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幸せな毎日

如月 朔夜さんより

リクエストいただきました。


シンシアとアルフレッドの兄弟ほのぼの話か、アルフレッドの日常など

アルフレッドのドラゴンを手に入れた時とか、パーティとか。


パーティーの話は今後本編で出るので、小さい頃のアルフレッドとシアの小話にしてみました! 気に入ってもらえると嬉しいです!


リクエストありがとうございました!

 視点:アルフレッド



 まるで海にダイブしたかのような青色に、一瞬くらりと目眩を感じた。だがそれもすぐに消え、澄み切った青色の空に身を任す。



「お兄様! 立つと危ないです!」

「俺は竜術師でもあるんだから、なにも問題ない」



 ドラゴンの上に立ち、後ろにはシアが乗っている。

 肩で切りそろえられた髪が舞い、それがなんだかくすぐったい。後ろのシアを見れば、腰まで伸ばしている綺麗な赤髪が宙でダンスをしているようだった。

 見下ろせば、街は小さく、森よりもはるか上空を飛んでいる。いつもは馬で移動することの方が多い為、こういう時はシアと一緒に楽しむに限る。



「もう! でも、ドラゴンって……こんなに素敵なのね。お兄様、乗せてくれてありがとう」

「あぁ。シアの誕生日に乗せる約束だったからな。もう7歳か。おめでとう、シア」

「ありがとうございます、お兄様」



 はにかんだ笑顔で、初めて乗るドラゴンにはしゃいでいる姿はとても可愛いと思う。

 現在俺は12歳、シア7歳。まだまだ子供ではあるのだが、今日は2人で出掛けて良いと許可がおりた。

 それはきっと、俺の実力が認められて勇者パーティーに加わったから。魔術師であり、竜術師である俺は、この国ではトップクラスの実力者だ。



「空がとっても気持ち良い! お兄様はいつもこんな贅沢をしているのね。いいなぁ……」

「まぁ、否定はしない。俺はきっとドラゴン(こいつ)と共に魔王を倒して、この世界をもっと平和にするんだ」

「うんっ! お兄様ならきっとできます!」



 この世界には、実は魔王がいる。まぁ、今は封印されているので問題はないのだが……それはもう、あまり長く持たないだろうというのが国の考えだ。その為に、俺の様な勇者パーティーが作られたのだが。

 魔王が復活するとどうなるのかはあまり考えず、今は己を鍛えるのみ。



「あ、お兄様! きれいな夕焼けですよ」

「あぁ。寒くなる前に、家に帰ろうか」

「はい!」



 方向転換をして向きを変えれば、家は米粒程に小さくなっていた。

 シアの横に腰を下ろし、そういえばまだ渡していなかった誕生日プレゼントを鞄から取り出す。綺麗にラッピングされた小さな小箱は、小さいシアの手にすっぽりと収まった。「ありがとう!」という言葉と同時にラッピングをほどくシアがなんだか可愛かった。



「気に入ってもらえるといいんだが……」

「これ……! 嬉しいです、お兄様!」



 中から出て来たのは、ふわふわのクッションに包まれたネックレス。シアに似合うようにと選んだのは、赤い色の宝石をあしらったリボンモチーフの可愛らしい物。

 さっそく首につけて、手をバタバタさせて嬉しさを表現してくれた。いつもはお上品なのに、こういった時はとても子供らしいなと思う。



「どうですか? 似合います?」

「あぁ、さすが俺の妹だ。世界一可愛いよ」

「お兄様ったら……」



 いや、シアは間違いなく一番だと思う。こんなに可愛い妹がいて、俺は幸せだ。他の貴族の女の子は、シアと違ってすごいわがままだった。だから少し苦手だ。

 っと。そろそろ家に着くな……街に突撃する分けにはいかないので、上空で上手く向きを整えて家の庭へと向かう。広いスペースを取っているので、木や障害物などにぶつかる心配は無い。

 ふわりと風圧を受けた草が揺れ、無事に着陸することができた。



「お手をどうぞ、お嬢様」

「まぁ。光栄ですわ、お兄様」



 先に地面へと飛び降りて、シアの前で手を差し出して一礼する。そっとシアが手を差し出してくれたので、そのまま抱き下ろす。くるりとダンスをする様にふわっと降りて、「ありがとう」と可愛らしい笑顔を見せてくれた。



「今日は今までで最高のお誕生日です!」

「あぁ。俺も最高の日だ」

「また、空に行きましょうね、お兄様」



 庭から家まで、2人で手をつないで走り出した。

 あぁ、きっとこれからも幸せな毎日を過ごしていけるんだろう、シアが笑顔でいる限り。

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