! あのクソ女に身体を変えられただけなんだよ!」
「またまたぁ」
「冗談きついですよ勇者さま。あっはっはっはっは!」
「違ううううううううううう!」
ぐううううううう!
誰も信じやしねえ!




