ひとりでできるのであるっ!
本日2回目の小話更新です。
海月 涼 さん
よりリクエスト頂きました。
まろの一人での店番
ひなみが南の森に行った時の話です。
リクエストありがとうございました!
ふんふんふー♪
お店の棚にある可愛い瓶を見ながら、床の掃き掃除をして行く。
ひなみがいなくなったらしいと、ギルドから連絡がきた。
初心者講習で、南の森へ行ったらひなみだけが行方不明になった、と。慌ててイクルが森へ向かったので、まろはひなみの箱庭で1人お店番。
「でも… あんなに慌てたイクルは初めて見たなぁ〜」
ひなみにはリグリス様っていう絶対の味方がいるので、特に心配はしていない。でも、怪我はしていないといいなぁとも思う。
カラン。
そんな時、お店の扉が開いてお客さんが来た。私はひなみに教えて貰った通り、おもてなしの言葉を投げかける。
「いらっしゃいませなのであるっ!」
「お、可愛い店員さんだな!」
「可愛いからおまけして欲しいのである〜」
「おいおい、そりゃ逆だろう。ハハハッ」
ローブを着て、魔法の杖を持っている…魔術師だろうか? でも、わりと筋肉マンな男の冒険者は正直剣術師にしかみえない。
「俺はなぁ、治癒術師なんだ。マナはあるか?」
がーん!!!
まさかの剣術師ではなく魔術師でもなく治癒術師! 絶対になる職業を間違えているのぇある!! なぜマッチョなのにちょっと珍しい治癒術師!?
「おっちゃん剣術師の顔なのに…」
「おま、可愛いくせに辛口だな…」
とたんに悲しそうな顔をするおっちゃんを見て、「じょーだんであるっ」と付け加える。
魔力回復役が置いてある棚へ案内すれば、回復効果が書いてある鑑定書に目を通し、さらに他の商品も見て行った。
「こんにちは。あら、今日のお店番は可愛い子ね」
「いらっしゃいませなのである〜! お姉さんは美人さんだねっ!」
「あら、ありがと」
剣術師顔のおっちゃんが棚を見ている間に、他のお客さんも来た。体力回復薬が3個必要と、きっちり3個分のお金を渡してくれた。それとクッキーも!!
売り上げは3個で3,000リルなり。
「またくるわね!」
「ありがとうなのであるっ!」
ぶんぶんとお姉さんに手を振ってお見送り。
そしていただいたクッキーをパクりといただく。
「むむむっ? 甘くないぃ…」
袋に入っていたから、買ったものだと思ったのに。お姉さん、お料理下手なのかな?
「砂糖が高いからしかたねーよ、どこの店も似たようなもんだ」
「がーん! ひなみのクッキーはいつも甘いのに…」
「いいもん食ってんなぁ…羨ましいぜ」
そうか、そうだ。この世界は砂糖が貴重。栽培が困難で、採取量がとても少なかったはず。
いやぁ、ひなみ万歳であるっ!
「おっちゃん買うの決まったー?」
「おぅ、マナ2つだな」
「はーい! 4,600リルだから、特別に5,000リルでいいよっ!」
「おお、それはお買い得だ…って、高くなってんじゃねぇか!!」
「ばれたのである!!」
てへぺろと笑えば、剣術師顔のおっちゃんが代金と飴をくれた!
「ありがとうなのであるっ!」
「おうよ。そいつは俺が倒したハチの蜜を使ってるから、すげー甘いぞ!」
「おぉ〜!!」
あれ、治癒術師じゃなかったっけ?
まぁいいのである! 口に入れれば強烈な甘みが広がった。これは美味しいのであるっ! 後でイクルにハチを倒して来てもらおう。
「おっちゃん、めっちゃ甘なのである!」
「そうだろうそうだろう! 味わって食うんだぞ!」
「もちろんであるっ!!」
ぴょんぴょん跳ねながら美味しさを表現すれば、左右一房ずつ結わいている髪が揺れる。
あぁ、ハチってすごいのであるっ!
「っと、パーティーメンバーを待たせてるんだった。またな、ちびっ子!」
「ありがとうなのであるっ!」
さてさて、と。ちらりと窓から通りを眺めてみるが、人通りはそんなに多くはない。もう午後なので、これから狩に行く人は少ないだろうと考える。
「ようし、お店閉めちゃおうっと〜!」
あ。
そうだ、外に出れないから閉店に出来ないのであるっ!!
店番はイクルが戻るまで続いた。
とほほなのである…。
リクエストの受け付けは活動報告にて。
明日まで受け付けです。
良かったらご利用下さい。