迷子のわんこ
みぃさん
よりリクエスト頂きました。
ひなみの森でのほのぼの生活とモフモフな動物との絡み
迷子の子犬を登場させてみました!
あまり生活感が出てないのですが…むむ、どうでしょう。
リクエストありがとうございました!
『くきゅううぅん…』
『クエコー?』
『クエッ!』
『くうぅぅん…』
「ん…?」
いつも小鳥のさえずりで起きていた私だが、今日はなんだか動物達の声が聞こえてくるような…? 眠たい目をこすりながら体を起こして窓の外を見れば、朝日の中で鶏と子犬が見えた。
この世界に来て半年後、勇気を出して庭の外に出て出会った鶏が2羽。卵を産んでくれたので、私の食卓はその日を境にぐっと魅力的になったのですよ!
っと、そんなことを考えている場合ではなかった。
「あっ! 怪我をしてるんだ…!」
鶏と一緒に居る子犬を見れば、相当に弱っているらしくぐったりとしていた。薄茶色の子犬は、右足の部分が赤く染まっていて、痛々しい怪我をしていることがすぐに分かる。私は慌てて外に出て、子犬の元に駆け寄った。
「大丈夫!? 怪我しちゃったんだね…! 今回復をす…って! 回復薬を持ってくるの忘れた!」
『クエッ!』
『くうぅん…』
まるで「何やってるのドジっ子ね!」と言われているような気もするが、こればかりは反論出来ないため急いで家に戻り回復薬を手に取る。
「ごめんね、足にかけるからちょっと見せてね」
『くうぅん』
『『クッ!』』
これは痛そうだ。素早く体力回復薬をかけてあげれば、子犬の怪我はあっというまに消えてなくなった。良かったと安堵しつつも、体内に異常があるといけないので手ですくって飲ませてあげる。よしよし、これで元気になったね。良かったー!
「でも、子犬のお客さんだなんてなんだか嬉しいな。ね?」
『『クエーッ!!』』
鶏に問いかければ、言葉が分かっているのか元気よく返事をしてくれた。
『わんっ!』
「えへへ、どういたしまして! 元気になって良かったよ!」
怪我が治ったので元気に走り回り、子犬が飛びついて来た。それに対抗心を燃やしているのか、鶏も私に飛びついてきた…! ちょ、倒れる倒れる倒れるよ〜〜〜!!
「わわわっ!」
しゃがんでたところに鶏2羽と子犬が乗っかって来たため、そのまま尻餅をついてしまった。何だ何だ、皆元気だね…! いや、とても良いことですけどね。念のために子犬の右足を確認してみるが、綺麗に傷は消えているようだ。他に怪我をしていると大変なので、くるりと一周させて子犬の全体を見渡す。よし、大丈夫!
「さて。みんなでご飯にしようかー!」
よいしょっと起き上がり、動物達を呼んで家の方へと向かう。その途中で産んでくれた卵を発見したので、しっかりと回収することも忘れない。ちなみに、鶏は庭に生えている薬草を食べている。なんてお世話のかからない良い子なのかと、いつ見ても思う。卵もとっても美味しいし、新鮮。
しかし、子犬は何を食べるのだろうか。ここにはお肉が無い…というか、野菜しかないというかなんというか。野菜、食べてくれるのかな…? 確かネギは駄目だよね? この世界が日本と一緒なのかは分からないけれど。まぁ、きっと野生の? 子犬だから怪しい物は口にしないだろう。
「とりあえず、きゅうりいっとく?」
『わんっ!!』
薬草を食べてる鶏の横で、きゅうりをそっと差し出せば元気に返事をしてかじってくれた。おぉ、きゅうり食べてくれて良かった。ここにはドックフードとか無いですからね。
モグモグモグ。
私の手から一生懸命きゅうりを食べる子犬。何これ超絶可愛いのですけれど…! こ、これが花のよく言ってた萌えというものなのだろうか…!? きっとそうに違いない! おねいちゃんも花のことが少し分かった気がするよ!!
あぁ、でも本当に。
「かわいいいいぃぃぃ〜!」
犬の種類に詳しくないので、種類は分からないが薄茶色の可愛い子犬ということだけで十分だった。思わず子犬を抱きしめれば、私の頬を舐めてきた。くすぐったいけど、なんだか幸せです!
『クエーッ!』
『クエッ!!』
「ん? どうしたの?」
私と子犬の可愛がりように嫉妬でもしてしまったのか、鶏が突撃して来たのです。
ちょっとびっくりしたけれど、鶏もとっても可愛いので…幸せです!
そのまま迷子の子犬と鶏と庭で遊んで、疲れ果てた私はお昼寝をするという贅沢な生活。ニート過ぎて駄目人間になってしまいそうです。
「あれ? 子犬がいない…」
『クエー…』
「んーん。きっと子犬も家族のところに帰ったんだよ」
『クエッ!』
そしてお昼寝から起きれば、子犬の姿はどこにも無かった。
またどこかで会えたらいいなと思うのです。