リグリスと雪うさぎ
シロンさん
よりリクエスト頂きました。
神様の話
内容はこちらで決めてしまいました…!
リクエストありがとうございました!
視点:リグリス
「あれ、おかしいな… 雪うさぎが1匹足りない?」
最初にひなを招待した暗闇の空間で、なんとなく自分の髪をいじりながら数を確認する。
自分の元へ集めた雪うさぎが、全部で5匹。雪うさぎは7匹いたはずなんだけどな…?
ひなの所にまろがいるから、本来であればここには6匹の雪うさぎがいるはずだった。
「うーん…?」
ここにいないとなると、〈レティスリール〉にでも行ったのだろうか。特に行動は制限をしていないし、最近はひなを見ていたから雪うさぎはあまり気にしていなかった。
そっと〈レティスリール〉を覗いて見る。
「んー… あ、いた」
まろではない雪うさぎが1匹。どうやら獣人や妖精が多く住む〈アグディス〉に居る。
「あ、しかも精霊になってる。これだとまろが人型になれないな…」
この世界、〈レティスリール〉では1種族に1精霊というルールがある。頂点に精霊がいて、配下に妖精がいるという形だ。まぁ、雪うさぎは妖精ではなくて魔物だけれど。
そして、精霊へとなれたものは人型になることが出来る。そうすれば、喋れなかった妖精や魔物は言葉を操ることが出来るようになる。
雪うさぎに関しては、俺が創り出した生き物なので該当しないルールもあるが、1種族に1精霊というルールは適用される。
「取り敢えず箱庭内は人型になれるようにしておこうかな。ひなも話し相手がいないと辛いだろうし…」
現在は、ひなを〈レティスリール〉へ送って5日後。そろそろ1人が辛くなってくるのでは、と思う。可愛いペットでもいれば生活も楽しくなるとは思うけれど、やはりそれだけではね。同性の友達がいればと思ったのだけれど。
というか、なんでわざわざ〈アグディス〉へ1人で行ったのだろうか。
まぁ、ここの空間は確かに暇ではあるのだけれど…。可愛い子でもいたのだろうか。
「まぁいいか…? っと、ひなの交換日記に返事をしないと」
今日のひなは、畑で採れた野菜のことを中心に書いていた。とても美味しくて、スーパーで売っている野菜とは全然違うと。
「可愛いなぁ。野菜もいいけど、果物の種類とかも増やしてあげよう」
ポイントを管理しているシステムに魔力で干渉し、種の内容を追加する。
りんごをうさぎに切って食べたら可愛いと思うんだよね。これで100ポイント追加とかにすれば、すぐにでもやってくれそうだ。でも、取り敢えず今は回復薬で稼いで貰いたいから保留かな?
そんなことを思いながら返事を書く。雪うさぎも、偶然出逢うと喜ぶと思うので交換日記には書かなかった。
この時の俺は、ひなが雪うさぎに出逢うのに2年も掛かることをまだ知らない。